キングジムは5月15日、デジタルメモツール「ポメラ」の新製品、「DM30」を発表した。ポメラの新製品は、16年10月に発売した「DM200」以来。DM200が折りたたみではないストレート式のキーボードとリチウムイオンバッテリー駆動を採用していたのに対し、DM30では観音開きの折りたたみ式キーボードと単三形アルカリ乾電池駆動を採用したのが特徴。価格は4万3000円(税別)で、6月8日に販売を開始する。初年度の目標販売台数は1万台。
6型の電子ペーパーディスプレイ DM200から好評の「アウトライン機能」も
細かくスペックを見ていこう。ディスプレイにはE Ink社の6型・800×600ピクセルの電子ペーパーディスプレイを採用。バックライトは搭載しないものの、紙のような表示品質でコントラストが高く、液晶や有機ELなどに比べて目に優しいことをうたう。
折りたたみ式キーボードは観音開きで、開くと連動してキーボード裏から接地用の足が立つ。キーピッチは横17mm、縦15.5mm。配列はJIS。従来はキーボードの左上隅にESCキー、その右に半角/全角キーとしていたが、ユーザーの要望を受け、半角/全角キーはESCキーの下に配置した。
日本語変換にはポメラ専用ATOKの「ATOK for pomera」を搭載。上位機種のDM200では「ATOK for pomera [professional]」を搭載していたが、プロフェッショナル版の動作にはリチウムイオンバッテリーによる駆動が必要だったことから、乾電池でも駆動できるATOK for pomeraとなった。同じく乾電池で駆動する、11年11月発売の「DM100」のATOKに比べて改良は加わっているという。なお、DM200まで搭載していた入力方式の「親指シフト」はDM30に搭載されない。
駆動には、単三形アルカリ乾電池2本を必要とする。連続駆動時間は約20時間。単三形乾電池とは別に、バックアップ電池としてリチウムコイン電池「CR2032」1個が必要。
DM200で好評だった、本文編集画面と見出し一覧を分けて表示できる「アウトライン機能」をDM30にも搭載。最大10層までのアウトラインに対応する。
本機にWi-FiやBluetoothなどの無線通信機能は搭載しないが、作成したテキストは最大8000文字までであれば、QRコードに変換して画面上に表示し、スマートフォンなどで読み取ることで転送できる。もちろん、microUSBやSDメモリーカードスロットも備えているため、有線やメディアを通じての転送もできる。Wi-Fi機能付きのSDメモリーカード「FlashAir」を使えば、Wi-Fiでの転送にも対応する。
本体サイズは、折りたたみ時で約156(幅)×126(奥行き)×33(高さ)mmで、使用時には約286(幅)×131(奥行き)mmとなる。重量は約450g(電池含まず)。カラーはダークシルバーの1色。
根強い「乾電池」と「折りたたみ式キーボード」の声
ポメラは08年から販売を始め、今年で10周年を迎える。これまでのポメラの累計販売台数は35万台と、ニッチな市場ながら好評を得てきたとキングジム商品開発部の東山慎司氏は語る。
一方、ストレートタイプのDM100やDM200を受けて、「『やはり折りたたみ式が良い』『コンパクトなサイズが気に入っていた』という声がユーザーから上がっていた」とも明かす。
「万人がそこそこ欲しい、ではなく、1人が強く欲しいと思う」――そんなニッチ戦略でポメラを販売してきたキングジムは、「乾電池で折りたたみ式キーボードのラインアップも必要」と判断し、従来のポメラの形に回帰したDM30を開発したという。
従来のポメラの折りたたみ式キーボードはスライドしながらキーボードの右側を開くような機構だったが、機構的に壊れやすいという問題があったため、今回はシンプルな機構である観音開きにした。観音開きにすることで、従来のキーボードよりキーピッチも広げられたとしている。
海外進出も「クラウドファンディング」で検討
クラウドファンディングサイトの米Kickstarterで、5月15日から6月14日まで、米国でのポメラの需要を調査するプロジェクトを実施することも発表した。当初はJIS配列のDM30を掲載し、英語マニュアルを添付したものを出荷するとしており、英字配列などハードの変更については今後検討していくという。
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