Intelが考える“PCの先にある世界”:COMPUTEX TAIPEI 2016(3/3 ページ)
COMPUTEXにあわせて新CPU「Broadwell-E」(開発コード名)を発表した米Intel。同社が目指す“PCの先にある世界”を同社の基調講演から読み解く。
360度視点の映像配信と機械学習
Cisco Visual Networking Indexによれば、現在世界のインターネットのトラフィックの72%は動画配信によるもので、これは今後5年で80%を超えることが見込まれているという。この理由はユーザー数の増加というだけでなく、映像の「リッチ化」という側面が大きい。
例えば、Netflixは4Kの映像コンテンツ配信を行っており、さらに最近ではより配信情報量の多い「HDR(High Dynamic Range)」に対応したコンテンツまで登場している。またVRやVR HMDの登場で、360度の映像体験が可能なコンテンツ配信も今後増えてくることが見込まれ、従来までのSDやフルHD画質が一般的だった動画配信の世界も大きく変化しつつある。こうしたユーザーのニーズへの対応は映像配信側にとっての負担の増大を意味しており、より低消費電力で効率的な配信システム構築が重要になってくる。
Intelでは今回のCOMPUTEXで「Xeon E3-1500 v5」を発表しており、Quick Sync Videoを組み合わせたハードウェアによるトランスコーディングで、より効率的に映像の配信処理が可能になると米Intelエグゼクティブバイスプレジデント兼データセンター部門(DCG)担当ジェネラルマネージャのDiane Bryant氏は説明している。
同プロセッサを使ったハードウェア支援処理は4Kに限ったものではなく、例えば前述の360度視点による映像配信にも有効だ。実際に基調講演の場では、同時刻に米ニューヨークの著名なジャズクラブであるBlue Noteで行われたLiving Colourのライブの模様が中継配信されている。VR HMDを使えば、あたかも実際に現場にいるかのような臨場感でライブが楽しめるが、より手軽に雰囲気を楽しみたいというのであればタブレットやスマートフォンを使っての360度視点移動で中継映像を楽しめる。
このほか、基調講演では最近話題となっている「機械学習」(Machine Learning)の取り組みについても紹介されている。
機械学習についてはさまざまな取り組みがあるが、一般に特定の演算処理を大量に行う仕組みが必要で、GPGPUや専用の演算回路が有効だとされている。Googleが先日の開発者会議で「TPU」(Tensor Processing Unit)という機械学習用の専用プロセッサを発表したのも、こうしたアイデアの延長にあるといわれる。
Intel側のアプローチとしては、Xeon Phiの活用のほか、以前に同社が買収したAlteraのFPGAを使った専用回路構築などを提案しており、ステージ上ではViscoveryとQCTの事例が紹介されている。まだまだ研究途上ではあるが、クラウドの世界ではより効率的な処理を求め、Googleなどサービス事業者側が主導でハードウェアの選定や開発にあたるような形で、この場合の顧客であるベンダー側の意向が強く反映されるようになっている。
IntelはAlteraの技術でライバル他社に対抗する形となるが、これが実際に成功するかは、どれだけ多くのアプリケーションや事例を積み上げられるかにかかっているといえる。
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