VAIO type Gゼロスピンドルモデルで“もっさりVista”に喝を入れた:SSDでクラス最軽量を更新!(2/2 ページ)
今夏のVAIO type Gで最大の話題といえば、直販のCTOメニューに追加された「フラッシュメモリドライブ」だ。早速、HDD内蔵モデルと性能を競わせてみた。
Windowsの起動時間や大容量ファイルコピーに大差
ベンチマークテストでは確かな優劣が見られたSSDとHDDだが、実際の動作速度はどれくらい違うのだろうか。実際にストップウォッチでさまざまな操作にかかる時間を計測してみた。テストしたのは9項目で、電源オフ時からのWindows起動(タスクトレイのプログラムがすべて起動するまで)とシャットダウン、スリープへの移行と復帰、休止状態への移行と復帰、約100Mバイト×1のファイルコピー(ファイルコピー1)、約10Kバイト×1000のファイルコピー(ファイルコピー2)、購入時の状態に戻すHDDリカバリだ。
SSDとHDDで体感できる差が見られたのは、Windowsの起動とシャットダウン、休止状態への移行、約100Mバイト×1のファイルコピー、HDDリカバリの項目だ。一方、スリープへの移行と復帰、休止状態からの復帰、約10Kバイト×1000(約10Mバイト)のファイルコピーはほとんど差がつかなかった。
Windowsの起動時間は、SSDモデルがデスクトップ画面の起動に50秒程度、タスクトレイの全プログラム起動に1分40程度しかかからなかったのに対し、HDDモデルはデスクトップ画面の表示に1分30秒程度、タスクトレイの全プログラム起動に3分近くかかった。ファイルコピーは、小容量のファイルを大量にコピーした場合、速度はほとんど変わらないが、大容量のファイルコピーではSSDのほうが明らかに高速だ。
スリープへの移行と復帰、休止状態からの復帰については、SSDとHDDがほとんど同じか、むしろHDDのほうが高速なケースもあった。もっとも、SSDにはHDDのようなスピンドルやヘッドといった衝撃に弱い部品がないため、スリープや休止状態への移行中にノートPCを閉じて即座に持ち運べることから、実際の利用シーンにおける使い勝手は違ってくるだろう。
可動部がないSSDは消費電力でも有利
SSDの利点はパフォーマンスに加えて、低消費電力も挙げられる。SSDモデルのバッテリー駆動時間は、HDDモデルと比べて約0.5時間延長され、標準バッテリーで約12時間、軽量バッテリーで約6時間の連続駆動をうたう。そこで、フリーソフトの「YbInfo」を使って、SSDモデルとHDDモデルの消費電力を計測してみた。計測した項目と結果は右のグラフに示した通りだ。
もともと1.8インチHDDは消費電力が低いこともあり、結果に大差はないが、全体的にSSDのほうが低消費電力という結果になった。バッテリー駆動でHDDへ頻繁にアクセスするようなヘビーな使い方をする場合、SSDの低消費電力が生きてくるだろう。
なお、SSDモデルの軽量バッテリーを100%まで充電し、高パフォーマンスの設定(液晶ディスプレイ輝度最大)でMPEG-2ファイルを約2時間再生し続けたところ、Vistaの電源プランでは残り時間が1時間8分(残り30%)程度と表示された。HDDモデルもほとんど同じ残り時間が表示され、Vistaの電源プラン上の値には差が見られなかった。
高額で小容量だが効果は大きいSSD、今後の展開に期待大
以上のようにSSDは、高パフォーマンスかつ低消費電力、実装面積が小さく、衝撃にも強いと、モバイルノートPCのストレージとして理想に近いデバイスと言える。今回SSDを採用したことで、VAIO type Gの“クラス最軽量にして高い堅牢性”という特徴はさらに強化された格好だ。とくにゼロスピンドルのモバイルノートPCを熱望していたユーザーの物欲を強く刺激するに違いない。
実際に試用してみて、HDDのように使用中の衝撃を気にすることなく、どこでも手軽にカバンから出し入れして即座に使えるのは実に快適だった。また、SSDの高いパフォーマンスのおかげで、Core Solo搭載のモバイルノートPCにしては、Vistaのレスポンスがかなり改善される点は特筆できる。メインメモリは最大2Gバイト(オンボード1Gバイト+1Gバイト)まで積めるので、Vista環境でも大きな不満を感じることなく利用できるだろう。
ただし、SSDは現状で高額な価格設定と容量の小ささがネックになる。CTOメニューで選べる32GバイトHDDは40GバイトHDDより6万5000円高く設定されており、これは100GバイトHDDより4万1000円も高い(今回入手した試作機の価格は27万5800円)。記録容量から考えると、SSDはまだまだ非常に高価なデバイスであることは確かだ。とはいえ、デジタルカメラのメモリカードやメモリ内蔵ポータブルオーディオプレーヤーの例を挙げるまでもなく、メモリの集積度向上とそれにともなう低価格化はここ数年で飛躍的に進んでいる。今後、より大容量のSSD搭載モバイルノートPCがより求めやすい価格で入手できるようになることを期待したい。
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