「これで1.5万円?」と驚くクオリティ、抑揚感のある表現力が魅力──DONY AUDIO「DN-68651」:野村ケンジのぶらんにゅ〜PCオーディオ Review(2/2 ページ)
音楽は“いい音”で聞きたい──。それならば、自作に続くオトナのPC遊び「PCオーディオ」に挑戦してはいかがだろう。今回は光沢ホワイトの小型ボディを特長とする本格派志向なパッシブスピーカー「DONY AUDIO DN-68651」を視聴する。
音のバランス+コストパフォーマンスが良好、素直な表現とダイレクト感の高い演奏が楽しめる
では試聴しよう。
音色傾向としては、モニター系に近いイメージだ。表現が素直で脚色がほとんどなく、そのぶんダイレクト感の高い演奏を楽しませてくれる。とはいえ、本格モニタースピーカーのような高域側の痛々しさはない。ヴォーカルやギターなどのメイン楽器は解像度感こそ必要十分なレベルにとどまるが、抑揚感の高い表現をもち、しかも普段より1歩前にせり出したかのような、かなりキャラクターの立った歌声・演奏を聴かせてくれる。
ベースとドラムは、あくまでも伴奏という役割に徹している印象。ウーファーユニットのサイズのわりには芯のある低音がボトムライン近くまで伸びているが、ボリューム感をバスレフで補っているためにその主張は弱めだ。しかし、これはこれで聴かせどころをわきまえている。ほどよく良好なバランスで、心地よく楽しめる。
一方、高域の質感は若干気になった。本機が想定するニアフィールド、いわゆる一般ルームでの利用より距離が近いPCオーディオ/机上スタイルだと、声がわずかにかすれ気味になる傾向がある。この傾向はスピーカーから1メートル以上離れれば消え、本来のストレートで力強い表現になる。
というわけで、本機はある程度離れた位置に置くほうが良好そうである。実際、10畳ほどの部屋でも十分フォローできるサウンドボリュームとクオリティは確保するので、デスクトップだけでなく、ルームオーディオ用として……いや、やはりルームオーディオ用とするほうが本来の姿なのかもしれない。
本機はペアで1万4999円である。これは、試聴し終えて“そういえばこんなに安価なのか”と気がついたほどで、実感としてはそれ以上の価格帯のペアスピーカーで聴いていると錯覚していた。このコストパフォーマンスはかなり高いと評価できる。USB DACなどとともにPC+高品位オーディオをはじめたい人はもちろん、ちょっとしゃれた雰囲気のプライベートルーム向けサブシステムを考えている人にも有力な候補になる、低価格ながらも本気度の高いスピーカーだ。
音質評価 | |
---|---|
解像度感 | (粗い−−○−−きめ細かい) |
空間表現 | (ナロー−○−−−ワイド) |
帯域バランス | (低域強調−−−○−フラット) |
音色傾向 | (迫力重視−−○−−質感重視) |
試聴曲
- Marcus Miller「Jean Pierre/FREE」
- 小曽根真「ドゥムカ(あるべきもなく)/Road to Chopin」
- 上原ひろみ「voice/voice」
- Raul Midon「Moment To Moment/SYNTHESIS」
- santana「Whole Lotta Love/Guitar Heaven: The Greatest Guitar Classics of All Time」
*** 一部省略されたコンテンツがあります。PC版でご覧ください。 ***
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