「XPS M1730」のオーバークロックパフォーマンスをチェックする(2/2 ページ)
なぜか評価機のCPUがBTOにもないバリューモデルだったおかげで、お待たせしてしまったXPS M1730の真の実力を紹介。さらにオーバークロックの限界も探ってみた。
最新DirectX 10世代のゲームでみるXPS M1730の性能
今回行ったベンチマークテストでは、定格とされる「2.8GHz」に加え、「3.0GHz」、「3.2GHz」、そして「3.4GHz」のそれぞれの設定において動作と性能を確認した。ただし、オーバークロック設定においてベンチマークテストが完走しなかったいくつかのテストでは、その設定におけるベンチマークテストを行わなかった。なお、BIOSではCPUの動作クロック設定以外は変更を行っていない。ForceWareのバージョンはXPS M1730に標準添付の「156.61」を用いている。ForceWareのアップデートについて、デルが配布するForceWareはサポート対象に含めるが、ユーザーが自分でNVIDIAから入手したForceWareを適用した場合はサポート対象外になる。頻繁にアップデートされるForceWareだが、デルのサポートサービスを利用するユーザーはその適用に注意してほしい。
3DMark06では、2.8GHz時(1280×1024ドット、nonAA、nonAniso)で8304、3.0GHzでは8440、3.2GHzでは8515という3DMarksが記録された。この結果から、各解像度、各クロックでのCPU Scoreを抜き出し、2.8GHz動作における結果との相対性能をチェックしてみると、2.8GHzから3.0GHzにかけては、どのテストにおいても106〜107%の性能向上が確認された。これは2.8GHzから3.0GHzへのクロック向上(107%)にほぼ一致する。
ただし、クロック比で2.8GHzの114%となる3.2GHz動作の結果では、1280×1024ドット表示、nonAA、nonAnisoの条件で111.4%、1920×1200ドット表示、nonAA/nonAnisoの表件で109.6%と、クロックの向上にやや及ばない結果となっている。3DMark06の完走率(動作の安定性を示す)で見ても、3.0GHzから3.2GHzに引き上げたあたりから一気に下がり、3.4GHzではついに1度も完走できなかった。
一方で、ゲームタイトルの「Crysis Single Play Demo」「F.E.A.R.」は3.4GHzまでベンチマークが完走した。CrysisにはCPU_BenchmarkとGPU_Benchmarkベンチマークとが用意されている。オーバークロックによるパフォーマンスの違いを見るために、ここではCPUベンチマークの結果を紹介する。CPUベンチマークにおいて、クロックアップに従ってスコアが伸びたと言えそうなのはTimeDemo Run 0のみ。2.8GHzでの結果が低かったが、これは19〜22FPSというスコアのばらつきがみられたためだ。TimeDemo Run 1〜3に関しては、CPUクロックに応じてスコアが伸びているとは言い難い。F.E.A.R.では、4xAA/8xAniso、4xAA/16Anisoで、1280×1024ドットのみCPUクロックに応じたスコアの伸びが見られるが、負荷が重くなる1600×1200ドット以降では頭打ちになっている。
XPS 720より慎重なオーバークロック設定が必要
なお、動作クロックが2.8GHzや3.0GHzの設定において、システムファンの回転数は制御されており、動作音は気になるほどではない。ゲーム中でも、よほど負荷が重くならなければ最大回転には達しない。しかし3.2GHzに引き上げると、BIOS起動時からファンが最大回転で動作するようになる。
ファンの回転数は、温度を計測して制御しているのか、あるいは3.2GHz以上で決め打ち的に最大回転数に引き上げられるのかは不明だ。しかし、いずれにせよ3.2GHz以上で動作させる場合は、CPUの発熱量も相当なものになっていると思われる。こうしたCPU発熱量の増加に加え、ノートPCであるがゆえに冷却面の制限がある。そういう事情も含めて、XPS M1730オーバークロックに関しては、デスクトップPC(例えばXPS 720 H2C Editionなど)よりも、慎重に作業を進めるべきだろう。
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