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「Aspire Timeline」はNetbookを超えるかAcerの野望 in 北京(1/2 ページ)

Acerが北京でプレスイベントを開催し、2009年に投入予定の新製品群を披露した。超低電圧版Core 2 Duoを搭載する8時間駆動の薄型2スピンドル機を“そんなに安く”売ってもいいのでしょうか。

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Acerの野望 in 北京

 Acerは4月8日(現地時間)、同社の世界戦略を説明する報道関係者向けのイベントを北京市内にて開催した。これは4月7日のニューヨークを皮切りに、世界3都市(ニューヨーク、北京、アムステルダム)で行われるカンファレンスの1つで、今後同社が推進するマルチブランド戦略のアップデートや、2009年上半期に投入する新製品の披露が主な内容になる。

 人によっては“殿下”の名曲を思い出しそうな「sign.of.the.time」と名付けられた今回のイベントだが、最も注目を集めたトピックは“モバイルコンピューティングの新時代の始まりを告げる”製品「Aspire Timeline」シリーズの発表だ。順を追ってイベントの様子を紹介していこう。

J.T Wang氏

 イベントの冒頭に登壇したのは、AcerグループCEOと台湾Acerの会長を兼任する(つまり事実上トップの)J.T Wang氏。Wang氏はまずはじめに昨年までの同社の動向を振り返り、2つの戦略的な展開を重要な転換点として挙げた。まず1つはGatewayとPackard Bell の買収、そして2つめが日本でも高い人気を持つ「Aspire one」の投入である。実際、創業者のスタン・シーが2004年に引退し、2005年にWang氏が会長兼CEOに就任してからAcerは急成長を続け、HPとデルに続く世界第3位のPCメーカーとしての地位を確立している。さらに2008年にはスマートフォンメーカーのE-TENを買収、2月に行われたMobile World Congress 2009で同社初のスマートフォンを披露したのは記憶に新しい。

 Wang氏が統括した2008年の同社の業績は、売上高が約168億ドル。PC市場全体のシェアは11.1%で世界第3位、ノートPCに限ればシェアを17.7%まで伸ばし、デルを抜いて2位に浮上している。この好調ぶりをけん引したのはもちろんAspire oneシリーズで、2008年10〜12月期はNetbook市場でASUSTeKを上回る43%のシェアを占め、Netbookを含むノートPCの売り上げが全体の67%を叩き出している。また、地域別に見ると、APAC(アジア太平洋地域)は第4位、EMEA(欧州・中東・アフリカ)は2位、米国は第3位となっており、ノートPCだけを見るとさらに大きなシェアを獲得しているのが分かる。

ワールドワイドベースのAcerのシェアは現在第3位。売上高は168億5200万USドルに達している。このうち約3.2%の5億4000万ドルが営業利益

APAC(アジア太平洋地域)、EMEA(欧州・中東・アフリカ)、米国での市場シェア

 非常に好調なAcerだが、Wang氏は金融危機に端を発した世界的な不況についても言及した。PC市場は成長率の悪化が予測されているものの、マイナス成長のデスクトップPCに比べ、ノートPC市場はNetbookのけん引によっていまだ2ケタの成長を見せていると分析し、「この状況の中、Acerはユーザーに対して最適な選択肢を用意していく」と述べ、ただの成功ではなく、さらに高い目標を達成するための2つの施策を挙げた。その1つが2007年から推進してきたマルチブランド戦略の最適化だ。

 現在Acerは、Gateway、Packard Bell、eMachinesを加えた4つのブランドを擁し、地域別の認知度(ヨーロッパはPackard Bell、北米とアジアはGatewayなど)と、6つにセグメント化した顧客層に対して、各ブランドを使い分けることにより製品展開を行っている。そして今後はマルチブランド戦略の最終フェーズとして、それぞれのブランドごとにフルラインアップの製品を投入していくという。「今日、PCに最先端のテクノロジーを求める人がいる一方で、値段を最も気にする人がいるように、ある1つの製品だけでユーザーのニーズを満たすことはできない。コンシューマ層の違いに対して最適なセグメント分けとモデルの投入を行っていき、製品そのものが各ブランドでまったく違うという段階に入る」と語り、コモディティ化したPCに対する効果的な販売戦略として、マルチブランドのさらなる推進を強調した。

Acerのマルチブランド戦略。4つのブランドのうち、位置付けが似ているGatewayとPackard Bellは地域の認知度によって使い分け、異なる顧客層に向けて3つのブランドで展開している

各ブランドの製品ラインアップ。セグメント化されたターゲットごとに製品を用意し、ブランド間の差別化を図る

 そしてもう1つ、今回のイベントで最も注目を集めたのが「Aspire Timeline」シリーズの発表だ。

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