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発表が待たれる「HoloLens 2」は2019年第2四半期にスライドか、値下げは?鈴木淳也の「Windowsフロントライン」

MicrosoftのWindows Mixed Reality対応ヘッドセット型デバイス「HoloLens 2(仮称)」の発表が、2019年第2四半期にずれこみそうだという。その理由を探ってみた。

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 新型「Surface」シリーズの発表や、Windows 10の大型アップデート「October 2018 Update(バージョン1809)」といった、Microsoftの一連の活動が一段落したようだ。本連載では、同社の最新ハードウェアや技術に関するトピックについて、細かく見ていきたい。

「HoloLens 2」のターゲットは2019年第2四半期に?

 まずは「HoloLens 2(仮称)」の話題から。Windows 10を搭載したスタンドアロンで動作する初のWindows Mixed Reality対応ヘッドセット型デバイス「HoloLens」は、2016年3月末に米国で、2017年1月に日本で出荷が始まった。

 期待されている次期モデルについて、6月にこのような記事(AIチップ搭載の「HoloLens 2」は2019年初頭に大幅値下げで発売か)を執筆したが、HoloLens 2は「HPU(Holographic Processing Unit) 2.0」と呼ばれるAI処理に特化した専用コプロセッサの採用が最大の特徴だといわれている。

 HPU 2.0の搭載により、HoloLens上のセンサーで“より多くのこと”を認識可能になる。具体的には、現行の第1世代HoloLensでは「エアタップ」という「つまむ」動作を認識して空間を「クリック」する仕組みがあるが、HPU 2.0の組み合わせにより10本指のトレースが可能になり、より複雑な動きをHoloLensが認識できると考えられている。地形や空間の追随機能も強化され、より実世界と仮想オブジェクトの融合が進むはずだ。

HoloLens
現行の「Microsoft HoloLens」

 Microsoftの最新情報に詳しいブラッド・サムス(Brad Sams)氏が、米Petriに10月18日(米国時間)に投稿した情報(「Following Development Challenges, Next Gen HoloLens Targeted for Q2, 2019」)によれば、元々Microsoftは2018年中にHoloLens 2となるハードウェアのプレビューを行う計画だったが、技術的課題によって発表時期が遅れ、今のところは2019年第2四半期後半がターゲットだと関係者が話しているようだ。

 この背景には製造問題(量産ベースに乗せる部分)の課題が指摘されているという。HoloLens 2ではハードウェアが小型化され、第1世代でたびたび指摘されてきた視野角の狭さという問題がある程度解決する見込みだ。また連続稼働のボトルネックとなっていたバッテリー動作時間も改善され、どちらかといえば「順当なアップグレード」といった堅実な内容になりそうだ。

 また同氏によれば、詳細は不明なものの「Localized-AI」と呼ばれる機能が原因で製造上の問題を引き起こしているという。この“ローカライズ”が示すのは日本語ネイティブ対応のような話ではないと筆者は考えているが、製品のリリースが近付いたタイミングでより詳しい情報が出てくるだろう。

HPU
HoloLens 2に搭載されるというAI処理に特化したチップを搭載するコプロセッサ「HPU(Holographic Processing Unit) 2.0」(HPU 2.0の紹介動画より)

当面の間、HoloLensの競合機は登場しない?

 同氏は最初期からHoloLensに関するリリース情報をリークしており、2017年2月には「HoloLensは第2世代をスキップして第3世代にあたるハードウェアのロードマップを敷いており、2019年がリリースターゲット」と報じ、“第2世代”として開発が進んでいる「HoloLens 2」(開発コード名は「Sydney」)は、2018年6月時点で投入時期は「2019年第1四半期がターゲット」とより具体的な時期を示していた。

 また同氏はこのタイミングで「大幅な値下げが期待できる」としていたものの、「現行の3000ドルを下回る」ことを目指してはいるが、実際にコンシューマー向けの普及価格帯になるかは未知数だ。理由の1つとして、HoloLensの主要ターゲットがいまだエンタープライズや産業向けを想定しており、コンシューマーがカバー範囲に含まれていないためだ。

 単純なVR(仮想現実)体験であれば、Oculusのスタンドアロン型HMD「Oculus Go」のような製品がすでに存在しているし、成功とは言い難いもののWindows MR HMDのように気軽にMR(複合現実)体験ができる仕組みもある。

 大々的にデビューしたHoloLensの直接的な競合になると見込まれたMagicLeapの「MagicLeap One」は賛否両論あり、AR(拡張現実)の世界で専用デバイスの投入を見込むAppleも、サプライチェーン筋の情報によれば、実機の投入は2021年以降の可能性が高いという。ゆえにハイエンド向けでHoloLensの競合しそうなデバイスは当面は見当たらず、Microsoftはむしろデバイスの完成度を高め、値下げによって極度の競争にさらされる可能性も低い状態にあるといえるだろう。

MagicLeap
MagicLeapのMRデバイス「MagicLeap One」

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