“モバイル”だけど性能は“モンスター”――日本HP「HP Compaq 8510w Mobile Workstation」:15.4インチでWUXGA(3/3 ページ)
各社から相次いで登場したモバイルワークステーションの日本HP版が「HP Compaq 8510w Mobile Workstation」だ。その実力を見ていこう。
Open GL環境でも高いパフォーマンスを発揮
最後に気になるパフォーマンスも見ていこう。まずWindowsエクスペリエンスインデックスは4.8だ。これはメモリのスコアになるが、評価機はシングルチャネル構成だったのでこれも影響しているだろう。もっともほかのサブスコアは5を超えており、特にグラフィックスのスコアは高い。PCMark05でもスコアは5000を余裕で超え、PCとしてのトータルパフォーマンスは優秀なことが分かる。
グラフィックスチップのNVIDIA Quadro FX 570Mはモバイルワークステーション向けのラインアップではミドルレンジに位置するが、シェーダーモデル4.0にも対応する最新アーキテクチャを採用する。GeForce 8600Mベースとなっているので、DirectXベースの3Dゲームなどでも高いパフォーマンスが期待できる。実際3DMark06でも3752(初期設定)というスコアを記録しており、よほどヘビーな3Dゲームタイトルでなければ十分楽しめるはずだ。FINAL FANTASY XI for Windows オフィシャルベンチマークソフト3では、Highで4775と高解像度モードで余裕を持って楽しめるスコアとなっている。
3Dアプリケーションで多用されるOpen GL環境は、比較の関係もあったので1世代前のSpecViewPerf9を用いた。手持ちのデータの都合でCPUが同じで同クラスのAMD製グラフィックスチップを搭載するエプソンダイレクトのNJ5100Proと、これの旧世代となるNJ5000Proのスコアを引用したが、グラフィックスチップの違いで得て不得手ははっきり見えるもの、すべてのアプリケーションで旧世代製品は上回り、本機のスコアがほかを大きく引き離すアプリケーションもあった。このスコアは“その筋”の人しか判断しにくいと思うが、モバイル性も配慮された製品としては十分に高いスコアと言えるだろう。
多くの魅力を備えたコンパクトなワークステーション
本機は高解像度ディスプレイと優れたビジネス3Dグラフィックス性能がまずは魅力となるが、使い勝手への配慮もしつつ最新製品らしくノートPCとしてのトレンドもしっかりと押さえている。直線基調のデザインは同社のコンシューマー向け製品とはまた違ったスタイリッシュさも備えており、所有欲を満たすという点でも合格ラインにあるだろう。もちろん、ボディの造りという点でも使用していて不安を感じることはなかった。
では「持ち歩けるワークステーション」としてはどうだろう。約2.7キロという重量は、さすがに日々持ち歩くノートPCとしてはヘビーと言わざるを得ない。筆者は普段約2.3キロのThinkpad T43を持ち歩いているのだが、それでも単体で比較するとかなり重いと感じる。もちろん持ち歩くこと自体には問題はないし、性能とのトレードオフもあるから、これで2.7キロならばと思える人も多いだろし、本機が確かに魅力的なサイズ、重量であるのも間違いはない。ただし15.4インチワイドでWUXGAという解像度はかなりドットピッチが狭くなるので、例えばスプレッドシートで多くの項目を見たい、という用途には必ずしも向いていない。この辺りモバイル性とのトレードオフだし、同社の製品であれば17インチワイド液晶ディスプレイ採用の「HP Compaq 8710w Mobile Workstation」も選択肢に入れたほうがよさそうだ。
ライバルはレノボ・ジャパンのThinkpad T61p(64595BJ:直販価格で39万6900円)辺りとなり、価格もカタログスペックもかなり均衡する。メモリは本機(2Gバイト)が勝り、HDD容量(160Gバイト)とOS(Windows Vista Ultimate)はThinkPad T61pに分がある。ユーザーインタフェースは好みがあるし細かな点の相違も多いが、本機の場合約200グラム軽量なことや、標準バッテリーでの長い動作時間といった点が勝っており、可搬性という意味では本機に魅力がある。バッテリー動作時間はカタログスペックでの話だが、どちらも基準は同じ(JEITA測定法)であり、1.5時間という動作時間の違いは間違いなく実使用でも反映されるはずだ。
ともあれ高いビジネスグラフィックス性能とモバイル性の両立を求める人にとって、本機は貴重な選択肢かつ魅力的な製品であるのは間違いないだろう。
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