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インタビュー

「自作PCに未来はない」5年後の秋葉原を歩く 第3回(2/3 ページ)

PCパーツショップは現在もアキバの“看板”として君臨しているが、その一方で閉店する店舗が相次ぐなど、業界全体の縮小傾向は目に見えて加速している。この状況はいつまで続くのか。

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8年叫び続けて実らない“2つの解決策”

 絶望的なコメントが連発するが、小林氏も指をくわえて傍観していたわけではない。USER'S SIDEでは、昔から高付加価値なPCパーツを並べており、ハイエンド志向のユーザーや法人層を取り込む努力を続けている。最近は高性能なPCでこそ楽しめる3Dゲームの取り扱いも始めた。また、同業者に対しても8年前からホームページを通してメッセージを送り続けているという。

USER'S SIDEでは、2007年3月から、洋モノのPC洋ゲームソフトを本格的に扱うようになった(写真=左)。「PCという高級品を扱うにふさわしい店内」(小林氏)をめざして、店内のレイアウトは見やすさと清潔感を大切にしているという(写真=右)

――日本の自作PC業界が、再び盛り上がる可能性はあるのでしょうか?

小林 基本的には、ない。PCパーツを適正価格に戻して業界の体力を回復させる方法は2つ考えられますが、実現しないでしょうね。

 その1つは、ベンダーが、馬鹿みたいに安い価格で売るショップへは商品を卸さないようにすること。そして、有力店が常識的な値段を守ることです。ベンダーの売り上げは一時的に落ちますが、有力店には卸し続けられるので、半年間我慢すれば状況は改善されます。無謀な安売りを仕掛けるショップも淘汰されて、自然と適正価格を守る風潮ができあがる。しかし、苦しい半年間の間にギブアップする会社が1つでもあると成功しません。規制も何もないこの業界で、足並みをそろえて成功させることは、奇跡に近い。

 もう1つは、ショップを2種類に分ける方法です。“PCディスカウントスーパー”、“PC専門店”と、明確にカテゴリを分けてしまうのです。価格とサービスの違いが看板から分かるようになり、来店する人も判断をつけやすい。ファーストフード店と高級料理店のような関係を作るわけです。専門店では高級パーツを扱うなりの知識と対価を確保できます。棲み分けができると、少なくとも専門店ではマトモな価格が保てます。

――それでも店頭に同じ商品が並んでいる限り、差別化できないのでは? つまり、選ぶのは消費者です。

小林 おのずと変わっていきますよ。例えば、スーパーマイクロの高級マザーをファーストフード店に並べても売れないでしょう。専門の高級店で、エントリー向けパーツを置いても注目されないのと一緒。取り扱い商品も自然と棲み分けができてきます。

 ただ困るのは、ディスカウントスーパーが、売れないのに高級パーツの価格だけを提示すること。そうすると、棲み分けがいつまでたってもできない。結局、すべてのショップが協力しあって成功する方法なので、1つめの方法と同じく絵空事でしかないわけです。

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