アニメ、コミック、ラノベの「デザイン」とは何か? 人気デザイナーに聞く仕事の裏側:デザインから見る二次元(2/3 ページ)
アニメ、コミック、ラノベなど幅広いジャンルで装丁やパッケージデザインを担当してきたデザイナーの團夢見社長にデザインの裏側を聞いた。
「ターゲットは誰か」が出発点
二次元作品のデザインでは、物語の世界観をいかに表現するかが重要になってくるが、そのためにどんな下準備をするのだろうか。
團さんは「何をデザインするときでも、まずはターゲットが誰かを考えます」と強調する。消費者の年齢や性別などを想像しながら全体のイメージを考えていき、同時に作品への理解も深めていく。アニメは基本的に完成前なので企画書をもらい、コミックの場合は作品を読み、小説の場合は編集者から要約文をもらって想像していく。
「UN-GO」は、最初の打ち合わせの段階で大まかなロゴのイメージがわいたという。團さんは「打ち合わせの時点で大まかなアイディアが浮かんだときはスムーズですが、大抵は散歩したり、本屋に行ったり、お風呂に入ったりしているときに突然思いつきますね」と笑う。最初のデザインイメージに悩む時間が大半を占めるそうだ。
「ゴリッとした配色」「バッとした感じ」 現場で飛び交う謎表現
デザインと聞くと非常に感覚的で、言語化して説明するのは難しい印象だ。例えば出版社との打ち合わせなど、第三者に脳内のイメージを伝えるときの苦労などはないのだろうか。
團さんは「基本的にコンペは作品を見てもらうだけでプレゼンなどはしないですし、打ち合わせでもデザインについて言語化する機会はあまりないです。現場では抽象的な表現で通じます」と答える。インタビュー中も「ゴリッとした配色」「バッとした感じ」などの抽象的な表現が飛び交い、素人には理解できない独特の世界が広がっていた。
また、ファッションと同じく、デザインにも時代によるはやり廃りがある。「例えば、昔のボーイズラブコミックの表紙は、紫にピンクを重ねたり、はっきりくっきりしたフォントを使うなど“こってり”していましたが、今は線が細くて淡い色を使った、“さっぱり”したものがトレンドです」と團さんは説明する。
感覚的な仕事ではあるが、團さんの場合はアーティストというより職人気質な面が目立つ。デザインする際の優先順位も「1:作家の意向→2:クライアントやファンが望むもの→3:自分の好み」を徹底し、書店映えするかなど「読者の手に届きやすくなる要素」を意識する。
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