TLC採用で最安値クラスの容量単価に!! 「Crucial BX200」シリーズSSDを試す:大容量SSD時代へ加速(4/4 ページ)
普及価格帯の大容量SSD「BX 200」シリーズを徹底検証。BX100と比較して何が変わったのか。
ユーティリティから利用できる延命機能をチェック
TLCチップの信頼性については、ここで行うような簡単なベンチマークでは測ることはできないので、気になる方のために寿命延長のTipsを紹介しておこう。
寿命延長のTipsの1つ目は、専用ユーティリティによるチューニングだ。Crucial製SSDには、専用ユーティリティ「Crucial Storage Executive」が提供されている。こちらは別途ダウンロードが必要なので、製品ページからサポート(Support)→SSD Supportと進み、該当する製品をクリックしてダウンロードして欲しい。
さて、このStorage Executiveは、一般的なメーカー謹製SSD用ユーティリティと同様、ファームウェアの更新、あるいはS.M.A.R.T.などの情報を監視することでSSDの異常を検知しユーザーに通知したり、SSDを工場出荷時の状態に戻す(サニタイズ)といった機能を提供している。そのうえで、注目したいのは「一時キャッシュ機能」や「オーバープロビジョニング機能」の2つだ。
一時キャッシュは、PCのメインメモリをSSDの読み書きのキャッシュとして活用する機能だ。まず、転送速度の速いメモリを活用することで、使用上の転送速度を向上させる。また、同時にNANDフラッシュメモリへの書き込み処理も最適化される。SSDに直接書き込むのではなく、キャッシュというクッションを設けることで、NANDフラッシュメモリへの書き換え回数を抑制でき、これがSSDの寿命延長に繋がる。
なお、メインメモリに領域を確保するため、PCの電源が落ちてしまうとデータが消えてしまうことになる。その点で、同機能の画面上でも、バッテリーの有無に関する項目があり、デスクトップPCのようにバッテリーが検出されない場合には警告が表示される。とはいえデスクトップPCで利用できないわけではないので、オンにする場合はこうした仕組みを理解したうえで利用しよう。
オーバープロビジョニングはもう少し低い敷居で寿命延長効果が得られる機能だ。オーバープロビジョニングは、余剰領域と訳される。一般的に、SSDではNANDフラッシュメモリの一部の領域が寿命を迎えた際、あらかじめ確保されている余剰領域を割り当てることで正常の状態に戻すといった仕組みを備えている。
ここで提供されるオーバープロビジョニング機能は、標準の余剰領域に加え、ユーザーが任意で拡大できるものだ。仕組み上、余剰領域として確保した分、使用可能領域は減るが、安心を取るなら是非とも活用したい機能だ。
最安クラスの価格をNANDメーカー直系のCrucialが実現
Crucial BX200シリーズの実売価格は、製品リリース当初こそBX100シリーズと逆転減少が起きていたが、発売から1カ月以上経った執筆時点では、240GBモデルが9000円前後、480GBモデルが1万7000円前後、960GBモデルが3万7000円前後と、BX100シリーズの同容量帯モデルよりも安くなっている。
そしてこの価格付けは、SSD全体として見ても各容量帯の最安モデルとほぼ同額だ。そのうえで、Crucial BX200シリーズは、NANDフラッシュメモリの製造メーカー直系の製品である。手ごろなコストでSSDを楽しみたいという方には、こうした点でオススメできる。Crucial自体、過去を振り返ってみても各時代に合わせてアグレッシブな価格戦略でSSD市場をリードしてきたが、この姿勢はBX200シリーズでも継承されていると言ってよい。
一方、ハイアマチュアになると求めるところが違ってくるだろう。ハイアマチュアがエントリーモデルを求めるとなると、想定されるのはデータストレージ用途ではないだろうか。書き換え回数の少ないこうした用途では、TLCチップの信頼性はさほど影響しない。むしろBX200シリーズの容量単価面でのメリットが上回るはずだ。
逆にもっと頻繁に書き換えを行う用途で検討されている方には、そもそも論としてMLCチップを採用するハイエンドモデルをオススメするが、諸事情で容量単価を引き下げたいとしても、今回紹介したような各種の延命機能によって、TLCチップのNAND技術レベルでの耐久性についてはかなり解消される。
もちろんRAMディスクを活用してアプリケーションが使うキャッシュをSSD上からスワップする古典的テクニックもある。特に専用ユーティリティで用意される前者の機能は、とくに難しい設定を必要としないので、是非とも活用してみてほしい。
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