こんな液晶ペンタブが欲しかった! 漫画家による「Cintiq Companion 2」徹底検証:画素密度アップでさらに使いやすく(5/5 ページ)
たいへん気に入りました。
4K動画みながらお絵かきもOK!
筆者は今回、「CLIP STUDIO PAINT EX」を使って作業をしてみたが、ペンに対して描画が遅れるといったことはほとんど起きなかった。エアブラシなど負荷の大きいペンを使った場合も、動作にストレスを感じることはない。WebブラウザでSoundCloudにアクセスし、音楽を再生しながら作業してみても快適に絵が描けた。
さらに、2560×1440ピクセルの27型ディスプレイに接続してデュアルディスプレイにし、ディスプレイ側にYouTubeの4K動画を全画面表示しつつ(ブラウザはInternet Explorer 11)、CLIP STUDIO PAINT EXで作業をするという荒技にも挑戦してみたが、思いのほかサクサクと動作して驚いた。
4K動画はきちんと再生されるし、CLIP STUDIO PAINT EX側も線画やちょっとした色塗り程度なら問題なさそうだ。ただ、エアブラシなどを大規模に使うとキャンバスの描写がカクカクする。これは仕方がないだろう。
このようにマルチディスプレイ環境や“ながら作業”も現実的な同モデルだが、システムに負荷がかかるとファンがそれなりの音で回る。「ヒュィィィン」というファンノイズは、「ロックを流せば気にならないがクラシックだと気になる」といった感じ。負荷がかかっていない低速回転の状態でも、静かな場所ではノイズがそれなりに聞こえるので、静音性に過度な期待はできない。とはいえ、13HDとさほど変わらぬボディサイズを考えると、ワガママはいえないとも思う。
絵描きの可能性を広げてくれる「Cintiq Companion 2」
単体でも動くという機動性の高さ、ほかのマシンにもつなげられる汎用性の高さ、そして高精細な液晶──Cintiq Companion 2は、13.3型ボディに絵描きの求めるパフォーマンスがギュッとつまった、ありがたい製品だと思う。スペックを気にする人は、春に登場する最上位モデルを待つのもいいだろう(時期的には、第5世代Coreの採用を期待したいところ)。
惜しむらくは、液晶面とガラス面の視差がわずかに増加しているように見える点だ。空気層を省いた「フルラミネーションディスプレイ」を採用しているiPad Air 2をはじめ、ちまたには視差が少なくダイレクト感の高いタブレット端末が出回っている。Companion 2の視差は、Cintiqとしては少ないほうだとは思うが、できれば13HDからさらなる改善を実現してほしかった。
※本文では目視の印象で「視差がわずかに増加しているように見える」と記述していますが、同社の設計・製造担当者からの回答によると、視差は前モデルのCintiq Companionと同等、ガラス面から液晶面の距離はCintiq 13HDと比較して2.3ミリから2.1ミリと短くなっているとのことです。不正確な情報を掲載したことをおわびします。ただし、著者の感想は目視の通りです
“電磁誘導方式でWindows一体型”という点で、コストや技術の課題もあるとは思うが、Intuos 4世代以降のペンの感度向上が一段落した感のある今、視差低減は描き心地を左右する重要な改善要素だろう。是非、今後に期待したい。
あとは、Cintiq 13HDの正統進化版──つまり、Windowsを搭載しない通常版の登場も待たれる。現在、13HDの直販価格は、Cintiq Companion 2よりもぐっと安い10万2651円(税込)。後継機がこれとさほど変わらない値段で登場すれば、相当な人気になるはずだ。
関連記事
- 大きいことはいいことなのか!?:ワコムの最新液晶ペンタブ「Cintiq 27QHD」を漫画家が使う
ワコムから登場した液晶ペンタブレットの新たなフラッグシップモデル「Cintiq 27QHD」を現役漫画家が最速レビュー! - 漫画家も欲しがる液晶ペンタブ:お手軽サイズでもプロ仕様!! 「Cintiq 13HD」で描いてみたよ
コンパクトなボディにプロ向けツールとしての性能をギュッと詰め込んだ液晶ペンタブレット「Cintiq 13HD」。液晶画面の解像度も従来モデルからグッと増え、紙のような使い心地をより高いレベルで実現している。 - 知られざる“お絵描き”性能に迫る:筆圧1024段階で5万円台のWindows 8タブレット――「Latitude 10」は漫画家を満足させられるか?
1024段階の筆圧レベルに対応し、画面に直接お絵描きできる“液晶ペンタブレット”的なWindows 8タブレット――それがデルの「Latitude 10」だ。10.1型のピュアタブレットは果たしてイラスト制作に耐える能力を持っているのか? 新米漫画家が試す。 - こいつ……描けるぞ!:「VAIO Duo 11」を“お絵かきマシン”として使ってみる
“お絵かき”を趣味や仕事にする人にとって、筆圧対応ペンが付属するWindows 8モバイルPC「VAIO Duo 11」は実に興味深い。ソフトの制限はあるが、持ち歩けるお絵かきマシンとしての可能性をビンビン感じるのだ。
関連リンク
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.