「パーソナルコンピューティングは廃れてきている」――総合ITメーカーへ舵を切るLenovoの行方:「Lenovo Tech World 2016」現地レポート(2/2 ページ)
米国サンフランシスコでLenovoの製品発表イベント「Tech World 2016」が開催された。Project Tango対応スマートフォンやウルトラフレキシブルディスプレイ搭載デバイスを披露したほか、CEOヤン氏の「パーソナルコンピューティングは廃れてきている」といった発言にも注目だ。
世界で初めてとなるProject Tango対応のスマートフォンが登場
Lenovoがこれからリリースする革命的な製品の第一弾として発表したのが、「phab 2 PRO」だ。これは米Googleが提唱しているProject Tango対応のスマートフォンである。背面カメラに加えてモーションセンサーと深度センサーを備え、カメラの方向にある被写体を立体的に認識できるのが特徴だ。
phab 2 PROについてヤン氏は、「クラウドの力を活用し、これまでになかったレベルで位置情報を認識したり、複数のカメラとセンサーによって画面に映る現実を拡張したりできる」と語る。これらの機能によって、屋内でのナビゲーションが可能になるほか、ゲームの可能性もさらに広がるだろう。例えば、リビングを映し出し、その場所にバーチャルな家具を置いて、確認することなどが簡単にできるようになるという。
タブレット事業担当のジェネラルマネージャ兼バイスプレジテントのジェフ・メレディス氏は、AR(拡張現実)、VR(仮想現実)を実現するTango技術をスマートフォンに搭載したことについて、「今後、5年間でAR、VR関連の技術は急成長すると予想されている。しかし、どんな技術もユーザーの生活に関連していなければいけない」とした。
「朝起きて、スマートフォンに住所を入力して目的地まで徒歩や自転車、車などで移動するときに、『GPSは素晴らしい』とは考えないはずだ」(ジェフ氏)。このように、ARやVR技術をGPSと同様に、当たり前だと思うようなものとして普及させたいという。「phab 2 PRO」の詳細仕様は別途紹介しよう。
モトローラブランドの新作は、外部ユニットの接続でプロジェクター機能などを拡張できる
最後に紹介されたのが、モトローラブランドの新型スマートフォン「Moto Z」と、最初に落下テストでお披露目した「Moto Z force」だ。
両モデルに共通するのが、「MotoMods」という拡張規格に対応しており、バッテリーやプロジェクターユニットなどを拡張できること。デモで用意していたのは、バッテリーパックとプロジェクターユニット、そしてJBL製のスピーカーパックなどだ。これらは本体とマグネットで装着でき、取り付け、脱着ともに非常に簡単だった。
このほか、ステージではVR機器によるゲームのデモ、IoTの取り組み、そしてクラウド、ネットワーク関連の取り組みや提案などが数多く語られた。日本市場ではLenovoというと、PCメーカーの印象が強い。Lenovoはその側面を生かしつつも、サーバーからPC、スマートフォンというハードウェアだけでなく、ソリューションまでも手掛けていくという宣言を感じられた。Lenovo Tech World 2016は、レノボがPCメーカーから、総合ITメーカーへと舵をきったことを周知するイベントだったといえるだろう。Moto ZおよびMoto Z Force、Moto Modsの詳細については別途紹介する。
(※初出時、「phab 2 PRO」が「phab 3 PRO」となっていました。訂正してお詫びいたします)
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