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ワコムの最新液晶ペンタブ「Cintiq 27QHD」を漫画家が使う大きいことはいいことなのか!?(2/4 ページ)

ワコムから登場した液晶ペンタブレットの新たなフラッグシップモデル「Cintiq 27QHD」を現役漫画家が最速レビュー!

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大は小を兼ねる? 13HDユーザーから見た27QHDの印象

 13.3型の13HDを使っている筆者にとって、27型の作業エリアはとにかく広い。ただ、大は小を兼ねるかというと、「一概には言えない」というのが筆者が試用で感じた印象だ。

13HDと27QHDではこれだけのサイズ差があるが……

 13HDは画面サイズこそ小さいが、フルHD(1920×1080ピクセル)液晶の採用により画素密度は27QHDよりも高い。具体的には、27QHDの画素ピッチ(画素1粒の大きさ)が約0.233ミリ(約109ppi)なのに対し、13HDの画素ピッチは約0.15ミリ(約169ppi)だ。13HDの精細感を体験してしまうと、27QHDの粗さには不満を感じる。

27QHDの画面のアップ。ペンのサイズと比較すればピクセルの大きさが分かる

 画素が粗いと絵の細かな表情がよく分からないので、細部をズーム表示して作業することが多くなる。そうするとペンのストロークも大きくなって、動きがせわしなくなる。また、液晶とガラス面との距離も13HDのほうが短く、ペンとポインタとの視差を感じにくい。

 細部にズームしながら作業するのはデジタルイラストの基本的なテクニックであり、「大きければ大きいほど描きやすい」という人もいるだろう。そうした人には、27QHDの画面の広さが魅力となるはずだ。また、ディスプレイを液晶ペンタブレット1台で済ましたい人には、画面の分割利用がしやすい27QHDに利便性を感じることだろう。

 しかし、紙に近い画素密度や使い心地を重視するのであれば、13HDは劣っていないどころか勝っているとすら感じる。どちらが良いかは、人によって異なるはずだ。「大きいから良い」「上位機種だから良い」と安易に考えず、自分との相性を考えながら導入を検討することをオススメしたい。

専有面積の大きさや可搬性も、13HDと27QHDでは大きく変わってくる。写真は13HD

写真は27QHD

 ちなみに、両モデルのスペック上の読取分解能はともに最高0.005ミリ、読取精度もともに±0.5ミリとなっている。センサーの密度や精度が同じであれば、大きなキャンパスに大きく描いたほうが精密な作業ができる、という考え方もあるだろう。もっとも、筆者の感想としては、13HDを使うか27QHDを使うかで作品の仕上がりや表現力に差が出るとは感じなかった。

 ところで、4Kや5Kといった高解像度モデルが続々と市場に投入されている昨今のディスプレイ市場を考えると、やはり大画面液晶ペンタブレットにも画素密度の向上は期待したい。それと同時に、視差や読み取り精度の改善による表現力の底上げも進めてほしいところだ。

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