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新Surface ProはなぜUSB Type-Cを搭載しないのか 米Microsoftのキーマンに聞く鈴木淳也の「Windowsフロントライン」(1/2 ページ)

「Surface Pro」「Surface Studio」「Surface Laptop」の国内発表を一気に行った日本マイクロソフト。米Microsoft本社から来日したSurface担当者にさまざまな疑問をぶつけてみた。

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 日本マイクロソフトが「Surface」ファミリーを一気に拡充した。Surface Pro 4の後継になる2in1モデルの新しい「Surface Pro」と、28型ディスプレイ搭載のオールインワンデスクトップPC「Surface Studio」を6月15日に、シリーズ初のクラムシェルノートPC「Surface Laptop」を7月20日に発売する。

Surface
国内のラインアップを一気に拡充した「Surface」ファミリー。左が新しい「Surface Pro」、中央の奥が「Surface Studio」、右が「Surface Laptop」、手前が発売中の「Surface Book」。Surface Book以外の3モデルが新製品だ

 同社は5月26日に東京都内でこれら新製品の発表会を開催。発表会に出席するために来日した米MicrosoftのSurface製品担当コーポレートバイスプレジデントであるパノス・パナイ氏と、Surfaceデバイス全般のエンジニアリングを担当するコーポレートバイスプレジデントのブレット・オストラム氏に、新製品群と同社の製品計画について話をうかがった。

米国イベントでおなじみ、Surfaceの顔が来日

 米MicrosoftのSurface関連イベントではおなじみのパナイ氏だが、日本の発表会への登壇は初となる。これまで日本国内のSurfaceイベントの顔と言えば、初代モデルから皆勤賞で参加していたマーケティング担当のブライアン・ホール氏だったが、同氏は2017年1月に米Microsoftを退社してシリコンバレーのスタートアップ企業でCOOに就任している。

 パナイ氏は5月23日に上海で開催されたSurface発表会にも登壇しており、その足で来日した。同氏は「かつて米国の日本企業(ミネベアミツミのグループ企業であるNMB Technologies)に勤務していたことがある」と説明し、日本での滞在経験を含めて、あいさつの際に親日ぶりをアピールしている。今後、同氏がホール氏に続く国内Surface発表会の顔となるかは分からないが、魅力的なプレゼンで知られるだけに、次期製品の発表時も来日を期待したい。

 今回の国内発表会で披露された新製品群は、どれも海外で発表済みのものだったが、注目度の高い3つのSurface新製品の国内販売予定が一気に明かされたことで、過去の発表会と比較して盛り上がった印象だ。当初の予定時間を大幅にオーバーするパナイ氏の1時間半以上のプレゼンを見て、その熱の入れようが伝わってきた。

Panos Panay
新しい「Surface Pro」とSurfaceペンを手にプレゼンテーションを行うパノス・パナイ氏

 一方、パナイ氏とともに来日したブレット・オストラム氏は、Surfaceデバイス全般のエンジニアリングを担当している。Microsoftのマウス、キーボード、Webカメラなどのハードウェア開発に携わり、(Surface発売前の)2010年からSurfaceの開発を担当し、現在はSurfaceデバイスの設計、開発から出荷に向けたテストまで含む責任者となっている。

Brett Ostrum
Surface関連のハードウェアエンジニアリングを担当するブレット・オストラム氏。今回国内投入が発表された製品で、一番のお気に入りを手にしてもらった

プレミアム市場を開拓するSurface

 発表会後の囲み取材に応じたパナイ氏は、かつてサードパーティーにまかせていたPC本体製品の市場に、Microsoftが自らSurfaceブランドを投入した狙いと効果について、「OEMも含めて、プレミアム市場での盛り上がりを実現した」と答えた。

 かつてのNetbookブーム以降、グローバルで下落の一途をたどっていたPCの価格だが、プレミアムな価格帯に投入されたSurfaceは一線を画する存在となった。後にWindowsデバイスで2in1タブレットのカテゴリーが盛り上がったように、安さが主なセールスポイントとなっていた市場を変化させた一因はSurface、特にSurface Proシリーズにあると言ってよいだろう。

 下火傾向があったデスクトップPC市場には、クリエイティブユースを前面に押し出したハイエンドクラスのSurface Studioを投入し、その新たな可能性を提示した。米国での発表から半年が経過している製品だが、画面を寝かせられる高品位な28型ディスプレイとSurfaceペン、そして新しいダイヤル型の入力デバイス「Surface Dial」も合わせて、日本上陸を待っていたユーザーは少なくないだろう。

Surface Studio
「Surface Studio」をアピールするパナイ氏。40万円近い価格はなかなか手を出しづらいが、それにもかかわらず、その性能や機能に魅力を感じるユーザーは少なくないはずだ

 (Surfaceブランドにしては)安価なノートPCという印象もあるSurface Laptopだが、全モデルのパームレストおよびキーボードベゼルにアルカンターラ(スエード調の人工皮革ブランド)の素材を用いており、ディスプレイを閉じるときの音にもこだわるなど、高級感を追及している。

Surface Laptop 1
「Surface Laptop」はシンプルなデザインの薄型軽量ノートPC
Surface Laptop 2
上蓋を閉じたときの音にもこだわったとアピールするパナイ氏

 OEM市場食いという意見もあるMicrosoftのSurfaceビジネスだが、これまでグローバルでWindows PCが十分な影響力を発揮できていなかったプレミアムやニッチ市場の開拓というコンセプトは維持しているわけだ。

なぜ「Surface Pro 5」ではないのか?

 新しいSurface Proについては、「なぜSurface Pro 5とせず、ナンバリングを廃止したのか」という疑問を持たれている方が多いだろう。

 オストラム氏に質問したところ、「Surfaceでは製品とカテゴリーの革新を常に続けており、バッテリー、デザイン、ペンの利用体験の改善を進める中で、製品の刷新を行う意味で原点回帰した」と述べた。

 同様の質問をパナイ氏にもしたところ、その回答は「別にナンバリングを廃止したわけではなく、第4世代に続く製品として、全てが新しいベストな製品として“The Surface Pro”とさせてもらった」とのことだった。

 「その時々でベストなもの」ということで、あえてナンバリングを見送ったというわけだが、社内的には「New Surface Pro」と呼んでいるようだ。この「New」が次の世代のSurface Proでどうなるかは不明だが、少なくともルーティンワークのように毎年マイナーアップデートを繰り返す製品と認識してほしくない、という意図は伝わってくる。

Surface Pro
Surface Pro 4の後継モデルは「5」ではなく、ナンバリングを排した「Surface Pro」となった
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