身近なスモールビジネスを助けたい――デル「Vostro」シリーズの決意(2/2 ページ)
デルが中小企業向けに投入した新シリーズの「Vostro」(ボストロ)。新ブランドの“真意”と“本気度”を確かめるべく、デル本社へと向かった。
そもそもVostroという言葉の意味は?
――Vostroに込められた意味、思いを教えてください。
中島 Vostroの発表会でも述べましたが、“Vostro”という名称にはいろいろな思いを込めました。ただ、個人的には、自営業などいわゆるSOHOをやっている田舎の親類を常にイメージしていました。今年も家内の実家に帰省するのですが、たまに帰ると「ちょっとPCの調子が悪いので、見てくれよ」と言われるわけですよ。「プリンタが動かないんだよ」とかですね(笑)。
Vostroをスタートさせるにあたり、このような“身近にある小さなビジネス”でがんばっている人たちを助けたいという思いが最初からありました。これまですぐそばにあったんだけど、市場の拡大とともに忘れ去ってしまった、何とかしなければと思っていたけど手が回らなかった分野と言い換えることができるかもしれません。
とはいえ、ただでさえ横文字のVostroですから、パッと見では意味がわかりません。一言で“あなたのブランド”ですと言っても、ハードウェアだけでなくサービスもわかりやすいパッケージになりましたとだけお伝えしても、それだけでは「どこかで聞いたことあるね」というレベルで終わってしまうと思うんです。ですから、より具体的に明示していく必要があります。デスクトップPCを10台ほしいとか、ノートPCもデスクトップPCも複数台ほしいとか、さまざまなニーズに対してソリューションを含めて具体案を提示することで、初めてVostroの実態がお客さまに伝わっていくのではないかと考えています。
Vostroのこれから──そのスピード感に期待してほしい
Vostroが登場してから1カ月が経過した。現状ではノートPCが3モデル(Vostro 1500/1400/1000)、デスクトップPCが2モデル(Vostro 200 スリムタワー/ミニタワー)で展開されるVostroだが、ボディカラーが黒である点を除けば、まだまだInspironシリーズとの違いが見えにくい側面もある。ブランドとして立ち上がったばかりであり、デル自身も手探り段階であることを認めている。
中島 Vostoroはまだブランドを立ち上げたばかりのため差別化が見えにくいですが、Vostroをスタートさせたからには、今後は明らかに大企業向け(LatitudeやOptiPlex)ともコンシューマー向け(XPSやInspiron)とはひと味違ったラインアップを作り上げていくつもりですし、そうならないと意味がないでしょう。
社内的な組織を見ても、これまではコンシューマーとSMBが一体となっていたのですが、ワールドワイド規模でグローバル・コンシューマー・グループが立ち上がりました。つまりコンシューマーとSMBが完全に分かれたことで、販売戦略やユーザーサポートの面でも明確に違いが出ますし、今後は変わっていくと思います。社内的には非常に大きな変化と認識しています。
――Vostroシリーズの今後の方向性を教えてください。
中島 デルの一番の強みは、セールスの段階でもサポートの段階でも、あらゆるところからダイレクトにお客さまの声を聞ける点にあります。さらに聞くだけでなく、その声をいかに早く次の製品に盛り込めるかという点でも非常にスピーディな組織になっています。
したがって、ブランドをはじめたばかりのVostroの今後についても、そのスピード感はご期待いただいてかまいません。今はSMB向けに専用ブランドを立ち上げたこと自体が、弊社からお客さまに向けたメッセージです。それだけ、デルの決意が表れていると思ってください。今回、きちんと意思表明をしたからには中途半端なことはしたくありませんし、お客さまの声を第1に聞いていきたいと考えています。Vostroを“黒いInspironだった”とは言わせませんし、それで終わらせるつもりもありません(笑)。
現状はXPS M1330が担っているモバイルPCの部分も、Vostroブランドで展開していきたいですね。本格的にモバイルシーン向けに製品を投入できたときが、ある意味Vostro第2のスタート言えるかもしれません。
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