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「Macで地デジ」の実用度を試してみた高橋敦の「Macでいいじゃん!」第21回(2/2 ページ)

自分のMacを地上デジタル放送に対応した“テレビ”に変える――これはなかなか魅力的な提案だ。もう地デジチューナー内蔵のWindows機なんてうらやましくないんだからねっ!

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ピクセラ「CaptyTV Hi-Vision」を試す

 ピクセラが発売した「CaptyTV Hi-Vision」は、ホワイトのm2TVに対して、ボディ上面がシルバー、底面がブラックと、こちらはiMacや新MacBookシリーズにぴったりくるカラーリングだ。本体のサイズは、約78(幅)×132(奥行き)×17.8(高さ)ミリと、コンパクトさやUSBバスパワー駆動といった点はm2TVと比べても遜色ない。

 動作対象機種は、iMac、MacBook Pro、MacBook、MacBook Airで、システム要件がDual Coreに対応したCPUと1Gバイト以上(2Gバイト推奨)のメモリとなっている。m2TVよりCPUの要件がゆるくなっている、つまり少し古めのMacと組み合わせても利用できるのはうれしいところだ。

接続した様子

 まずは、付属CD-ROMから「StationTV LE for Mac」をインストール。CD-ROM収録バージョンのソフトウェアは録画に未対応の旧バージョンだったので、インストール後すぐにアップデートも実行する。その後、本体をiMacのUSBに接続してアプリケーションを起動し、チャンネル設定で居住地域を選択すれば、いつでも地デジ放送の視聴・録画が行えるようになる。

 予約録画は手動予約(毎週録画の設定も可能)だけでなく、インターネット番組表を利用しても行える。一方、スリープ状態からの録画予約実行にはm2TVと同じく対応していない。

 しかしこちらは、アプリケーションは起動しておかなくても、録画開始時刻が近付くとアプリケーションが自動で起動してくれる。StationTV LEを起動し忘れて録画を失敗するということはないので安心だ。

視聴ウィンドウのサイドにチャンネル変更と音量調整のボタンが用意されている。ウィンドウにカーソルを重ねると録画開始ボタンが表示される(写真=左)。予約録画の手順は、「ライブラリ/予約一覧」ウィンドウを開き、「番組表」ボタンをクリック(写真=中央)

その後、Safariで番組表サイト「テレビ王国」が表示されたら、録画したい番組の「iEPGデジタル」ボタンをクリックする(写真=左)。予約内容の確認が表示されるので、「OK」を押せば登録完了だ(写真=右)

 録画した番組は「ライブラリ」ウィンドウで管理・再生する。フォルダ分けなどの整理機能は用意されていないものの、検索ボックスがあるので見たい番組はその都度検索して再生すればよいだろう。

 録画再生関連で競合機のm2TVを一歩リードする点は、録画中番組の追っかけ再生と、録画中に録画済みのほかの番組を再生できる点だ。これにより録画番組を効率よく消化していける。

 もう1つ、視聴時のポイントになりそうな設定として「ダウンスケール」設定も目を引く。これは解像度を半分に縮小して表示することでCPU負荷を減らすというものだ。例えば、試用したiMacでは、通常再生だとCPU利用率は40%強だったが、ダウンスケールにすると35%前後まで低下した。初期型MacBookやMacBook Airなど、CPUパワーに余裕のない機種では効果を発揮してくれるはずだ。

テキストリスト表示とサムネイル表示が可能なライブラリウィンドウ。右上に検索ボックスが用意されている(写真=左)。録画再生中にウィンドウ内にカーソルを合わせると再生コントローラーが表示される(写真=中央)。再生が滑らかでないと感じた場合は環境設定の「ダウンスケールを有効にする」をチェックしてみよう(写真=右)

 なお、こちらもm2TVと同じく、基本的な操作はApple Remoteから行うことができる。インタフェースの面ではm2TVのほうが洗練されている印象はあるが、追っかけ再生や録画予約時のアプリケーション自動起動など、機能面ではCaptyが優位に感じられる。もっとも、ソフトウェアは今後のアップデート次第で機能の追加や操作性の向上もあるため、悩ましいところだ。

まとめ――Mac向けの外付け地デジチューナーは買いか?

システム環境設定の「省エネルギー」の項目を適当に設定しておく必要がある

 最後に両製品に共通するポイントをいくつか挙げておく。1つは、(現時点では)録画予約実行のために常時Macを起動しておかなければならないこと。そのままでは経済的にも地球の環境にも優しくないので、前述したように液晶ディスプレイやHDDをスリープさせる設定を行い、電力消費を最小限に抑える工夫が必要になる。この点は是非改善してほしい。

 もう1つ弱点と言えるのは、録画した番組をDVDやBDメディアにダビングできないことだ。また、録画した番組をほかのHDDに移動させることもできない。このため、「気に入った番組は長期保存したい!」というユーザーには向かないだろう。HDDは数年もすれば寿命が来るものなのだ。この点は簡易編集機能にさえ対応しているWindows向けの製品に比べるとかなり遅れている印象だ。しかし、いわゆる「見て消し」のタイムシフト視聴用途なら、HDDへの録画のみで何の支障もない。見て消しでOKという方には問題なくおすすめできる。

 画質面でも、高画質化の進んだ最新の液晶テレビと比べてしまうと、やはりMacのディスプレイでの視聴は見劣りはする。しかしこれも「見て消し」感覚で利用するライトユーザーならさほど気にならないと思う。少なくともアナログ放送よりは圧倒的にきれいなので、アナログからの移行組は画質にも納得できるだろう。

 いくつかの弱点はあるものの、「Macと組み合わせて省スペースでテレビ環境を整えられる。しかもプラス2万円程度で!」というメリットはやはり大きい。地デジチューナーを内蔵した液晶一体型のWindows機に比べてもコストパフォーマンスでひけをとらないはずだ。また、Macのほかにテレビとレコーダーを買うとなると、これは出費も大きくなるし、一人暮らしや自室のテレビ環境としてはスペースを取りすぎる。それならMac+地デジチューナーで十分、という人も多いだろう。「Macで地デジ」はライフスタイルによっては十分に実用的、というのが今回の結論だ。

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