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MacBook Airから見える新しい風景MacBook Airレビュー前編(2/4 ページ)

冷たく、静かで、どこまでも美しい1枚の板――MacBook Air。その先には、新しいPCライフスタイルが広がっている。前編では、Mac歴20年の林信行氏がMacBook Airに対する思いを織り交ぜつつ、その思想的背景に迫る。

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道具はライフスタイルを変える

 MacBook Airの試用日数はわずか3日ほどで、OSのメジャーアップデートを経たわけでもない。しかし、このマシンを使い始めて、1つ確信したことがある。それは、道具は人のライフスタイルを確実に変える、ということだ。

 例えば、それまでナップサックで通勤していた人が、手持ちカバンに替えたとしよう。片手の自由が奪われ、手にズシリと重みを感じることになるが、それだけにカバンを電車の網棚に置くようになり、移動中はかえって身軽になることができる。

 車をスポーツカーにした人は、せっかくの車をただただ都心を渋滞の排気ガスで汚すのではなく、週末のドライブに活用したいと思うことだろう。

 それと同じように、MacBook Airも、PCとの接し方を大きく変えてくれる。

 この薄く美しい筐体を眺めていると、もしこのマシンに容量500GバイトのHDDが内蔵されていたとしても、多機能なアプリケーションスイートをすべてインストールし、数年分の情報をそっくり移行する、という使い方は似合わない気がする。

 筆者は20年ほどMacを使い、多数のアプリケーションをインストールし、膨大なデータを蓄積している。これまではマシンを変えるたびに、電子メールをはじめ、よく参照する書類や1年に1度使うかどうかも分からないアプリケーションまで、すべて移行し続けてきた。

 そのおかげでHDDを160Gバイトに換装したいまのMacBookは、「アプリケーション」フォルダの中に200を超えるアイコンが並び、目的の項目をなかなか見つけることができない状態になっている。そして、マシンを使い始めてから1度として開いたことがない死蔵ファイルも溢れている。情報が多いほどSpotlight検索の効果も上がって便利になるし、「整理は不要」と考えつつも、どこかで常に過去の重荷を引きずっているような気持ち悪さがあった。

 そこでMacBook Airの購入を機に、過去と決別することにした。

移行アシスタントは、初回起動時に表示されるほか、後から手動で利用することもできるが、今回筆者はこれを使わず、必要な設定だけを「.Mac Sync」で同期した。MacBook Airにはこれで十分だ

 Macにはそれまでの環境をそっくり移行してくれる「移行アシスタント」という便利な機能があり、MacBook Airでも、初回起動時の設定中に、これを使うかという問い合わせ画面が表示されるが、今回は確信を持ってこれをキャンセルした。ひたすら情報を蓄積していくスタイルをやめたのだ。

 ソフトウェアも厳選して、本当に必要なものだけをインストールし、使わなくなったアプリケーションや、終わった仕事の書類は、後から参照する可能性があるものを除いて、どんどん削除していこうと思っている。

 筆者がそれだけ潔くなれるのは、MacBookという別のMacがもう1台あって、そちらに情報をためているからだと思うかもしれない。その通りだ。筆者はMacBook(できれば、近々iMacに置き換えたい)を母艦として、MacBook Airと2台体制で使っていくつもりだ。

 しかし、実はもう1つのプランもある。それはMacBook Air単体と、まもなく出荷が始まるはずの新製品「Time Capsule」との組み合わせだ。Time Capsuleは、Mac OS X “Leopard”の自動バックアップ機能である「Time Machine」に対応したネットワークストレージだ。

 Time Machineは、Macから削除したはずのデータを、時間をさかのぼって検索できる。実はその必要性に少しだけ疑問を感じていたのだが、MacBook Airを見たときに納得した。Time MachineとMacBook Airは、ぜい肉のように死蔵データをため込まず、不要と思ったらどんどん削除していく――そんな新しいPCライフスタイルを提案している。

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