NASのバックアップ先は、外部HDD? それともクラウド?:SynologyのNASで、バックアップ・マスターの称号を手に入れる(2/3 ページ)
スマホやタブレット全盛の今、家庭内のデータをまとめて保存し、複数のデバイスから利用できるストレージとして注目を集めているのがNASだ。今回はSynologyのNASキットを例に、データを安全に外部にバックアップする2つの方法について、その特徴と具体的な手順を紹介しよう。
外部HDDへのバックアップでは任意の日付の状態に書き戻せる
それでは、それぞれの設定方法を順次紹介しよう。まずは外部HDDへのバックアップ方法について見ていく。
SynologyのNASキットに限らず、市販のNASの多くは本体背面にUSBポートを備えており、市販のUSBHDDを接続できる。NASのデータを定期的にこのUSB HDDに定期的にコピーするよう設定しておけば、いざNASが壊れても、データをUSB HDDから復元できるというわけだ。
USB HDD以外に、同じネットワーク上にある別のNASに対してバックアップを行うこともできる。転送速度がUSBほど速くないため、バックアップが完了するまでの所要時間は長くなるほか、設定手順もやや複雑だが、NAS本体の隣に置かなくてはいけないUSB HDDと違って設置場所の制約もなく、また異なるコンセントに接続しておけば、雷などでの被害も軽減できる可能性がある。新しいNASを購入した際、いらなくなった古いNASをバックアップに回すといった具合に、機材をうまくローテーションさせれば、導入コストも抑えられる。
さて、SynologyのNASはアプリを組み込むことで機能を自由に拡張できるが、これらUSB HDDへのバックアップ、そしてNASへのバックアップは、いずれも「Hyper Backup」というNASアプリを使用する。初回起動時にはバックアップウィザードが表示されるので、USB HDDにバックアップする場合は「ローカル共有フォルダと外部ストレージ」を、Synologyの別のNASにバックアップする場合は「リモートSynology NAS」を選び、あとはウィザードに従って設定すればよい。
バックアップ先がUSB HDDの場合と、別のNASの場合とで、設定手順は大きくは変わらない。NASの場合は最初に自動検出が行われたのち、ログインのためにユーザー名とパスワードを入力しなくてはいけないのと、保存先となるNASにあらかじめバックアップ用の共有フォルダを作っておく必要があるのが、USBHDDとの大きな違いだ。
バックアップの設定では、一時間に1回という短いサイクルから、年一回というかなり長いサイクルまで、どのくらいの頻度でバックアップを実行するかを指定できる。保存するバージョン数も指定できるので、例えばバックアップの頻度を「一日一回」、バージョン数を「30」にすれば、最大30日前までの任意の日付の状態にデータを復元できる。「先週末に削除したファイルを取り戻したい」という場合も、バックアップエクスプローラを使って日付を遡れば、そのファイルを探し当てられるというわけだ。
またローテーションをオンにしておけば、古いデータから順に削除されていくため、容量を圧迫することもない。一般的に、外部HDDへのバックアップでは本体と等しいか、もしくはそれ以上の容量のディスクを用意することが多いが、予算などの関係で小容量のディスクしか用意できなかった場合も、この機能を駆使すればうまくやりくりすることが可能だ。他社のNASではここまで詳細な設定はできないことがほとんどなので、SynologyのNASを使うのであればぜひ活用したい。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.