3年前にOculus版「機動戦士ガンダム 戦場の絆」が存在した!? プロデューサーが語るVRアミューズメント施設の裏側:「VR ZONE Project i Can」(2/2 ページ)
4月28日にデジタルハリウッド大学駿河台キャンパスで行われたイベント「Tokyo VR Meetup #04 VR×ネカフェ・アミューズメント施設の可能性」にて、VRアミューズメント施設「VR ZONE」に携わるバンダイナムコエンターテインメントの小山氏と田宮氏が内情を語りました。
VR ZONEの企画を進める上で難しかったところは
「企画自体を作り始めて店舗に出すまで半年くらい。『スキーやるぞ、ホラーやるぞ』と、最初にアトラクションのテーマだけそれぞれ決まってて、メンバーは意思疎通をスムーズにするために少人数。ホラーは7名くらい」(小山氏)。「(VR ZONEにある、それぞれのアトラクション企画と店舗の話が)8月くらいに一斉に立ち上がったので、本当に短期間でした」(田宮氏)
VR酔いを防ぐためにどんな工夫があった?
「戦場の絆って、最初は商品にならないような状態でした。ドームスクリーンでエースコンバットやレースゲームをやると2秒くらいで「おえー」ってなる。そこで製品化までに行った対策が、カメラ制御です。レースゲームで言えば、アクセルやブレーキを踏んだとき、ハンドルを切ったとき、または坂を走っているときに発生する画面の動きを全てカットし、地面と平行にしか動かないようにする。すると今度は全く動いている感じがしなくなる。そこでガンダムのコックピット内部のフレームをカメラの代わりに動かすようにしたら、実際に歩いている感じを出すことができました」(小山氏)
「コックピットと言えば、ガンダムのカメラアイって額に付いているんですよ。最初はゲームでもそこに視点を置いたのですが、ドームスクリーン上でプレイすると自分がただの巨人になってしまい、向こうからザクが来ても迫力がないんです。特撮のセットの中で戦っているみたいになる。そこで視点をどんどん下げました。そういったノウハウがあったので、VR ZONEのロボットゲームは胸にコックピットがある設定になっている。敵を見上げる形になるので、巨大さを感じられるようになっています」(小山氏)
「VR ZONE」オープン後のお客さんの反応は?
オープンから初めて迎えた土日は、VRを体験するのが初めてという一般のお客さんが非常に多かったです。お話を伺って一番多かったのが、「PlayStation VRのニュースを見て、VRがすごいらしいけど体験する機会がなく、オープンを待っていた」というお客さん。前知識なしで、オススメを聞かれるような状態でした。VRを初めて体験していただく場としてうまく機能しているのかなと」
「一番人気は『極限度胸試し 高所恐怖SHOW』です。多分一番(VRのすごさが)分かりやすいコンテンツで、ブースには板1枚が置いてあるだけなのに、VRを装着するとさっきとは全く違う景色が広がる。これに驚かれる人が多かったですね。本当はブースをカーテンで遮って中を見せないように設計してたが、オープン直前にカーテンをやめました。あのコンテンツで一番面白いのは、誰かがプレイしているところを回りがゲラゲラ笑いながら見るところだったりします。VRって一人で楽しむ印象が強いですが、実は仲間はずれがないエンターテイメント」
「業界関係者に公開したときと比べ、一般の人は本当に想定外が起きる。高所恐怖SHOWでは、バンジージャンプのように頭から下へ飛び降りた(VR空間で。実際は床に)人がいて、(あらかじめ体に装着していた命綱が働いた瞬間を初めて目にした。プレイヤーに自由を与えると、何をするか分からないですね」(田宮氏)
メンテナンス面で困ったことは?
「HTC Viveコントローラーのボタンがつぶれちゃったりとか、ハーネスの根元がちぎれてしまったりとか。ホラーゲームでは恐怖という極限状態にあるので、力一杯握りしめてしまうんですよね」」(田宮氏)
「アーケードの筐体ってめちゃくちゃ頑丈に作るのですが、そういう風に作られていないところはガンガンやられています」(小山氏)
今後挑戦していきたいアイデアは?
「現在、VR ZONEに置いてある6つのアトラクション以外にも新たなものを制作中です。これをいつ出そうかなという。でも会場が狭くて置けないのです。それぞれのブースはセンサーを絶妙な位置でレイアウトしており、それぞれが干渉しないようになっています」(小山氏)
「VR ZONEのアトラクションは、オープンスペースにそれぞれふわっと置いてあるように見えるが、レイアウトに相当苦労しています。正確に言えば、今まで見てたセンサーをロストした瞬間に、他のセンサーを見てしまうとそっちを拾ってしまうのです。オープン前に、改装前の洋服屋さんに通って泥臭い検証を重ねました。スペースが広いのは、『ゲームセンターっぽさを無くそうよ』という話がありつつも、あれ以上近づけることができないからというのもあります」(田宮氏)
VR ZONE Project i Canは10月中旬までの期間限定ですが、期間中に新しいアトラクションへ入れ替えることはあるだろうと田宮氏はコメントしています。既に体験した方もまた訪れたくなる新アトラクションに期待です。
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