シースルーモバイルビューアー「MOVERIO」でサイバーな夢を見る:また1歩、電脳コイルの世界に(2/2 ページ)
エプソンの「MOVERIO BT-100」は、現実の視界に映像が浮かび上がるシースルー型ヘッドマウントディスプレイだ。「このおもちゃ面白いな。もらっておくわ」などとつぶやかずにはいられない。
Androidをもう少し使い込んでみる
スクリーンショットの撮り方などはDupon氏の「よくわかってないBlog その2」を参考にさせていただいた。「Linuxって美味しいですか?くらいの知識です」と謙遜しているが、MOVERIOユーザー必見の濃い内容になっているコントローラの操作性、プリインストール状態のアプリは、使い勝手がよいとは言えない。だが、MOVERIOはAndroid 2.2を搭載している。自分でアプリケーションをインストールしてしまえばなんら問題はない。そこで、いくつかのアプリをインストールして自分なりにカスタマイズしてみることにしたので参考にしてもらいたい。
もっとも、MOVERIOはAndroid Marketはサポートしていない。アプリのapkファイルを入手し、直接インストールしなくてはならない。今回は別のAndroid端末からapkファイルをコピーしてインストールしている。
- ESファイルエクスプローラー
ESファイルエクスプローラーはWindowsファイル共有に対応したファイルマネージャーだ。もちろん、ESファイルエクスプローラー上で動画を選択すればそのまま再生できる。
- YouTube
Google提供のYouTube公式アプリ。無線LAN環境さえ整えられればネット上の動画を見ることも問題ない。
- Qmobile
QNAP社製NASキットTurboNASに対応したメディアプレーヤー。自宅のTurboNAS上のマルチメディアコンテンツを外出先から楽しむことができる。ただし、メニューなどは縦画面になった。
- 動画再生さん
動画再生さんは限られた時間で視聴、停止、再開を行う場合に便利な動画再生ソフトだ。とりあえずHOMEボタンやBACKボタンを押せばすぐに停止するうえに、再開時にも各ファイルごとにレジューム位置を記憶しているため、余計なシーク作業が必要ない。
- WiFi Keyboard
LAN経由でPCなどからキー入力ができるようにするアプリ。Andorid端末のTCP7777ポートにWebブラウザで接続し、そこのテキストエリアに入力したものがAndroid端末に入力される。


AppMonsterはアプリケーションの管理を行うツール。インストール済みアプリを選んでBackupをタップする(画面=左)。/sdcard/appmonster2/backup/以下にバックアップされる。こちらをMOVERIOにコピーし、SEViewerなどからインストールする(画面=中央)。ESファイルマネージャはWindowsファイル共有も利用できるところが強み。無線LANで接続し、PC上のファイルのコピーや動画などを再生できる(画面=右)

YouTube検索画面。再生も正常に行える(画面=左)。詳細情報は縦表示になる(画面=中央)。QmobileはQNAP社製NASキットTurboNAS用メディアプレーヤー。自宅においたTurboNASを外出先などから視聴できる(画面=右)

動画再生さんは各ファイルごとのレジューム機能を持った動画プレーヤーだ。電車内など限られた時間だけ視聴する場合などに重宝する(画面=左)。WiFi Keyboardを利用するときは入力方法で「WiFi Keyboard」を選択する(画面=中央)。キー入力を行うPCからはAndroid端末のポート7777にWebブラウザで接続する(画面=右)市場投入を急ぎすぎた? ――Android採用のもたらすメリットとは
試用しながら考えたのはAndroid採用の理由だ。MOVERIOの形状はちょうどAndroid端末のディスプレイ部分がHMDになっているような印象を受ける。しかし、Android Marketには非対応で、アプリケーションをインストールするにはapkファイルを直接インストールしなくてはならない。また、ハードウェアの仕様として一般的なAndroid端末に劣るところも多々あるなど、ユーザーが期待するAndroid端末とはやや異なる面がある。
例えば、センサー系はかなりさびしく、ジャイロ・加速度センサー・GPS・カメラは搭載されていない。シースルー型ヘッドマウントディスプレイということで冒頭のようにAR方面での利用を期待したが、カメラがなければARの前提条件となる映像入力が使えない。Bluetoothも非搭載のため入力インタフェースの追加も現時点では難しいだろう。
つまり、Androidを選択したのはユーザーに対するAndroidのメリットではなく、メーカー自身のメリット、納期短縮のために動画プレーヤーなどが調達しやすいOSを選択した部分が大きいのではないかと感じる。
とはいえ、Android端末ならではのカスタマイズのしやすさ、サードパーティによるアプリの充実ぶりは(そのすべてを享受できるわけではないとはいえ)、やはりすべてメーカーの用意した環境に甘んじるしかない他製品とは一線を画す部分でもある。初代機ということで荒削りな部分もあるが、Androidとしての完成度を高めるだけで、相当に面白い製品になるのではないかと期待させてくれる注目のガジェットだ。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
「MOVERIO」発表会:世界初のシースルーHMDで「いつでもどこでも大画面」を体験した
エプソンがヘッドマウントディスプレイ「MOVERIO」を11月25日に発売する。視界を遮らずに投写映像がリアルの視界に浮かび上がるシースルータイプのHMDは“近未来感”がすごいぞ。
映画館並みの3D体験を:ソニー、有機ELパネル搭載の3Dヘッドマウントディスプレイ「HMZ-T1」を発表
ソニーは、ホームシアターユースの3Dヘッドマウントディスプレイ「HMZ-T1」を発表した。新開発のハイビジョン対応有機ELパネルをデュアル搭載。クロストークフリーの3D映像を実現した。
NEC、“スカウター”風メガネを採用するウェアラブルPC「テレスカウター」をリニューアル
NECは、ヘッドマウントディスプレイを組み合わせた身体装着式コンピュータ「Tele Scouter」の新モデルを発表した。