ARMからAtomへ――組み込み市場に賭けるIntel:Intel Developer Forum 2008(1/3 ページ)
リビングを目指した“Viiv”。小型機器を目指した“XScale”。どちらも「転進」を余儀なくされた。Intelは、その戦場に再度臨もうとしている。
第1世代から第2世代へ――市場を広げられるか「Atom&MID」
IDF 2008の2日目に行われたキーノートスピーチで、Intelウルトラモビリティ部門ジェネラルマネージャー兼SVPのアナンド・チャンドラシーカ(Anand Chandrasekher)氏は、ユーザーのインターネット利用動向について言及している。彼は、指数関数的に伸び続けているインターネットユーザーに動向において、利用スタイルが変わることによってアクセス傾向も変化しつつあることに着目すべきだと説明している。従来は検索ポータル中心だったランキングの顔ぶれが、現在ではSNSなどのコミュニティサイトに上位を占領されつつあることを、チャンドラシーカ氏は、過去10年でアクセス率がトップ10にランキングしたWebサイトのリストを提示しながら説明した。
彼が、その典型的な例として紹介したWebサービスが、位置情報とSNSを組み合わせた「GyPSii」だ。GyPSiiはGPSの位置情報システムを利用した店舗情報検索やナビゲーションのほかに、各種SNSとリアルタイムで連携して、それらのSNSを利用した近隣にいるユーザーを探したり、位置情報タグ(=Geo-Tag)を埋め込んだコンテンツの生成や各種サービスへ反映したりなどの、SNSとGPSの特性を生かした複合サービスを複数展開しているのが特徴だ。こうした仕組みが広がることで、モバイル端末からのインターネットアクセスが、結果としてさらにインターネットの利用を押し上げるという循環を作り出すことになると、チャンドラシーカ氏は述べている。
こうした傾向を後押しするのがデバイスの役割だ。従来まで、こうしたデバイスには「ARM」や「SH-X」などの組み込み向けCPUが広く利用されていたが、最近ではではデバイスの高機能化も進み、PCとの違いがなくなりつつある。こうしたなか、Intelは過去にDECから取得したXScale(StrongARM)の資産をMarvellに売却し、ARMベースではなくあえてIAベースでモバイル端末市場へ参入しようとしている。こうした市場をターゲットにしたのがAtomだ。
チャンドラシーカ氏は、今後のモバイル端末に求められる要素として通信機能以外に「パフォーマンスとソフトウェア」の重要性を挙げている。パフォーマンスはHD動画や3Dゲームなどをモバイル端末で動かすことのできるレベルが求められ、ソフトウェアはPCとの高い互換性が求められる。PC向けのソフトウェアとハードウェアの開発者は非常に多く、開発ツールや蓄積された知識、これまでのソフトウェア資産などが、そのまま流用できるのは、モバイル端末にとって大きなメリットになる。ここで挙げた“パフォーマンス”と“ソフトウェア”に対する要求において、Atomは優れているいうのがチャンドラシーカ氏のキーノートスピーチで示された主張だ。
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