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NVIDIA、初のインテル向け統合型チップセット「GeForce 7-Series for Intel」発表シングルチャネルメモリでもAero可(2/2 ページ)

インテルプラットフォームユーザーから、「あれはどうなった?」といわれていた、NVIDIAの統合型チップセットがようやく登場。「謎」だった“あの”スペックを詳しく紹介しよう。

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HDMI標準対応なれどPureVideo搭載せず

 MCP73では、追加コストをかけずにHDMI(High-Definition Multimedia Interface)ポートが実装できるようになっている。HDMIを実装するには、HDCP(High-bandwidth Digital Content Protection system)と呼ばれる、コンテンツをセキュアに出力する仕組みをサポートしている必要がある。このHDCPの実装には、マザーボードやグラフィックスカード側に暗号化鍵を封じ込めておかなければならない。

 Intel G33 Express、同G35 Express、Intel GM965 Expressなどでは、この暗号化鍵をチップセットの内部に用意していないため、暗号化鍵を封じ込めたコントローラを別途コストをかけて準備することになる。しかし、MCP73ではこの暗号化鍵があらかじめチップセット内部に封じ込めてあるため、マザーボードベンダは追加コストなしでHDMIが実装できるようになっている。

 ただし、MCP73には動画再生支援・高画質化の機能、いわゆる「PureVideo」が実装されない。NVIDIAのGeForce 7世代にはPureVideoが導入されており、CPU負荷が高くなるHD動画の再生時に大きな効果を発揮する。ところが、MCP73では、H.264/VC-1のハードウェアデコーダ機能を持つ、第2世代の「VP2」と呼ばれる最新のPureVideo HDはもちろんのこと、VP1と呼ばれる初代のPureVideoすら実装されていない。Intel G33 Express、同G35 Express、Intel GM965 Expressなどが「Intel ClearVideo Technology」と呼ばれる動画再生支援・高画質化の機能を搭載しているのに比べると、HDコンテンツの再生性能において不利であるのは否めない。

 NVIDIAのラゴネス氏によれば「MCP73はNVIDIAのインテル向けチップセット組み込みのグラフィックスコアとしては最初の製品となる。だから、低コストというメリットを明確にだすために、あえてPureVideoの機能を搭載していない。しかし、次世代の製品では採用する予定だ」と、MCP73の後継製品でPureVideoに対応することを明らかにした。

 ラゴネス氏は、その後継製品がどのようなものになるのかについて明言は避けたが、OEMベンダ筋の情報によれば、その製品は“MCP78”という開発コード名で開発されており、NVIDIAのGeForce 8世代のコアを内蔵したより強力な製品になるという。さらに、単体型GPUを搭載したグラフィックスカードをシステムのスロットに差した場合、チップセット内蔵のグラフィックスコアの演算機能も3D描画に利用できる「Hybrid SLI」と呼ばれる機能が導入される予定で、より強力な3D性能が期待される。

低コストなインテルプラットフォームでWindows Vistaを動かしたい人は注目すべし

 MCP73には、5つのSKUが用意されており、OEMベンダはニーズに合わせて選べるようになっている。

製品名 GeForce 7150/nForce 630i GeForce 7100/nForce 630i GeForce 7050/nForce 630i GeForce 7050/nForce 610i nForce 630i
対応CPU Core 2 Duo/Extreme Core 2 Duo/Extreme Core 2 Duo/Extreme Core 2 Duo/Extreme Core 2 Duo/Extreme
Pentium D Pentium D Pentium D Pentium D Pentium D
Pentium4 Pentium4 Pentium4 Pentium4 Pentium4
Celeron D Celeron D Celeron D Celeron D Celeron D
CPUソケット LGA775 LGA775 LGA775 LGA775 LGA775
FSB 1333MHz 1333MHz 1333MHz 1066MHz 1333MHZ
メモリ DDR2-800 DDR2-800 DDR2-800 DDR2-667 DDR2-800
内蔵GPU DX9(1VS/2PS) DX9(1VS/2PS) DX9(1VS/2PS) DX9(1VS/2PS) 非内蔵
シェーダモデル 3.0 3.0 3.0 3.0 -
グラフィックスコアクロック 600MHz以上 600MHz 500MHz 500MHz -
ディスプレイ出力 HDMI/DVI/RGB HDMI/DVI/RGB HDMI/DVI/RGB RGB -
PCI Express X16×1、X1×2 X16×1、X1×2 X16×1、X1×2 X16×1、X1×2 X16×1、X1×2
SATA 4(3Gbps) 4(3Gbps) 4(3Gbps) 4(3Gbps) 4(3Gbps)
PATA 2 2 2 2 2
RAID 0、1、0+1、5 0、1、0+1、5 0、1、0+1、5 0、1 0、1、0+1、5
ネットワーク 1Gb 1Gb 1Gb 100M 1Gb
USB 10 10 10 8 10

 MCP73はGPUとしての名前である「GeForce 7xxx」とチップセットとしての名前である「nForce 6xx」の2つの製品名がついているが、2チップではなく、その形態はワンチップである。なお、これらのラインアップでGeForce 7050/nForce 630iはOEMベンダにのみ提供され、GPUを内蔵しないnForce 630iは供給期間を限定されたベンダに特定の地域でのみ提供という特別なモデルになる。従って、日本の市場に登場しそうなのは、GeForce 7150/nForce 630i、GeForce 7100/nForce 630i、GeForce 7050/nForce 610iの3製品となる。

GeForce 7150/nForce 630iのブロックダイアグラム
GeForce 7100/nForce 630iのブロックダイアグラム
GeForce 7050/nForce 610iのブロックダイアグラム

 出荷はまもなく開始される予定で、価格は未定だが、マザーボード原価の見込みとして、GeForce 7150/nForce 630i搭載マザーが70ドル(日本円で約8000円)、GeForce 7100/nForce 630iが60ドル(同じく約7000円)、GeForce 7050/nForce 610iが50ドル(同じく、約6000円)という価格帯になると見られている。実際にはこれに流通コストなどがかるので、実売価格はもう少し高めになると思われるが、それでも1万円前後で購入できる可能性が高い。

 そうした意味では、メモリモジュールが1枚で済み、マザーボードも安価なMCP73は、価格競争力が望まれるバリュークラスPCにおいて、インテルプラットフォームでもWindows Aeroが動作する環境を整えたいユーザー(そしてPCベンダー)にとって非常に有力なモデルとなる可能性が高い。すでに述べたように、性能を最優先させるユーザーにはちょっと力不足であるが、Windows Vistaを動作するPCを低予算で用意したいならMCP73は魅力的な選択肢になるだろう。

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