2011年版セキュリティソフト徹底比較(第3回):検知性能を比較(3/3 ページ)
本特集の1回目では各セキュリティソフトの操作性、2回目ではインストールによるパフォーマンスへの影響を検証した。最終回では、ウイルス/マルウェアの検出率について比較していく。
本特集は比較的長いスパンで掲載してきたため、ここで取り上げたセキュリティソフトをそれぞれ数週間ずつメインマシンで試用することができた。試用した時期が異なり、比較のために同じ操作をしてみるといったこともしていないが、通常の作業環境での使用結果なのである程度の目安になるだろう。
そこで、これまでの3回で検証した内容に、実際の使用感を加味しておすすめのセキュリティソフトを選んだので、参考にしてほしい。
軽量かつ面倒な操作の不要な「ウイルスバスター」
多くのユーザーにお勧めできるのがウイルスバスター2011クラウドだ。ウイルスバスターは全体的に動作が軽量なだけでなく、やたらと警告を表示することもない。ウイルス定義ファイルの更新は自動で実行され、更新スケジュールを変更するオプションも存在しないなど、カスタマイズできる項目は非常に少ない。逆にいえばインストールするだけで何もしなくてよいということであり、これをメリットと感じるユーザーは多いだろう。
ウイルス定義ファイルの大半がサーバ上に置かれていることもあり、インターネットに接続しない状態で使うことの多いPCではちょっと不安に感じるものの、現在ではインターネットに接続しない状態でPCを使うということは考えにくくなっている。特殊な使い方をするPCでなければ問題になることはないはずだ。ウイルスバスターは1ライセンスで3台までのPCにインストールが可能であり、Mac OSにも対応している。操作も容易なので、あまりPCに詳しくない家族が使うセキュリティソフトとしても最適といえる。
検出率の高いG Data
多少動作が重くても、既知ウイルスの検出率が高いほうがよい、と考えるユーザーには、G Dataインターネットセキュリティ 2011がおすすめだ。今回のテストでも、すべてのカテゴリで検出率が1位になるなど、高い検出率を誇る。第2回の記事で紹介したとおり、ほとんどの操作では未インストール状態と比較して速度低下が著しい。ただし、一度実行したことのある操作を再度実行する場合は、ほかのセキュリティソフトと大差ないレベルまで高速化する。
PCを使用していると、同じアプリケーションを毎日起動したり、同じファイルに繰り返しアクセスしたりということが多いため、しばらく使っていれば速度低下は気にならなくなるだろう。実際、しばらく試用していてストレスを感じるほど遅くなることはなかった。各種設定もシンプルにまとめられており、ほとんどはデフォルトのままで問題ない。なお、G Dataは2つのウイルススキャンエンジンを搭載していることもあり、メモリ使用量が比較的多い。そのため、なるべく多くのメモリを搭載した環境で利用することをおすすめしたい。
高度なカスタマイズが可能なKaspersky
カスタマイズ性を重視するなら、Kaspersky Internet Security 2011がおすすめだ。Kasperskyでは細かい設定項目が数多く用意されているが、設定レベルごとに区分されているので比較的設定は容易だ。基本的な設定は手軽に、高度な設定はより細かく実行できる。また、単純なマルウェア検出だけでなく、プログラムの怪しい動作を監視する機能や、個人情報の保護機能、高性能なファイアウォールなども搭載されている。総合的な保護能力はウイルス検出率以上に高いといえるだろう。
ただし、安全なアプリケーションであっても、操作内容によっては起動するたびに警告が表示されることがある。常に警告が表示されるのは精神衛生上よくないが、重要な警告を無効にせず、重要性の低い警告のみを無効にする、といった設定は難易度が高い。ある程度知識のあるユーザー向きといえる。
関連キーワード
セキュリティ | ウイルス対策ソフト | ウイルス | ウイルスバスター | ノートン | McAfee(マカフィー) | スパム | 振る舞い検知 | Symantec(シマンテック) | バックアップ | ジャストシステム | ベンチマーク | ファイアウォール | トレンドマイクロ | ユーザーインタフェース | 初心者 | キヤノンITソリューションズ | DNSポイズニング | ホームネットワーク | rootkit | セキュリティ対策 | スパイウェア | 乗り換え | 使いやすい | フィルタリング | 不正アクセス | 不正コード | パケットフィルタリング | 個人情報保護 | ロシア | 盗聴 | 脆弱性
関連記事
- システムへの負荷はどれくらい?:2011年版セキュリティソフト徹底比較(第2回)
