VEGAの血を受け継ぐスペックモンスター「Radeon VII」を試す(1/4 ページ)
最先端の7nmプロセスに4チップのHBM2による16GB容量&1TB/sなグラフィックスメモリと、スペックはRadeonシリーズのフラグシップ。その実力は?
AMDから「Radeon VII」が発表され、製品の販売も開始された。VEGAの血を受け継ぐハイエンドGPUで、製造プロセスのシュリンクも合わせ、メモリ、ストリームプロセッサやクロックなどスペックにも変更があった。現時点でのRadeonシリーズにおけるフラグシップと呼べる製品になっている。
7nmプロセスに微細化され、リファインされたVEGAがRadeon VII
Radeon VIIのスペックについては、CES 2019で公開された通り。アーキテクチャはVEGAを受け継ぐが、製造プロセスを7nmに微細化したコード名「Vega 20」だ。微細化によって同じトランジスタ数ならダイサイズを小さくでき、同じ面積ならトランジスタ数を増加できる。ただ、Vega 20ではダイサイズを小さく、内部のストリームプロセッサも、Vega 10から若干減らしている。代わりに動作クロックは、定格クロック、ブーストクロック、最大クロックいずれもVega 10から引き上げられている。このあたりが7nmプロセス導入で調整されたところだ。
Radeon VIIのスペック | |||
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製品名 | Radeon VII | Radeon RX VEGA 64 | Radeon RX Vega 56 |
アーキテクチャ | Vega 20 | Vega 10 | Vega 10 |
製造プロセス | 7nm | 14nm | 14nm |
トランジスタ数 | 13.2B | 12.5B | 12.5B |
ダイサイズ | 331mm^2 | 495mm^2 | 486mm^2 |
NGC | 60基 | 64基 | 56基 |
ストリームプロセッサ数 | 3840基 | 4096基 | 3584基 |
定格クロック | 1.4GHz | 1.274GHz | 1.156GHz |
ブーストクロック | 1.75GHz | 1.546GHz | 1.471GHz |
最大クロック | 1.8GHz | 1.63GHz | 1.59GHz |
ROPs | 64基 | 64基 | 64基 |
HBM2メモリ容量 | 16GB | 8GB | 8GB |
HBM2メモリバス幅 | 4096bit | 2048bit | 2048bit |
HBM2メモリ帯域幅 | 1TB/s | 483.8GB/s | 410GB/s |
ボードパワー | 300W | 295W | 210W |
メモリ周りは大幅に増強された。Vega 10でHBM2を採用し、その際は1.8Gbpsの2チップ構成で2048bit接続だったが、Vega 20では2Gbpsの4チップ構成で4096bit接続になった。これによりメモリ帯域幅は1TB/sに達している。
このようにメモリ帯域幅は1TB/sへと向上したわけだが、ROPsに関しては据え置きだ。ストリームプロセッサ数が減っていることと合わせ、この帯域を有効に活用しきれるのかどうかは分からない。
実際、ホワイトペーパー上のテクスチャフィルレートは、Radeon RX Vega 64の395.8GP/sに対し、Radeon VIIは432.24GP/sで、およそ1割のアップにとどまる。つまり、パフォーマンスバランスのための帯域幅からスペックが決まったというよりも、スペックが決まったためにこうなったというのが正しいようだ。
16GBという容量については活用できるだろう。高画質・高解像度の設定を詰めていくと、昨今のゲームでは8GBを超えることもある。実装面で言えば、先に指摘した通り、4GB×チップ数で決まるところがある。HBM系の場合、GDDR系のような柔軟なバス幅ができないのだろうか。3チップで3072bit、12GBでもよかったのかもしれないが、できないのか、判断しなかったのか、4チップで4096bit、16GBとなったわけだ。いずれにせよ、テクスチャ読み込み量の多いゲームでは有効なシーンがあるだろう。
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