今度のタブレットはひと味違う――「HP Pavilion Notebook PC tx2005/CT」:これが世界シェアNo.1の実力(2/2 ページ)
iPAQシリーズと同様、黎明(れいめい)期からタブレットPCを供給し続ける日本HP。その最新モデルの実力に迫る。
配列は素直だが若干クセを感じる入力環境
キーボードは、利用頻度の高いキーを優先したレイアウトで、アルファベットキーは縦/横ともに19ミリのキーピッチを確保しており入力しやすい。レイアウトも素直だが、最上段にあるファンクションキーや半角/全角キー、最下段にあるカーソルキーなどは小さくなっている。加えて、ピュアタブレット時に液晶ディスプレイのぐらつきを防止する出っ張りが左右Shiftキーの外側にあり、慣れるまでは意外と気になった。
タッチパッドはパームレストと一体化した独特のデザインで、表面がディンプル加工されているが、操作した感触はなかなか良好だ。パッドの右端部分はスクロール操作に対応するほか、タッチパッド上部にタッチパッド機能のオン/オフを切り替えるスイッチも用意されており、キーボード操作に集中したい時や専用ペンで操作しているときの誤動作を防ぐことができる。
液晶ディスプレイのフレーム部分(向かって右側)には、映像や音楽を再生できる「QuickPlay」の起動やDVD-Video/音楽CDやマルチメディアコンテンツの再生操作に対応したボタンを装備する。液晶ディスプレイの右下部分には、画面の縦/横位置を切り替えるボタンも用意される。ボタンを押すごとに表示が90度ずつ時計回りに回転するので、タブレットスタイルで使うときに便利だ。また、ExpressCardスロット内に収納しておける赤外線リモコンが付属し、電源オン/オフやカーソルキー、DVD/CD再生の操作が気軽に行えるのもうれしい。ちなみに、本機には液晶ディスプレイの上部にWebカメラ、左側に指紋認証ユニットが内蔵されており、スタンダードモデルでも注文時に追加が可能だ。
ベンチマークテストの結果は良好だがファンの風切り音は気になる
それでは、本機の性能はどれくらいのものなのだろうか。ベンチマークテストの結果を見てみると、PCMark05 1.2.0では総合スコアのPCMarksで3000以上、CPUでは4000に迫る優秀なスコアをマークしている。反面、Graphicsは少々弱い印象だ。3DMark06 1.1.0の値は内蔵グラフィックスコアがDirectX 9.0cのShader Model 3.0に非対応であることもあって振るわない。しかし、DirectX 8.1世代のゲームがベースになっているFINAL FANTASY XI Official Benchmark 3のスコアは良く、ぜいたくを言わなければ実用的にプレイできるレベルにはある。Windowsエクスペリエンスインデックスのスコアは上記の通りで、グラフィックスとゲーム用グラフィックスがいまひとつだが、CPU、メモリ、HDDともに良いスコアだ。
最後に本体の発熱や騒音の印象だが、Webブラウズやワープロ程度の軽い作業でも冷却ファンの回転速度が上がりやすく、それとともに騒音も上昇/下降する。負荷が高いベンチマークテストの最中はファンの風切り音がかなり耳に付いた。発熱は冷却ファンがある右背面付近が最も高く、一連のベンチマークテスト終了時に放射温度計で計測したところ57度(室内温度は25度前後)だった。ただボディ全体に熱はそれほど伝わらず、底面は最も熱い部分でも47度だった。一方、本機を長時間(2時間以上)使っていると、右パームレスト辺りがじんわりする程度(放射温度計で40度弱)の発熱が感じられた。
コストパフォーマンスの高さは文句なし。タブレット普及のカンフル剤となるか
HP Pavilion Notebook PC tx2005/CTはスタンダードモデルなら直販価格が9万9960円と10万円を切る。これでもかなり買い得感が高いが、今回取り上げた500台限定の発売記念キャンペーンモデルはさらにすごい。CPUやメモリを強化しつつ、指紋認証ユニットとWebカメラまで備えながらも価格は約4000円しか上乗せのない10万2900円で販売されている(3月11日現在)。ノート/タブレットのコンバーチブルPCとしてはもちろん、同程度の性能機能をもつノートPCと比べても破格の値付けといえる。
