Mac向けセキュリティソフトなど法人向け製品を発表――カスペルスキー:支援にガイガーカウンター5000台
カスペルスキーが法人向けセキュリティ製品を発表。最高責任者のユージン・カスペルスキー氏が来日し、震災被災地への支援策についても言及した。
カスペルスキーは4月13日、法人向け製品として、Mac向けセキュリティソフト「Kaspersky Endpoint Security 8 for Mac」と、SaaS型セキュリティ管理サーバ「Kaspersky Security Center Service Provider Edition」を発表した。前者を5月16日、後者を6月中に発売する。
Kaspersky Endpoint Security 8 for Macは、コンシューマー向けに販売されているMac対応版と同じ最新エンジン(Anti-Virus Engine 8.0)を搭載しつつ、管理サーバの「Kaspersky Administration Kit」をサポートしたのが特徴。これにより、社内や学校にあるMacのセキュリティを一元管理できる。また、Macだけでなく、Macを踏み台にしてWindowsやLinuxに感染するマルウェアも検知するため、OSが混在した環境でもシステムを保護できる。
カスペルスキー営業本部長の嵯峨野充氏は、Intel Macの発売以降、Macの出荷台数に応じてMac OSを狙ったマルウェアも増加傾向にあると指摘し、特にデザインなどの現場で使用されている企業のMacを保護する必要性を訴えた。対応OSはMac OS X v10.4.11/v10.5/v10.6、およびMac OS X Server v10.6。初年度販売目標として3万ライセンスをめざす。
一方、Kaspersky Security Center Service Provider Editionは、前述のKaspersky Administration Kitをサービスプロバイダ向けに提供するサービスで、これにより各プロバイダは、コストやリソース面から自社に管理サーバを置きたくない顧客に向けて、ユーザー管理やウイルスの検知リポート、ライセンス管理などのカスタマイズされたセキュリティマネジメントサービスを販売できるようになる。導入支援やポリシー管理などのサポート/サービスはパートナー契約を結んだサービスプロバイダが行い、カスペルスキーはプラットフォームを提供する立場だ。初年度の販売目標は1億円。
なお、同日行われた発表会には、来日したカスペルスキー最高責任者のユージン・カスペルスキー氏も登壇し、セキュリティ業界を取り巻く変化や、東日本大震災の被災地支援策について言及した。同氏は、組織化が進むサイバー犯罪は(Stuxnetが象徴するように)インフラを狙った“サイバーテロ”の脅威をもはらむようになり、これまでの個人を標的としたものだけでなく、大企業などを狙ったターゲット型攻撃にシフトしていると指摘し、これまで以上に強固なセキュリティが求められていると警告する。
また、デバイスはよりコンシューマ化が進み、今後はAndroid携帯やタブレット端末への攻撃も増加していくと予想。「これまでPCは十数年かけてセキュリティに取り組んできたが、モバイル端末は一足飛びに脅威にさらされることになる。早急に対策が必要だ」と述べたほか、サイバー犯罪の主要な攻撃元として中国、南米、東ヨーロッパ圏、攻撃先としてそれらの国の対極にある北米や日本などの先進国を挙げ、「カスペルスキーとして、(攻撃目標の)日本に特化した新技術やサービスを投入していく」と今後の方針を語った。
なお、東日本大震災の被災地支援策として、すでに寄付した25万ドルに加え、社内から寄付を募り、その3倍の金額を義援金として提供するプログラム(マッチシフト制度)を実施するほか、被災地に向けた物資輸送の資本援助や、5000台のガイガーカウンターを段階的に提供する用意があることを明らかにした。
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