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iPhoneに続いてPCの音声端子もなくなる? 知っておきたい2017年の注目技術(2/4 ページ)

PCの外部拡張端子はUSB Type-Cに集約する方向が定まったが、今後は新機能も盛り込みつつ、それが加速しそうだ。2017年のPC製品に影響を与えそうな注目技術をまとめた。

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認証プログラムで理想に一歩近づいた「USB PD」

 USBの便利な点は電源も集約できる(電源ケーブルを省ける)ことにあるが、USBの給電仕様はかなり複雑化している。ここできっちり整理しておこう。

 USBは基本仕様でも給電機能があり、USB 3.1/USB 3.0で最大4.5Wと定められている。USB Type-Cではさらに「USB Type-C Current」として最大15Wでの供給が可能になった。この15Wというのが、USB Type-Cの標準仕様だ。

 これに、充電需要に対応した拡張仕様が加わる。「USB BC(Battery Cahrging)」、その後継の「USB PD(Power Delivery)」がそれだ。後者は最大100Wへと給電能力が大幅に拡張され、ノートPCや2in1の充電も可能になっている。

  • USBの給電仕様(最大電力)
    • USB 2.0:1.5W
    • USB 3.1:4.5W
    • USB BC 1.2:7.5W
    • USB Type-C Current:15W
    • USB PD 2.0/3.0:100W

 USB PDの最新リビジョンは3.0だが、2.0バージョン1.2(v1.2)で大幅に変更された。従来「パワープロファイル」と呼ばれていた充給電の仕様が廃止され、「パワールール」という新たな規則になり、9Vと15Vの仕様が追加されたのだ。USB PD 3.0はこのUSB PD 2.0にさらに管理機能などを追加したものだ。

Power Profiles
USB PD 2.0 v1.1のパワープロファイル。要求電力の範囲を規定したものであり、必ずしもきっちりこの電圧と電流の組み合わせでなくともよい
Power rails
USB PD 2.0 v1.2では、パワープロファイルを撤廃して、パワーレールが新規に定義された。内容も変わっており、9Vと15Vの仕様が追加されている

 USB Type-C関連ICを多数開発しているTexas Instrumentsでは、同社Webサイト内にBlogを用意してUSB Type-C関連の情報を公開している。その中で、デリック・ウォータース氏のエントリでは「USB PD 3.0製品はUSB PD 2.0との下位互換性を保証し、完全に相互運用が可能である」と述べている。ただ、その内容を見ると、同氏の語るUSB PD 2.0は、v1.2を前提としているようだ。

 問題は、USB PD 2.0 v1.1とv1.2の間にある大きな差だ。Texas Instrumentsは、同社がUSB PD v1.1時代に開発したUSB PD用IC「TPS65982」でUSB PD v1.2のパワールールをサポートするドキュメントを公開しているが、これは若干の実装回路の変更または追加チップの実装によるソリューションを提示したものとなる。既にUSB PD 2.0 v1.1以前の仕様で実装された製品が、USB PD 2.0 v1.2以降のパワールールで追加された仕様に対応するのは難しそうだ。

 ちなみに、Qualcommのスマートフォン向け急速充電技術に「Quick Charge 3.0」という仕様があり、USB Type-Cもこれを利用可能となっている。これは3.6Vから最大20Vの範囲内で200mV単位で調整し、最適な電圧で充電するというものだ。QualcommのSoC(System on a Chip)を搭載した対応スマートフォンのみで使える技術であり、USB PDの仕様とは完全に別物なので注意したい。

 USB PDでは前出のパワールールを使うことで、充電側に適切な電圧と電流で給電が行われる仕組みになっており、上位ルール対応製品は下位ルールを全てカバーすることが原則だ。そのため、「理論上」では電力仕様が異なるデバイスでACアダプターやモバイルバッテリーを共有して運用できる。

 しかし、それは理想であり、現実はそううまくはいかない。充電端子がUSB Type-C形状でもUSB PDを利用しているとは限らないし、内部的にはこれを利用して充電端子の設計を行っていたと思われる製品でも、わざわざ「USB PD対応」と公言することはごくまれだ。余計なサポートの負担を背負い込むことになるためだ。

 ユーザーとしては、サポートは自社製品限定でもいいからUSB PD対応なら対応と公表してもらいたいものだが、電源というクリティカルな要素であり、仕様を満たさない粗悪品が出回るリスクなども考慮するとやむを得ないだろう。USB PD 2.0 v1.1からv1.2の間に大きな差があったように、規格自体も安定していなかった。そのため、ユーザーは手探りで可能な組み合わせを模索し、自己責任で運用するしかなかった。

 その点で、2016年8月からUSB-IFでUSB PD対応ACアダプターの認証ロゴプログラムが開始されたことは朗報だ。「Certified USB Charger」のロゴがついたACアダプターであれば、USB PDの仕様(USB PD 2.0 v1.2以降)をきちんと満たした製品であると分かり、安心して利用することができる。こうした安心して利用できるACアダプターが出回れば、デバイス側もUSB PDサポートをうたうメリットも出てくるのではないだろうか。

Certified USB Charger
2016年8月にはUSB PD対応ACアダプターの認証プログラムが開始された。「Certified USB Charger」のロゴがついたACアダプターであれば、安心して利用できるだろう

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