「Radeon HD 2600 XT」を「GeForce 8600 GT」と比較する:イマドキのイタモノ(2/2 ページ)
統合型シェーダユニットを採用した新世代Radeonのミドルレンジがようやく出荷を開始する。「65ナノ」という新技術とともに、期待されるコストパフォーマンスを速報する。
ベンチマークシステム環境 | |
CPU | Core 2 Extreme QX6700(動作クロック2.66GHz) |
マザーボード | nForce680i SLI搭載マザー |
メモリ | DDR2-800MHz/1GB×2ch |
HDD | ST3160023AS |
OS | Windows XP Professional(SP2) |
繰り返して紹介しているように、今回評価したRadeon HD 2600 XT搭載グラフィックスカード「Radeon HD 2600XT 256MB GDDR3 PCIE」はビデオメモリにGDDR3を採用しているため、メモリクロックを定格より抑えた700MHz(DDRデータ転送レートで1.4Gbps)に設定されている。今回測定したベンチマークテストの結果もそれが大きく影響した値を示している。(記事掲載時において、3DMark06と3DMark05のグラフでテスト条件表記に誤りがありました。お詫びして訂正いたします)
ドライバのチューニング状態と、チューニングが進むに連れてそのパフォーマンスが大きく改善されるAMD(ATI)のGPUの傾向を考えると、今回測定したベンチマークの結果はRadeon HD 2600 XTのパフォーマンスをフルに引き出していない可能性も考えられる。そういう意味ではRadeon HD 2900 XTのレビューでも述べたように、参考値として評価するのがいいのかも知れない。
3DMark06の結果において、総合スコアの「3DMark Score」とシェーダモデル2.0における性能を見る「SM2.0 Score」でRadeon HD 2600 XTはGeForce 8600 GTの値に届かない。3DMark Scoreで解像度が高くなるとその差は縮まってくるがそれでもGeForce 8600 GTを越えることはない。しかし、HDRとシェーダモデル3.0における性能を測定する「HDR/SM3.0 Score」やシェーダユニットの演算能力を見る「Perlin Noise」において、Radeon HD 2600 XTの結果は他を圧倒する。シェーダユニットに関連するテスト結果が優れている傾向は、グラフを掲載していない3DMark06のPixel Shaderテストや3DMark05でも同様で、これは上位モデルのRadeon HD 2900 XTとGeForce 8800 GTXとの比較でも確認されている。
市販ゲームを使ったベンチマークでは、ゲームタイトルによって結果の傾向が大きく変動しているが、それぞれのゲームにおける優劣は上位モデルRadeon HD 2900 XTのベンチマーク測定で示されたものとほぼ共通している。Radeon HD 2600 XTも同じ3Dエンジンを採用しているDOOM 3とQuake 4で比較的いい結果を出している。とくにQuake 4の結果は良好で、解像度に関係なくアンチエイリアシングや異方性フィルタリングの設定が軽い条件ではほかのGPUを上回る値を残している。ただし、設定条件が重くなると逆にGeForce 8600 GTに大きく差をつけられてしまう傾向も見られた。一方、FarcryとF.E.A.R.の結果はGeForce 8600 GTから大きく差をつけられ、Farcry全般や負荷の重いF.E.A.R.テストにいたっては価格帯的にひとつ下のランクになるGeForce 8500 GTの結果も下回っている。
絶対性能という視点で見た場合、今回のベンチマーク結果は「Radeon HD 2600 XTは競合するGeForce 8600 GTを上回ることはできない」ことを示している。ただし、定格から7割のクロックに抑えられた状態における比較であるので、GDDR4を搭載してメモリクロックが1100MHzで設定されたときに、GeForce 8600 GTを上回る可能は高い(GeForce 8600GTをわずかに超える結果が出ているという海外の情報もある)。
実売価格を見た場合、SAPPHIREの「Radeon HD 2600XT 256MB GDDR3 PCIE」は1万8000円前後が予定されている。ほかの製品を見てもビデオメモリにGDR3を採用した製品の実売価格が1万7000円から1万8000円のあいだに、GDDR4を採用した製品の実売価格が2万1000円から2万2000円のあいだに設定されていて、GeForce 8600 GTの実売価格が1万8000円から2万円のあいだで推移していることを考えると、それぞれがパフォーマンスに相当した序列で価格を「上手に」設定しているようにも見える。
グラフィックスカードにまわせる予算が2万円程度で、長年Radeonシリーズのミドルレンジクラスを使ってきたユーザーにとって、競合より抜きん出だ3D性能は持たないものの、DirectX 10やUVDのサポート、HDMIインタフェースアダプタの付属など「新しい機能」を評価できるユーザーはGDDR3採用の製品を選んでコストを節約するのもいい選択となるかもしれない。
ミドルレンジGPUを購入するが、ゲームもそれなりにするので絶対的な3D性能は重視したいというユーザーは、約4000円というコストよりはメモリクロックを優先してGDDR4を搭載した製品を購入するのが得策だろう。
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