世界シェアNo.1ベンダーが放つ新型ボードPC「HP TouchSmart PC」を試す :iMacのライバル登場か(1/2 ページ)
昨今、デスクトップPCは液晶一体型でスリムな“ボードPC”が人気を集めている。日本HPが投入する新ボードPC「TouchSmart PC」の出来栄えは?
2世代目は汎用性を高めたボードPCに進化
昨年、日本HPがリリースした「HP TouchSmart PC」(IQ700シリーズ)は、とても力が入ったコンセプトPCだった。自社開発のソフトウェア「HP SmartCenter」を中核に、タッチスクリーンを備えた液晶ディスプレイ一体型PCを家族のコミュニケーションツールとして活用するという考えは、ホームPCに対する1つの提案として傾聴に値するものだったと思う。
しかし、逆に言うと、コンセプトPCはユーザーを選ぶ。ターゲットが絞り込まれているだけに、そのコンセプトに合致しないユーザーには手を出しにくくなってしまう。メーカーの力が入った割に、もう1つ話題にならなかった理由の1つは、その辺りにあるのではないか、という気がする。
今回発表されたIQ500シリーズは、2世代目のTouchSmart PCとなる。IQ500シリーズにも自社開発のTouchSmartソフトウェアが添付されているが、キャッチフレーズが「コミュニケーションツール」から、「プレミアム・ボードPC」に変わった。用途を訴求するのではなく、PCの形状を訴求するもの(用途を特定しないもの)になったわけで、より汎用性を意識した変化と言えるだろう。
発表時点でIQ500シリーズに設定されているのは3モデル(直販のHP Directplusが2モデル、店頭販売向けが1モデル)。いずれも22型ワイド光沢液晶ディスプレイを採用した一体型だが、キャッチフレーズにもあるように、ほとんどPC本体部に相当する厚みの感じられない、単体の液晶ディスプレイに近いデザインとなっている。スタンドを除く本体の厚みは約4.5〜9.5センチで、ボードPCの名前にふさわしい(ただし重量は液晶ディスプレイよりグンと重く約11.6キロもある)。利用時は背面のスタンドで立てる形となるが、標準の傾き角を10度〜40度で選べる。最小の10度ではスタンドを含めた奥行きが約22センチで、B5ノートPCなみの奥行きにおさまる。また、付属のワイヤレスキーボードを、このスペースに収納することもできる。
ダウンライトを備え、すっきりとしたデザインに
デザイン上の特徴は、ディスプレイ部とその下に設けられたスピーカー(片チャンネル2コ、計4スピーカー)の間に段差があること。この段差にダウンライトが仕込まれており、3段階の光量で手元を照らしてくれる。リビングの照明が間接照明を主体とする米国などでは、特に好まれる仕掛けだと思う。
ディスプレイは1680×1050ドットの22型ワイド液晶だ。いわゆる光沢液晶で、標準で輝点ゼロ保証(常時消灯ゼロ、常時点灯6コ以内)がつく。このディスプレイにはタッチセンサがつくが、IQ700シリーズ同様、指による接触を光学センサで読み取る方式であるため、デジタイザ層のおかげでディスプレイが見にくくなる(輝度やコントラストが低下する)ということはない。基本操作は、すべてこのタッチセンサで行うことが可能だが、ワイヤレスマウスも付属する。
ディスプレイの左側面にはダウンライトの調光ボタン、USB 2.0ポート×2、ヘッドフォン、マイク端子が並ぶ。その背後にあるカバー内にはUSB 2.0ポート×3、光デジタル音声出力、ギガビット対応有線LAN端子が隠れている。ネットワーク接続は主に無線LAN(IEEE802.11b/g/n)を想定しているようだが、ちゃんと有線LANポートも用意されている。無線機能としては、ほかにBluetoothも標準搭載する。
右側面は、最上部の電源スイッチに加え、スロットインタイプのスリムドライブ(DVDスーパーマルチ、LightScribe対応)、音量調整ボタン、5in1のメモリカードスロット、IEEE1394ポート(4ピン)が並ぶ。また、ディスプレイの頂上部には、カレンダーのイベント時刻に点灯するLEDランプが左端、中央部にWebカメラとマイクが、下部右側にはTouchSmartを呼び出すスイッチ(PCの起動も可能なタッチ式のスイッチ)も設けられている。ただ、すっきりした外観は好印象なのだが、HDDのアクセスランプが右側面にあるのは好みが分かれそうだ。
システムのアーキテクチャはインテルベースに変更
こういった外観以上に変わったのがその中身だ。AMDのTurion 64シリーズをベースにしていたIQ700シリーズに対し、このIQ500シリーズでは同じモバイルアーキテクチャながら、インテルのCore 2 DuoシリーズのCPUをベースにしたシステムに変更された。IQ500シリーズには、上述のように3モデルが用意されるが、直販2モデルは上位(IQ503jp)、下位(IQ501jp)ともに2.0GHz動作のCore 2 Duo T7250(Meromコア、2次キャッシュは2Mバイト)を採用する。一方、店頭モデル(IQ507jp)には2.1GHz動作のCore 2 Duo T8100(Penrynコア、2次キャッシュは3Mバイト)を搭載する。
組み合わせられるチップセットは、上記のCPUが採用する800MHz FSBに対応したIntel GM965/PM965 Expressシリーズだ。基本はGM965チップセットの内蔵グラフィックスだが、IQ503jpのみGPUとしてNVIDIAのGeForce 9300M GSを用いる。メインメモリは全モデルで標準4Gバイトだが、モバイルアーキテクチャのチップセットであるため、これが上限だ。
HDDはモバイル向けの2.5インチドライブではなく、デスクトップPC向けの3.5インチドライブを採用する。評価機に使われていたのはSeagateのBarracuda 7200.11で、すべての製品にこのドライブが採用されているとは限らないが、おそらくスピンドル回転数7200rpmの製品が使われていることは間違いないだろう。
IQ501jpとIQ503jpの違いは、HDD容量(320Gバイト対750Gバイト)とグラフィックス(チップセット内蔵対GeForce 9300 GS)だけで、後はMicrosoft Office Personal 2007の有無(IQ503jpのみプリインストール)となる。この違いで6万円近い価格差はかなり微妙といわざるを得ないが、本機は同社製PCでおなじみのBTOには対応せず、外付けグラフィックスが欲しければ、IQ503jpを買うよりない。
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