2万円で買える“極小PC”「Picoretta」インドア編:高解像度な動画は再生できる?
挿すだけでリビングのテレビが液晶一体型PCに早変わり。ネットの動画をテレビで観よう。
最近PC市場で注目を集めているスティック型PCについて、前回はiiyama PC(販売はパソコン工房)の「Picoretta」を取り上げ、どのくらいのパフォーマンスを持つのかベンチマークテストで確かめた。
排熱で不利なファンレスかつ小型フォームファクターながら、銅製の大型ヒートシンクを搭載することで、発熱による処理性能の低下もほとんど見られず、Atom Z3735F(1.33GHz/最大1.83GHz)の採用例が多い低価格Windows搭載タブレットとほぼ同等の作業は難なくこなせるという結果だった。具体的には、Web閲覧やメール、オフィス系アプリケーションによる資料作成などだ。
また、ほかのファン付きスティック型PCと異なり、可動部分がないことによる耐久性の高さやホコリの多い環境でもメンテナンス面で有利なのも光る。特にリビングのテレビを手軽かつ安価にパソコンとしても利用したいと考える人にはうってつけだろう。
今回はスティック型PCの用途で最も多いと思われる“リビングPC”としての使い方を取り上げ、実際にどんな使い方ができるか、動画再生時のCPU使用率はどれくらいかを調べてみた。
まずはWebブラウジングから。Picorettaをテレビに挿しっぱなしにしておき、リモコンでチャンネルを変えるように映像入力を切り替え、手軽にインターネット上の情報を検索できるのは便利だ。実際、ITmediaのWebサイトを表示して画面をスクロールさせ、いくつかの記事を読むといった操作でストレスを感じることはなく、あたかも大画面一体型PCのように活用できた。
また、能動的に情報を得るだけでなく、テレビの“ながら観”のように、なんとなくインターネットの画像を流しておくというのも面白い。個人的に気に入っているのはGoogleが提供している「THE SLIDESHOW」を使って、画像を全画面表示で流しっぱなしにしておく使い方だ。ADVANCEDオプションで細かく検索設定をしておけば、自分好みの写真をインターネットの海から探し出して勝手に流してくれる。
例えば、flickrなどのサイトを指定して「sunset」などのワードで検索すれば、誰かが撮影した世界中の夕暮れが流れ続ける。もちろん、気になる写真を見つけたらそのサイトに飛んで誰がいつどこで撮影したのか(情報があれば)調べることも可能だ。個人向けの使い方ではないが、飲食店や雑貨屋などの店舗で、クリスマスシーズンに店内のディスプレイで世界中のクリスマスの風景を流す、というのも雰囲気が出そうだ。
さて、それでは本命のYouTube動画再生を試してみよう。ここではレノボ・ジャパンの28型4Kディスプレイ「ThinkVision Pro2840m Wide」にPicorettaを接続(ただし、仕様の制約から1920×1080ピクセルで出力)し、1080p(1920×1080ピクセル/24フレーム)、4K(3840×2160ピクセル/24フレーム)、8K(7680×4320ピクセル/24フレーム)動画をInternet Explorer 11(11.0.9600.17801)とGoogle Chrome(43.0.2357.124m)で再生して、それぞれのCPU使用率を調べてみた。
まず、1080pのフルHD動画では、IEで再生した際のCPU使用率は20%内に収まっており余裕の数字。一方のChromeもスムーズに再生できるがCPU使用率はIEより高く、場合によっては50%を超えることがあった。
4K動画再生も同様の傾向で、IEではCPU使用率が20〜40%前後と比較的低く、動画もスムーズに再生できていたのに対し、ChromeはCPU使用率が90%近くまで上がることがあり、カクつきもみられた。なお、どちらも4K動画再生をしながらほかの作業を行うとややストレスを感じる場面もある。
もっとも、Picorettaで出力できる解像度を考えれば4K動画を扱うシーンはないと思われる。フルHD動画をスムーズに再生できるのであれば問題はないだろう。
最後に、先日YouTubeで投稿/再生設定が可能になった8K(7680×4320ピクセル)動画を試したところ、Internet Explorer 11では再生できず、Chromeでも明らかにCPU処理性能が追いつかずに再生と停止を繰り返した。当然と言えば当然の結果ではある。
全般的に、動画を“ながら観”しながら資料作成や画像編集など複数の作業を同時並行する場面では厳しい部分もある。だが、そうしたことはノートPCにまかせればよく、あくまで本製品で想定される「自室の大画面テレビを手軽にメディアブラウザとして使う」という用途であれば、不満のない製品といえるだろう。
次回は、Picorettaの“モバイル活用法”を考えてみる。
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