2017年のAppleと、これからのApple――林信行が2017年を総括(3/3 ページ)
2017年はどんな年だったか? そこから2018年はどんな年になりそうか。林信行が読み解く。
2018年はショッピング体験が大きく変わる年
AppleやGoogle、Microsoftといった大手プラットフォーマーによる新たな種まきが行われる一方で、これまで種だったり小さな芽だったりした技術トレンドのいくつかが2018年にも大きな花を咲かせ、デジタル時代の新しいライフスタイルとして実を結ぼうとしている。
LINE Payに代表されるメッセージ機能を使った支払いシステムもその1つで、日本ではまだだが米国では既にAppleもApple Pay CashというiMesasgeサービスを使って個人間で金銭を送りあえるサービスが始まっている。LINEと異なり、Apple Pay Cashでは(現時点では)個人が企業に対して支払いをしようとしても送り先となるメッセージアカウントがないが、冒頭でも紹介した2018年スタートのBusiness ChatはただのCRM(顧客管理システム)だけではなく、こうした支払い先の受け口としいう役割もある。
急騰と暴落を繰り返しているビットコインに代表される仮装通貨も、金銭のやりとりのプラットフォームとして着実に広がりを見せている(これからどういう規制がかかるかは気になるところだが)。世界中で少しずつ支払い受付店舗も増えており、日本ではそこに量販店のビックカメラや旅行代理店のH.I.S.なども加わった。
こうしたクレジットカードに変わる新しい直接支払い手段とApple PayやGoogle Payなどの仕組み、そして従来通りのクレジットカードや現金といった仕組みがこれからオリンピックへと向かう日本でどのような購買体験を生み出すのか、2018年はある意味、その行く末を左右する年になりそうだ。
一方で、ファッション×テクノロジーの接点に生まれるFashion Tech関連でも、ZOZOTOWNが着るだけで体型を採寸してくれる「ZOZOSUIT」の無料配布を発表したことで一気に注目度が高まってきた。
採寸サービスとしては既にVirtusizeというサービスが国内のさまざまなファッション系ECサイトと契約を結び、日本最大シェアをうたい始めている。これは一度、買った洋服の着丈や袖丈が合わなかった場合、それを基準とした寸法を登録して、センサーに頼らない採寸を売りにしている。
この他、Instagramやテレビドラマを見て、気になる洋服やファッションアイテムを見つけたときに、画像認識を使ってかなりの高確率で実際の製品を探し出すMarkableといったサービスも登場している。
2018年は、これまでニュースで見聞きするだけだったFashionTechが、いよいよ日常の買い物と密接にリンクしはじめるはずだ。他にも注目サービスは数多くあるが、とりあえずこの記事ではこの2つの紹介にとどめておこう。
関連記事
- iPhone Xはどこが次世代なのか?
林信行がiPhone Xを手にしてから22時間の試用に基づいたファーストインプレッションを書く。 - iPhone 8――10年目を締めくくる初期iPhoneの完成形
iPhoneの誕生から10年。iPhone 8はその集大成であり、完成形だ。林信行による徹底レビュー。 - iPhone X発表会を林信行が語る それは人類が向かう確かな行き先
「私が進むのはパックが向かう方向、それまであった場所ではない」。iPhone誕生10周年を飾るAppleスペシャルイベントを林信行が振り返る。 - iPhone誕生10周年に見た「macOS」「watchOS」「tvOS」の進化
インテリジェンス、プライバシー保護、VR――WWDC 2017から見えてきたAppleのこれからを林信行氏が解説。 - この秋、iOSに本格的AR・AI時代が到来
iOS 11で何が変わるのか。林信行氏が解説。
関連リンク
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.