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ドスパラの「GALLERIA」はこうして作られるサードウェーブデジノス綾瀬工場探訪記

ドスパラが販売するPCは、神奈川県綾瀬にあるサードウェーブデジノスの綾瀬事業所で生産されている。GALLERIAは“職人”が作ってる!?

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サードウェーブデジノスの綾瀬事業所。かつて辺境と呼ばれていた神奈川県綾瀬は、圏央道の開通、および海外からの輸入経路となる羽田空港や横浜港が近いことから、昨今は首都圏に向けた物流拠点として注目されている

 アキバの定番PCパーツショップであるドスパラは、オリジナルブランドのPCとして、ゲーマー向けからクリエイター向けまで、幅広いラインアップを販売している。PCゲーマーから高い評価を得ている「GALLERIA」の名を聞いたことがある人は多いはずだ。こうしたPCはすべて、製造を受け持つサードウェーブデジノスの綾瀬事業所で作られている。今回その綾瀬事業所を訪ね、実際にPCが製造される現場を見学させてもらった。

 同社は2012年8月に、サードウェーブデジノスが生産、ドスパラが販売という製販分離の方針を掲げ、分社化を行っている。それに先立ち、2012年2月にこれまで千葉県松戸市の馬橋で行っていたPCの製造を、ここ神奈川県綾瀬に移転。PCパーツショップ「ドスパラ」の直販事業や上海問屋の直販事業も統合する形で、生産から配送まで一局集中化を図っている。

 具体的には、PCの生産や中古PCの再生、修理、各事業のWeb通販、そして顧客からのコンタクトセンター(製品の問い合わせや納期相談、不具合報告などのコールセンター)などをすべてこの綾瀬事業所に集約した。

 サードウェーブデジノス取締役社長の松野康雄氏は、綾瀬事業所の取り組みを「究極のサプライチェーン」と呼び、100%の受注生産でありながら、注文通りの納期出荷実績98%(個人であればほぼ100%)を可能にした生産体制をアピール。部材の調達から製造、出荷まで一括して行うワンストップオペレーションによって、在庫管理や物流コストを下げるとともに、同社の特徴の1つである短納期を実現したと胸を張る。

サードウェーブデジノス取締役社長の松野康雄氏(写真=左)。製造から修理、各事業のWeb通販、顧客からの製品の問い合わせや納期相談、不具合報告などのコールセンターをすべて綾瀬に集約している(写真=右)

トラックドックが設置された工場一階に部材が運び込まれる巨大な倉庫がある。松野氏は「欲しいときに海外から部材が届き、作ったモノはそのままダイレクトに顧客へ届ける」と回転率の高さをアピール。かなり広い倉庫だが、積まれた部材は翌朝にはほぼ空になっているという

 もう1つ、同社の工場の特徴は、ライン方式とセル方式が混在するハイブリッドな生産体制だ。カスタマイズのほとんどない基本構成に近い製品はライン方式で製造を行う一方、GALLERIAシリーズの中でもハイエンドデスクトップPCや特殊カスタマイズPCは、1人の人間が最後まで組み立てを担当するセル方式を採用している。「基本は手作り。人によって最終的な品質を上げていく」と松野氏。「製品の品質を上げるというより、人の品質を上げることでの製品品質向上に磨きをかけている」と自信を見せる。

 また、組み立てと同じフロアに品質検証ラインを設けたほか、一局集中化により修理センターも同フロアにあることから、工程内で発生する不具合にも即座に対応できるのが強み。こうした取り組みによって高い品質と生産効率の高さを両立した。ちなみに、消費税増税とWindows XPサポート終了が重なった2014年の3月から4月は、駆け込み需要のオーバーフローによって、受注をストップした(あるいは納期を大幅に遅らせた)PCメーカーが少なくなかったが、サードウェーブデジノスの綾瀬工場は、最適化されたワンストップオペレーションによって、こうした急激な需要にもきちんと対応できていたという。

搬入した部材は巨大なエレベーターで2階に運ばれて開封作業が行われる(写真=左)。PCの組み立てに必要な部材のピッキングは、受注票を元にバーコードを読み取ると正誤確認される。これらのデータはすべてネットワーク上で管理されている(写真=右)

ハイエンドモデルは一人が責任を持って組み立てるセル方式を採用。熟練スタッフの手作業によって、高い品質の製品が生み出される(写真=左)。組み立てている製品のマニュアルや配線が目の前のディスプレイに映し出され、1つ1つ確認しながら作業を進められる(写真=右)

組み立て済みの製品はソフトウェアによる検証が行われ、数時間かけて動作状態を綿密にチェックされる

修理センターも同フロアに併設。これまで店舗で修理を行っていたが、現在はすべて専用設備を備えた綾瀬工場内の修理センターで専門スタッフが対応している。また、生産工程で不具合があった場合でも、同様にすぐに対応できるのがポイントだ(写真=左)。生産工程がすべてネットワーク上で管理されているため、どのPCがいまどんな工程にあるのかリアルタイムで確認できる(写真=右)

品質検査をクリアした製品はシールが張られる。シールの内容や位置はモデルごとに異なるが、ネットワーク上から呼び出されたデータがディスプレイに表示されるため、確認しながら作業できる(写真=左)。梱包された製品は1階へ(写真=右)

完成品がトラックドック前の倉庫に運び込まれ、全国へ配送されていく。店舗の在庫を除いて100%受注生産でありながら、ほとんどの製品が注文から2日で手元に届くのには驚かされる

 今回綾瀬工場を見学して感じたのは、巨大な敷地に最新の設備をそろえ、すべての工程がネットワーク上でリアルタイムに管理された生産施設でありながら、セル生産方式に見られる“職人”的な部分を大事にしているという点だ。

 松野社長は「いわゆるホワイトボックス系のメーカーとして、ラインの長さや規模などの違いはあるが、やっていることは競合他社とそれほど変わらないだろう」と話すが、その一方で「ただし魂が違う」とも語っていた。それは最終的な製品の品質を、そこで働く「人の品質」であるとする同氏の考えをよく示している。サードウェーブデジノスのハイエンドPC「GALLERIA」の背景に、熟練スタッフが1つ1つ丹念に、手作業で組み立てている姿を想像すると感慨深いものがある。

綾瀬事業所には、ドラゴンクエストXとコラボした「GALLERIA ドラゴンクエストX エディション」(c)ARMOR PROJECT/BIRD STUDIO/SQUARE ENIX All Rights Reserved.(写真=左)や、ラブライブ!とコラボしたタブレット「Diginnos Tablet DG-D07S/GP ラブライブ!モデル」 (c)2013 プロジェクトラブライブ!(写真=右)が展示されていた

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