第2回:オーバークロッカー御用達のIntel P965マザー──ASUS「COMMANDO」:イマドキのイタモノ「ASUS注目マザー連続レビュー」(2/2 ページ)
ASUSのマザーボードを集中レビューする第2弾は、オーバークロッカー向け「R.O.G.」シリーズのインテル対応マザーが登場する。
オンボードの電源スイッチとPOST表示用液晶パネル
R.O.Gシリーズには、他のマザーボードでは見られないユニークな機能がいくつか用意されている。その1つが基板に実装されたパワースイッチ類だ。マザーボードを正面から見て右下、フロントパネル用のコネクタの脇に、アルミ地のしっかりとしたスイッチが3つ並んでいる。それぞれ「パワー」「リセット「CMOSクリア」のスイッチで、このことが、COMMANDO(そしてR.O.Gシリーズ)がオーバークロッカーを意識して設計されたモデルであることを示している。
極限のオーバークロックを試す場合、多くのユーザーはマザーボードをPCケースに収めず、電源やHDD、光学ドライブなどをつないだだけの“バラック組み”でテストを行う。電源スイッチやリセットスイッチなどはケースに付いているため、“バラック組み”PCの場合は別途スイッチを用意しなければならないのだ(ユーザーによっては、パワースイッチに当たる部分のジャンパピンをドライバなどでショートさせて起動することもあるが)。COMMANDOは、そういう“バラック組み”PCユーザーを意識して、基板にスイッチを載せてしまっているわけだ。
通常、電源スイッチとリセットスイッチがついていれば、そうそう文句はいわれないのだが、オーバークロッカーを重視しているCOMMANDOは、CMOSクリアまでスイッチにして基板に載せてしまった。オーバークロックに挑むとき、BIOSのクロック設定をこまめに変更してクロックを徐々に上げていくが、クロックが“ある一線”を超えてしまうとBIOSすら起動しなくなる。ASUSはこういうときのために独自機能「C.P.R.」(CPU Parameter Recall)によって、BIOS設定がデフォルトに戻されるようになっている。このおかげで通常なら、BIOSのパラメータ設定が保存されているCMOSをクリアする必要はない。しかし、限界付近でクロックの設定を行っていると、「BIOSは起動しそうになるけれど起動せず」「C.P.Rも働かない」という場面に遭遇する。普通なら、CMOSクリアのジャンパピンや端子をドライバの先などでショートさせてBIOSを初期化するが、CMOSクリアのスイッチがあれば、この作業がいたって容易になる。まさに、限界ギリギリのオーバークロックにチャレンジするユーザーための機能と言えるのだ。
バックパネルのインタフェースに用意されている小型の液晶表示装置には、BIOSの起動過程が分かる「POST」が表示される。CPUのイニシャライズとかメモリの初期化など、代表的なデバイスの初期化プロセスがここで確認できるわけだ。PCの電源を入れても正常に起動しない場合はここメッセージを確認すれば、どのデバイスの不具合が原因になっているのかをチェックできる。これまでも、BIOSの起動過程を表示させるためにLEDの表示パターンを使ってPOSTを表示する装置を付属させた製品があるが、液晶で文字を表示することによって、より簡単に不具合の原因を知ることができる。さらに、バックパネルに設置されているため、マザーボードをケースに収めた状態でも確認できるため、“バルク組み”PCユーザーでなくとも利用できる。
タンタルコンデンサで精度と信頼性がアップ
オーバークロック向きのマザーボードである条件は、クロック関連の設定の自由度が高いとか、オンボードスイッチがあるとかというだけではない。高いクロックで動作してこそ、オーバークロック向きといえる。
一般的なマザーボードでは、CPUソケットの周りに筒型のコンデンサがニョキニョキと立っているのが普通だ。最近のハイエンドマザーでは、よりすぐれた特性を持つ固体電解コンデンサであることが1つのステータスにもなっている。しかし、COMMANDOのCPUソケット周辺に「見慣れた」コンデンサが見あたらない。これは、コンデンサを搭載してないのではなく、筒型のタイプではなくてチップタイプのコンデンサが使用されているためだ。COMMANDOのCPU周りに使われているのは「タンタルコンデンサ」というもので、固体電解コンデンサより高価だが温度特性や周波数特性に優れている。
CPU回り以外のコンデンサも、固体電解コンデンサが採用されており、長期間の運用でも液漏れやパンクなどのトラブルの心配は不要のようだ。もちろん、高クロック時の安定性にも寄与するはずである。また、電源回路は、ASUSではハイエンドマザーに採用されている8フェーズの回路を搭載する。CPUに安定した電力供給ができることや電源回路の発熱が少ないことなどから、高クロック動作において安定性を向上できる。
付属ソフトも豊富
マザーボードに付属するアプリケーションというと、ハードウェアモニタやオーバークロックツール、BIOS更新ツールなどのユーティリティがメインで、ウイルスチェッカーやゲームなどは使用期限が短い試用版というのが定番である。
しかし、COMMANDOには、使用期限のない「使える」ソフトが複数付属している。まずは、定番ベンチマークである3DMark 06 Advanced Editionが付属する。このBasic Editionはダウンロードして無料で使えるが、解像度やフィルタ条件を変更できない。Advanced Editionを購入しようとすれば18ドルもするため、これだけで2000円のお買い得となる。また、ウイルス対策ソフトの「Kaspersky Anti-Virus」製品版が付属する。ほかにも、ゲーマー向けの製品だけあって、Tom Clancy's Ghost Recon Advanced Warfighterの製品版も用意されている。これも、単体で購入すれば6000円くらいするので、付属ソフトの合計で1万円以上の価値があると考えることもできる。COMMNADのの実勢価格が2万円台半ばということを考えるとお買い得感は高い。
COMMANDOは、その実装されている部品や機能だけ見ても純粋に高品質なIntel P965マザーボードとして高いコストパフォーマンスを誇る。Core 2 Quad/Duoを限界までオーバークロックしてみたいという人には、見逃せないマザーボードであることは間違いないだろう。
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