初めてのCEATECだから、「AMD HD! Experience」をアピールする:CEATEC JAPAN 2008
AMDはCEATEC会場に設けた自社ブースで、「AMD HD Experience!」を紹介するカンファレンスイベントを開き、AMDのHDコンテンツ再生技術を訴求した。
AMDならバリューPCでもBlu-rayコンテンツが楽しめる
AMDは、CEATEC JAPANで初めて自社ブースを出展した。その自社ブースのオープニングとして行ったカンファレンスでは、同社のマーケティング本部PCプラットフォームプロダクトマーケティング部マネージャーの土居憲太郎氏が、「AMD HD! Experience」の特徴を紹介した。
土居氏は、地上デジタル放送に対応する大画面テレビや、Blu-ray Discプレーヤー、フルHD画像を記録できるビデオカメラの普及によって、個人によるHDコンテンツ利用機会が増えたが、従来のPCではHDコンテンツを扱えるのが一部のハイエンドモデルに限られており、その状況を改善して、購入しやすい普及モデルのPCでも使えるようにするのがAMD HD! Experienceの目的という、これまでも同社が繰り返し紹介してきた背景を説明した。
AMD HD Experience!を構成する技術として土居氏が特に取り上げたのがUVD(Universal Video Decoder)だ。AMDが自社のGPUやチップセットに統合したグラフィックスコアに実装しているUVDは、ハードウェア(GPU)でVC-1やMPEG-2、H.264のデコード処理を行うことで、CPUの負荷率を下げ、HDコンテンツ再生中でも、メールやインターネット利用などが可能になることが紹介された。
CEATECで訴えるのは「UVD」と「GPGPU」
さらに土居氏は、AMD HD! Experienceやこれから導入が進む「GPGPU」(GPUを描画処理だけでなく汎用目的の演算処理にも用いる)によって、PCを構成する各パーツが行う役割も変化すると述べている。その例として、従来のプラットフォームでは、CPUが動画再生や音楽、写真、動画の変換処理を行う一方、チップセットに統合されたグラフィックスコアや外付けのGPUはゲームで利用されるだけだったのが、これからはGPUでもHD動画再生支援(UVD)や音楽や写真、動画の変換処理、そしてゲームにおけるAIの演算処理、そして、より高画質の動画再生などが行われるようになると説明している。
土居氏は、AMDの技術進歩の中で、AMD HD! ExperienceがAMDのプラットフォーム技術とともに着実に進化していることを示した上で、将来は、CPUとチップセットが融合した「FUSION」の登場で、チップセットでもUVDが利用できるようになるほか、次世代モバイル向けGPUではGPGPUに対応することが紹介された。
CEATECのAMDブースでは、「Radeon HD 4000世代と同じ」と土居氏が語る次世代モバイル向けGPUの動く開発サンプルが世界で初めて展示されている。開発中ということもあって、ボードサイズは大きいが、土居氏は、「製品版ではサイズはもっと小さくなり、消費電力も低くなるだろう」と説明している。
AMD HD! Experienceでは、多数のパートナー企業が対応することで、各種デバイスが同じコンテンツデータを利用できるようになるなど、より普遍的なプラットフォームへと成長するとともに、ユーザーの使い勝手も向上していく。すでに、PCバーツベンダーやPCメーカー、そして周辺機器メーカーやソフトウェアベンダーの計37社がAMD HD! Experienceパートナーとなっている。
カンファレンスでは、UVDに対応したメディアプレーヤー「TotalMedia Theatre」を開発したアークソフトの代表取締役本部長兼米国本社副社長 富嶋稔氏が、UVDを利用することで高画質コンテンツの再生でもCPU負荷率が下がり、再生処理もスムーズであることを紹介したほか、現在、GPGPUに対応した動画編集ソフト「LoiLoScope」を開発しているLoiLoの取締役COO 杉山竜太郎氏が、LoiLoScopeのユニークなユーザーインタフェースを披露した。
関連記事
- ITmedia CEATEC JAPAN 2008特集
- AMD、低消費電力エントリーGPU「Radeon HD 4550/4350」を発表
AMDは、Radeon HD 4000シリーズのエントリークラスGPU「Radeon HD 4550」「HD 4350」を発表した。 - AMD、新世代GPUハイエンドモデル「Radeon HD 4870」発表
AMDは、6月25日に新世代GPUのハイエンドモデル「Radeon HD 4870」を発表した。同日、複数のグラフィックスカードベンダーからこのGPUを搭載した製品が発表される予定。 - AMD、新世代GPU「Radeon HD 4850」を発表
AMDは6月19日にRadeon HD 4850を発表した。このGPUを搭載するグラフィックスカードの出荷は6月20日から始まっている。 - Pumaで広がるAMD HD! Experienceの世界
日本AMDは、COMPUTEX TAIPEI 2008で発表した新世代ノートPCプラットフォームと、2008年3月に発表したAMD HD! Experienceのアップデートを日本の関係者に紹介した。 - AMD 780GですてきなHD体験を!──日本AMDと三洋電機がAMD HD! Experienceで協業
日本AMDは、3月12日にHDソリューション「AMD HD! Experience」を発表。同時に、三洋電機とともにマーケティングにおける協業を進めていくことを明らかにした。 - Pumaのごとくスタートダッシュを狙うAMD――「Turion X2 Ultra」発表
AMDは、Centrino 2の延期を尻目にノートPC向け新プラットフォーム“Puma”の出荷を開始。発表会では、東芝製ノートPCや外付けGPUも公開された。 - AMD、ゲーム用PC推奨プログラム「AMD GAME!」スタート
ユーザーはゲーム専用機を買う感覚で、高性能ゲームをプレイするのに最適なPCを、悩まず購入することができるという。 - AMD、「Radeon HD 3600」「Radeon HD 3400」シリーズと「Hybrid Graphics」を発表
AMDは1月23日に、ミドルレンジとバリュークラスGPUの新製品と、新しいマルチGPU技術を発表した。
関連リンク
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.