これまでも指摘してきたように、バッテリー駆動時間の短さやファンの風切り音が大きい点、液晶ディスプレイの視野角があまり広くないことを考えると、モバイル機として常に携帯し、タブレット機能をガンガン使ってビジネスに役立てたいというユーザーには物足りない。そういったユーザーは、同社のビジネス向けPC「HP Compaq 2710p Notebook PC」や「HP Compaq tc4400 Tablet PC」を検討すべきだ。むしろ、キーボードやマウスよりも直感的に操作できるタブレット機能の良さを広めるべく投入された、コンシューマー向けの低価格PCというのが本機の位置付けだろう。
いずれにしても、本機のトータル的なコストパフォーマンスはきわめて優秀で、ワールドワイドのPC市場でシェアNo.1に君臨しているHPのパワーを実感させてくれるモデルであるのは間違いない。
関連記事
- HP Pavilionシリーズが「速さ」「美しさ」「タッチ」を軸にラインアップを一新
日本HPの個人向けPC「HP Pavilion」シリーズに春モデルが登場。新デザインの採用、Blu-ray Disc/HD DVD両対応ドライブの追加がトピックだ。 - 日本HP、新デザイン「ZEN」ノート4モデルなど春モデル11製品を発表
日本ヒューレット・パッカードは、2008年春モデルとなるデスクトップPC/ノートPC計11製品を発表した。 - モバイルもタブレットもOK!なニクイやつ――日本HP「HP Compaq 2710p Notebook PC」
日本HPの「HP Compaq 2710p Notebook PC」は、ペン操作のタブレット機能を備えたモバイルPCだ。その硬派ないでたちに迫ってみた。 - 日本HP、最上位ノートPCのオプションにHD DVDドライブを追加
日本ヒューレット・パッカードは、個人向けノートPC「HP Pavilion Notebook PC dv9500/CTウィンターモデル」のカスタマイズオプションにHD DVD-ROMドライブを追加した。 - Alien vs. Voodoo!──DELLとHPのゲーミングPC代理戦争
AilenwareにVoodoo。どちらも超大手に買収されたゲーミングPCブランドだ。その2大ブランド(ただし米国限定)が、CESという戦場で「大国の後押し」を受けて激突した。 - まずは2けたのシェア獲得を目指す――日本HPがコンシューマー向けデスクトップPCを発表
日本HPが発表会を開催し、ほぼ4年ぶりにコンシューマー向けデスクトップPCをお披露目した。また、会場ではCESで公開されたコンセプトPCも登場した。 - PCではない、コミュニケーションツールであるという「TouchSmart PC」をHPに聞く
日本HPが発表した「HP TouchSmart PC」は、同社では珍しいファミリーユースに的を絞った新製品だ。日本での展開や思惑を聞いた。 - 指1本操作のTouchインタフェースを採用した「HP TouchSmart PC」が登場
日本HPは9月27日、“指1本”で家族のライフスタイルを変えるコミュニケーションツール「HP TouchSmart PC」を発表、翌日から販売を開始する。 - “Dragon”“Elite”“Verve”でドライブするHPのコンシューマーPC
プリンタ編に続き、米Hewlett-Packardのアジア太平洋地区コンシューマー向け製品発表会のPC編をお届けする。 - 日本HPが保険型データリカバリサービスを提供開始──「HP Total Care」がスタート
日本HPがPCベンダーとしては初となる、保険型のPCのデータ復旧サービスをはじめとした「HP Total Care」の提供を開始する。 - “モバイル”だけど性能は“モンスター”――日本HP「HP Compaq 8510w Mobile Workstation」
各社から相次いで登場したモバイルワークステーションの日本HP版が「HP Compaq 8510w Mobile Workstation」だ。その実力を見ていこう。 - “コンピュータをもう1度我が手に”――HPのデザイン展望
語られるようでいて実は語られていない、PC・周辺機器のデザインにフォーカスした本連載。PCメーカー編の第6回はヒューレット・パッカードだ。 - “クラシック”だけど最新鋭のPDA――「HP iPAQ 112 Classic Handheld」
日本でスタンドアロンのPDAを安定供給し続ける日本HP。その2008年モデルが「HP iPAQ 112」だ。まずはお手並みを拝見しよう。 - Vistaを快適に使えるPCはどれだ!?――2008年PC春モデル特集
国内PCベンダーから、2008年PC春モデルが出そろった。Vista登場から1年がたち、PCはどのように進化したのだろうか?
関連リンク
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.