NB100が“dynabook”ではない理由:山田祥平の「こんなノートを使ってみたい」(2/2 ページ)
J-3100、DynaBook、そして、Libretto。いずれも新製品が登場したときにユーザーは新しい時代を感じた。では、NB100はどうだろう。新しい時代が来たのだろうか。
違いが分かるユーザーに使ってもらいたいNB100
──差異化商品の売れ方に影響を与えることはないと考えているのですね。
荻野 Netbookの市場は爆発的に大きくはならないと考えています。繰り返しになりますが、一定量の市場があるから選択肢を提供するためにNB100を用意しています。Netbookは、もともとは新興国用の企画ですからね。これまでのPCが高すぎたのではないかという意見もあるようですが、それは違うと思います。
安くてもある程度使えればいいという割り切りに、うまくはまったカテゴリーです。5万円だったらこれでいいでしょう、と。今までの通常タイプノートPCが高すぎたというのではなく、選択肢の1つとしてNetbook市場が出現したことになります。
オープン価格では市場が実売価格を決めますから、今までのPCが高すぎたわけではなかったはずです。今までのPCには価格に見合ったそれなりの理由があったわけです。だから、本当に妥当な価格なんですよ。NB100の価格もこの仕様のノートPCとしては妥当です。それに、東芝が出す以上、コストを下げるためにOSにLinuxを入れるわけにもいきません。そんなことをすると、サポートに多大なコストがかかってしまいます。
要求があれば今後企業ユーザーにNB100を出荷する可能性があるかもしれません。2年前とか3年前とかには、割り切ったスペックのモデルを企業向けに出荷するなんて考えられなかったことですが。このようなノートPCを望むユーザーが一定量あると見極められたのは2008年のCESあたりじゃないでしょうか。
いずれにしても、Netbook市場では、割り切ったコンピューティングを理解できるユーザー、価格を重視するユーザーに対して、東芝が製品を出すことに意味があります。NB100は、Qosmioのミニモデル、Librettoなどのように、驚きと感動をユーザーに与える製品で新しい市場を開拓するわけではないし、技術でリードするような商品ではないということです。
もし、東芝が(コストを気にすることなく)本気でNetbookを開発したら、重量は半分になり、バッテリー駆動時間もさらに伸びる、すばらしいモバイルノートPCになるだろう。でも、東芝はあえてそれをしなかった。そして、差異化商品ではなく、コモディティとしてのNetbookを作ったのだと言い切る。
それでも、彼らはパンドラの箱を開けてしまったのではないか。Netbookが、周辺機器やソフトウェアまで含めた業界全体に与える影響には計り知れないものがある。それに気がついていても、Netbookをやらざるを得ないところにこの業界そのものの憂いがある。
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