セキュリティベンダー7社の2011年版を徹底比較する本特集。第2回では、さまざまなテストを実行して各セキュリティソフトのパフォーマンスを比較していく。 - 最強はどれだッ!?:2011年版セキュリティソフト徹底比較(第1回)
セキュリティベンダー各社から2011年版のセキュリティソフトが出そろった。本特集では主要7社の最新版を取り上げ、全3回にわたって機能や性能、使い勝手を比較していく。 - 1億ドルはどこへ消えた:検索広告ビジネスの闇
オンライン広告を土壌とした詐欺の被害額は、年間1億ドル規模になるという。デジタルマーケットの専門家であるベンジャミン・エデルマン氏に、広告詐欺のグローバルトレンドや、GoogleとYahoo! JAPANの技術提携による影響について聞いた。 - Kaspersky Press Tour 2010(3):FF14も攻撃対象に? オンラインゲーム犯罪の現状
サイバー犯罪の最新動向を解説する「Kaspersky Security Symposium」で、クリスチャン・フンク氏が、オンラインゲームを土壌にしたブラックマーケットの現状を紹介した。あのアイテムはいくら? - Kaspersky Press Tour 2010(2):進化する“偽セキュリティソフト”――2011年版の最新機能は?
Kaspersky LabのリサーチャーであるNicolas Brulez氏が最新の「Rogue AV」を解説。24時間/年中無休の手厚いサポートを提供する“偽物”も登場した。 - Kaspersky Press Tour 2010(1):ネットの脅威はテロの時代に――ユージン・カスペルスキーに聞く
ロシアのセキュリティベンダー、Kaspersky Labがドイツでプレスツアーを実施。ビールの祭典、オクトーバーフェストでミュンヘンの街が沸き立つ中、CEOのユージン・カスペルスキー氏に話を聞いた。 - PCセキュリティの先へ:「ネットにつながるあらゆるデバイスの安全を」――シマンテックのコンシューマー事業戦略
シマンテックでコンシューマー事業を統括するジャニス・チャフィン氏らが来日し、今後同社が目指すグローバル事業戦略について語った。 - PC Tools製品発表会:「ユーザーは混乱している。だからシンプルな製品を」――PC Toolsが2011年版セキュリティ製品を発表
PC Toolsが2011年版セキュリティスイートなど5製品を発表した。危険なファイルのダウンロードを防ぐクラウドベースの保護技術が加わっている。 - AKB48研究生がラボの研究員に:仮想化とクラウドベースの保護技術を強化――「Kaspersky Internet Security 2011」発表会
カスペルスキーが2011年版のセキュリティソフトを発表、販売パートナーであるジャストシステムのWebサイトで試用版のダウンロードが始まった。製品発表会にはAKB48研究生の姿も。 - 製品担当者に聞く:「サクサク“以上”の軽さ」を体感してほしい──ウイルスバスター2011は、なぜ「クラウド」なのか
トレンドマイクロが個人向けセキュリティ対策ソフトの新バージョン「ウイルスバスター2011 クラウド」を発表。新バージョンは何が、どう優れるのか、プロダクトマネージャーに聞いた。 - 日本は狙われている:「より快適になった最新ノートンをいち早く使ってほしい」
8月27日にシマンテックのセキュリティ製品「ノートン2011」シリーズの国内販売が始まった。製品担当の風間彩氏に、2011年版の特徴や最新のセキュリティ動向、日本先行発売の狙いを聞いた。 - シマンテック、レピュテーション技術を強化した「ノートン」最新版をプレビュー
2011年版の「ノートン」では、5600万人の規模まで拡大した「ノートンコミュニティウォッチ」によるファイル/Webサイト評価機能をさらに強化した。 - 検出率99.95%:「ストイックに検出率を追求していく」――G Data インターネットセキュリティ 2011
高い検出率で知られるG Dataの総合セキュリティソフト「G Data インターネットセキュリティ」に早くも2011年度版が登場した。25周年を記念してお買い得なパッケージも投入される。 - 子どもを監視するだけじゃダメ:シマンテックが「ノートンオンラインファミリー」を無償公開
子どもの安全なインターネット利用を提供する保護者向け監視サービス「ノートンオンラインファミリー」が正式公開された。これまでのペアレンタルコントロールとは異なり、子どもとの対話をめざした機能が特徴だ。
関連リンク
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.