「USB 3.1」「Type-C」は“USBの不満”を解消できるか:IDF14 San Francisco(2/2 ページ)
IDF 14で最大のトピックは次期コアアーキテクチャの「Skylake」だった。しかし、それとともに「無線」「有線」接続それぞれで重要な情報を提示している。
場所とらずで頑丈で差しやすいのがType-C
「なぜUSBには“表裏”があるのか」「差し口が分かりにくい」という意見もよく聞かれるUSBだが、こうした不満の声に応えるべく改良を加えた形でUSB 3.1とともに新たに登場したコネクタ規格がType-Cだ。今後モバイル機器で利用する接続方法で中核的な役割を果たす存在になるかもしれない。
「Standard」「Mini」「Micro」の3種類のインタフェースをサイズによって用意しているType-A/Bだが、Type-Cでは「Micro Type-A/B」とほぼ同じサイズのコネクタ規格のみ定義しており、当初からスマートフォンやタブレットといった小型機器での接続を念頭としている。一方で、USB PDによる100ワット給電にも対応し、将来的にハイパフォーマンスな薄型ノートPCやタブレットで給電するために利用することも想定している。これまでメーカーごとにばらばらだったACアダプタ側のプラグ規格が、最終的にType-Cで統一する日が来る可能性もある。
Type-Cが登場した理由は、Micro Type-A/Bにあった課題を克服するためといわれている。IDFでIntelが示した資料によれば、急速に薄型で小型のフォームファクタが増えている一方で、従来のType-A/Bではサイズ面や取り回し面で問題があるほか、強度面での弱さがネックとなっていた。またケーブルの表裏や差込口の状況が分かりにく伊というユーザーからも意見も少なくない。AppleがiPhone 5で導入した「Lightning」は表裏両用で、抜き差しに関する問題に対する回答の1つとなったが、Type-Cもまたこの方向性を目指すことになる。
特にType-Cの耐久力に対する規定は高く、抜き差し1万回以上、ケーブルを差込口の根本から曲げてMicro Type-B(スマートフォンなどで一般的なUSB規格)の2倍の剛性を持つことを目標としている。また、差込口が見えない状況でもケーブルが差しやすいように、差すときは滑らかに入り、抜くときは一定の力で引っかかりがあるなど、抜き差しのしやすさに関するガイドラインも定めている。これにより「ケーブルがうまく差すことができない」「コネクタがすぐに壊れる」といった問題は以前よりも少なくなると思われる。
従来のType-A/B形式への変換コネクタや、専用信号の抽出でオーディオ出力を切り分ける仕組みもあり、いろいろ汎用性が高い。特に後者については、従来までスマートフォンなどでイヤフォン端子を別に設けていたものが、Type-Cコネクタ経由でオーディオ信号を取り出せるようになるため、「充電」「PCとのデータ通信」「ディスプレイ出力」「オーディオ出力」といった外部端子をすべてUSBに集約することで、出力インタフェースを1基だけ用意した製品を作ることも容易になる。
USB 3.1の普及によって今後は、よりスリムでユニークなデザインのスマートデバイスの開発が可能になり、ユーザーの利便性をいっそう改善するようになるかもしれない。
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