「自作PCに未来はない」:5年後の秋葉原を歩く 第3回(3/3 ページ)
PCパーツショップは現在もアキバの“看板”として君臨しているが、その一方で閉店する店舗が相次ぐなど、業界全体の縮小傾向は目に見えて加速している。この状況はいつまで続くのか。
5年後どころか、3年後も危うい
――それでは、5年後のアキバで、PCパーツショップはどのようになっていると思いますか?
小林 この業界の縮小傾向は変わらない。5年後――2012年を待たず、3年後には大きく様変わりしているでしょう。完全になくなることはないでしょうが、ブームの去ったオーディオショップと同じ道をたどると思います。
――その代わりに台頭するのは、サブカルチャー系のショップでしょうか?
小林 そうかもしれませんが、サブカルチャーは“サブ”でこそ存在意義がある。メインカルチャーになるのは、アンバランスです。次代のメイン産業は想像できませんが、いずれにせよ、5年後に主役を張るのが自作PCでないことは間違いない。
――その場合、USER'S SIDEは営業を続けますか?
小林 形態は変えているでしょう。コンシューマー向けでは、ゲームや水冷などのマニア向け商品のみをあつかっているとか。もう秋葉原という土地に魅力は感じていないので、別の場所に移転しているかもしれませんね。移転先の理想は、銀座です。
老舗PCパーツショップが想像する5年後の秋葉原に、明るい未来を描く材料は少ない。しかし、小林氏の言う“PC専門店”がほかの地域に移っていく可能性がある一方で、同氏が“絵空事”と呼ぶ「自作PCが生き残る方法」が実現する可能性も完全には否定できない。あるいは、別の打開策を見つけて再び盛り返すショップが登場する場合だってある。
いずれにせよ、最初にアクションを起こすのがPCパーツショップ自身なのは間違いないだろう。今後アキバがどのように変化していくのか、注目していきたい。
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