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NECのマザーファクトリー「米沢事業場」、国内メーカーのPCが良品質である理由それなら、NECは「米沢モデル」ですね(1/3 ページ)

「マジメで何が悪い」。徹底したIT管理の中に日本人的なアナログ管理がふと混在するNECのPC生産拠点「NEC米沢事業場」を例に、国内メーカーのPCがなぜ良品質なのかを再確認する。

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3日でデリバリー、30分サイクルで工場出荷 「NEC米沢事業場」

photo NEC米沢事業場

 「マジメで、ていねいで何が悪い」──。モノづくり大国、ニッポン。昨今はそれだけじゃだめという意見もあろうが、われわれはそのことを心のどこかで多少なりとも誇りに思っている。

 コモディティ(日用品)化と低価格化が進み、「最近のメーカー製PCはどうもつまらない、ときめかない」と感じる人もいるであろうPC、特に個人向けPC分野の、その製造現場は現在どうなっているだろうか。PC黎明期より国内PC市場を牽引するNECのPC開発製造拠点「NEC米沢事業所」を例に、国内メーカーのPCがなぜ信頼できるのか再確認する。

 個人向けPCは、商戦期に応じて年3回のモデルチェンジ──季節ごとの2011年PC秋冬モデルなど──を行い、その商戦期といわゆる閑散期の月産出荷量差は2倍(NECの場合、月産15万台〜30万台)に及ぶ。また日別の購買需要は休日の土曜日、日曜日に集中するため、販売店の仕入れ需要は休日に合わせて木曜日に集中する。木曜日と仕入れ需要の少ない曜日の仕入れ需要比は約3倍に及ぶという。

 さらに約4カ月の製品ライフの中で、発売直後とモデルチェンジ直前でアクセル(作りため)/ブレーキ(次のモデルへ引き継ぐため)のコントロールを行う必要があるほか、CPUやメモリ、HDD、液晶パネルなどPCを構成する部材価格の変動も見据えてPCの製造量をコントロールする。価格変動の大きい部材は半期で約12%もの変動がある。


photophoto NEC米沢事業場について説明するNECパーソナルプロダクツの高塚栄常務兼PC事業本部長(写真=左)と同社プロセス改革推進部の若月新一統括マネージャー(写真=右)

 NECは、2011年6月に中国LenovoグループとPC部門の合弁会社「NECレノボ・ジャパングループ/Lenovo NEC Holdings B.V.」を設立。NECブランドの個人向けPC(LaVie、VALUESTARシリーズ)は、同年7月1日に発足した子会社 NECパーソナルコンピュータが展開する。これについて旧来のPCファンからはもうNECのPCは終わるのかと嘆く声も聞こえたが、NECの遠藤社長は「既存個人NECブランドの製品はこれまで通り存続する。むしろ、ワールドワイド展開するLenovoグループのグローバル調達体制を活用し、これまでよりユーザーメリットを提供できるようになる」と強調したのが記憶に新しい。

 広がるユーザーニーズに応じ、携帯電話などと同じようにコモディティ化したPCは基本的に多品種少量生産の体制が取られている。NECの場合、2011年PC秋冬商戦向け店頭モデルは9シリーズ全49モデル、さらに構成カスタマイズが可能な直販モデルやビジネス向けモデルを合わせると2万種類以上もの構成例が存在する。この2万種類以上に及ぶ製品を、NEC米沢事業場は業界最短の3日でデリバリーする能力を持っている。

photophotophoto NEC米沢事業場は、トヨタ自動車のかんばん方式をPC製造に応用した高効率なPC製造スタイルを取り入れている。2000年度比で8倍以上の生産性、カスタマイズモデルでも最短3日の短納期を実現する
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