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コカ・コーラ「ネームボトル250種」はHPデジタル印刷機で作られていたシンガポールで巨大プリンタの実力を体感(2/3 ページ)

最近、ドリンクやフードの商品でよく見かける期間限定などの特別パッケージ仕様。その裏には、デジタル印刷機の進化があった。

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HPはデジタル印刷のテクノロジーリーダーに

 グループインタビューに応じたロイ氏は、グラビアやオフセットなど従来の方法と比較したデジタル印刷のメリットを改めて強調した。少ない単位から印刷可能で、多様なカスタマイズ、1つ1つ内容が異なるようなパーソナライズされた製品を作るれること、そして、必要なぶんだけ印刷できるオンデマンド印刷が可能なことを挙げた。

グループインタビューに応じてくれたロイ・エイタン氏。この「Lost My Name」という絵本は、Indigoによるオンデマンド印刷で作られ、イギリスで大ヒットしたという。名前をなくしてしまった子供の話で、自分の子供の名前を主人公に設定して注文できる。設定した名前(アルファベットの組み合わせ)によって、ストーリーが変化するのもポイントだ

 そして、カスタマイズ、パーソナライズの効果として、ブランドと消費者がダイレクトにコミュニケーションできること、ブランドに対するイメージが向上することのほか、パーソナライズした消費者がSNSで自らの体験をシェアすることで広告効果が広がっていくこと、さらにパーソナライズに対して付加価値の上乗せが可能といったことを挙げた。

 とはいえ、現状で紙の出版物においてはオフセット印刷が大半で、特にバリエーションを必要としない大量部数の場合はコスト面でデジタル印刷機より有利だ。ただし、HPの独自調査によれば、現状、売れ残って廃棄される書籍や雑誌は全体の40%前後で、コスト面の無駄が多く、環境に対してのネガティブな影響も問題になっているという。

 これに対してデジタル印刷機によるオンデマンド印刷は、注文数のみ刷ることで無駄を省けることから、大量印刷でもコスト面でメリットが得られる場合があり、さらに環境負荷を抑えることができる。ラベルやパッケージの印刷に関しても、同様のことが言えるとした。

HPのデジタル印刷機で生産された書籍や雑誌を展示している「HP Book Store」

 一方、ラベル市場においては、すでにデジタル印刷機の需要が高く大きなシェアを持っている。また、パッケージング(コカ・コーラのボトルはこちらに含むようだ)においても、まだビジネス自体の歴史が浅いためシェアは小さいが、コカ・コーラのような巨大企業が売り上げを2%以上も上げるというのは強烈なインパクトがあり、これから大きな前進が期待できるとした。

 このほか、今後特に期待している分野としては、コルゲート市場(段ボールのボックス、平面に印刷して組み立てる)を挙げた。

Indigoで印刷したパッケージやラベルを採用している商品が集まった展示コーナー「HP Supermarket」
ワインボトルをはじめ、ドリンク類のラベルも多数並べられている
キリンビールの「一番搾り」を発見。2006年の「サッカー日本代表応援キャンペーン」時のものだ。オンデマンド印刷が可能なデジタル印刷機なら、こういった期間限定バージョンにもフレキシブルに対応できる
子どもの写真をプリントしたパーソナライズな菓子パッケージ。奥にはロッテによる受験バージョンの「コアラのマーチ」や、冬季限定の「パイの実」などが見える
お米のパッケージを大きく印刷したもの。北海道産の「ゆめぴりか」と沖縄の「愛を米 守札」が見える。デジタル印刷機の機種によっては、このような大きなパッケージも印刷可能だ
最新のデジタル印刷機「Indigo 30000」。比較的大きな紙製品の印刷に使われる
Indigo 30000の内部。放射状に装填されている、青色のハンドルがついたモジュールが専用インク(液体トナー)だ。4〜7色インクでのカラー印刷に対応する

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