新型ボードPC「FMV-DESKPOWER F」はユーザーを“解放”するか:富士通謹製フリースタイルPC(2/2 ページ)
液晶一体型デスクトップPCで人気を博しているのがスリムな“ボードPC”だ。後発となる富士通のFMV-DESKPOWER Fの実力は?
インテルのモバイルアーキテクチャを導入
PCの基本スペックは、Intel GM965 Expressチップセットを中心にCore 2 Duo T8100(2.1GHz/2次キャッシュは3Mバイト)のCPUと、インテルのモバイルアーキテクチャを採用している(IEEE802.11b/g準拠の無線LANモジュールがアセロス製なので、Centrinoプラットフォームではない)。HDDは2.5インチSerial ATAで容量は250Gバイト(5400rpm)、メインメモリは2GバイトのSO-DIMM(PC2-5300対応)という構成だ。メモリモジュールは1枚で供給されており、標準でデュアルチャネル動作に対応していないものの、増設の際の柔軟性は高い。加えて、HDDも12.5ミリ厚タイプを収納可能なのはうれしい。
システム内部へのアクセスは、背面にあるネジを4本回して背面カバーごと取り外す必要がある。メーカーの保証対象外となってしまうが、液晶一体型PCとしてはメモリの増設やHDDの交換が比較的容易に行えるといえるだろう。
最後に本機のパフォーマンスをチェックしよう。まず、Windowsエクスペリエンスインデックスの画面を見ると、チップセット内蔵のグラフィックス機能(Intel GMA X3100)だけにグラフィックスとゲーム用グラフィックスのスコアがともに3.5と足を引っ張っているが、PCMark05のスコアは4100以上を記録しており、Webの閲覧やメールの送受信といった用途では十分な性能を発揮してくれるのが分かる。OSのWindows Vista Home Premium(SP1)もキビキビと動作し、メモリを増設してデュアルチャネル動作にすれば、スコアはさらに向上する。
なお、本機の消費電力は通常26ワット、最大でも70ワット、スリープ/休止状態なら3ワットで済む。ノートPCのアーキテクチャを採用しているだけに当然といえるのだが、本体の発熱も少なく、ベンチマークテストなどでシステムに高い負荷をかけ続けると背面左下にある排気口から風切り音が発生するが、それも耳障りではなく、普段は動作音が気になることもないほど静かだ。
逆に、前面下部には出力1ワットのステレオスピーカーを内蔵し、スリットから音が聞こえるのだが、そのサウンドは非常に貧弱で音楽再生などで物足りなさを覚える。DVD-Videoの再生もドライブの回転音を抑えて静粛なのだが、肝心のサウンドがこれではいただけない。加えて、DVD-Videoや音楽CD再生時にHDDアクセスランプをはじめとしたタッチセンサのランプを消すことができず、目障りに感じられたのも残念なところだ。
新たな選択肢として魅力的な存在だが、物足りない部分も
同社のカタログで「デスクからの、解放」をうたう本機だが、ライバルとなるVAIO type Lの下位モデルのようにバッテリーの内蔵といったギミックは持たず、電源ケーブルは必要なものの、設置スペースは小型キーボード程度で済む。製品名の由来となった“フリースタイル”、カタログでいうところの「置く場所はあなた次第」というコンセプトは実現できたのではないだろうか。
Office Personal 2007が付属するとはいえ、搭載するスペックを考えると発売当初の実売18万円前後という価格はやや高めだったが、発売から3カ月近くが経過して15〜16万円前後まで落ちてきた。同社直販の「WEB MART」では限定色のピンクオパールを選べたり、メモリ容量(4G/3G/2Gバイト)やHDD容量(250G/160Gバイト)、無線LANおよびOfficeスイートの有無などを選択したりが可能だ。保証期間も3年間に延びるほか、随時開催されているキャンペーンを活用すれば、さらに低価格で本機を入手できる。原稿執筆時は、カスタムメイドフェアのクーポンなどを適用することで、最小構成ならば11万円台で購入が可能だった。
ノートPC並みの省スペース性と、ワイヤレスキーボードとマウスによる使い勝手の良さを両立した本機は、ノートPCの買い換えや買い増しユーザーに新たな選択肢として魅力的に映るのは間違いない。とはいえ、デザイン性などを除けば、本機ならではのアドバンテージが見えないのも事実だろう。ノートPCや液晶一体型PCなど激戦区に属するモデルだけに、次期製品ではFMV-DESKPOWERならではの特徴を備えた1台を期待したいところだ。
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