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VEGAの血を受け継ぐスペックモンスター「Radeon VII」を試す(3/4 ページ)

最先端の7nmプロセスに4チップのHBM2による16GB容量&1TB/sなグラフィックスメモリと、スペックはRadeonシリーズのフラグシップ。その実力は?

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Radeon RAX Vega 64を上回り、4K&高画質を狙えるパフォーマンスへ

 検証タイミングが遅れたため、今回のRadeon VIIの検証は、一般の方も入手可能なドライバで行った。比較対象としては、Radeon RX Vega 64、Radeon RX 590を用意した。検証環境は、Core i9-9900Kと、Intel Z390チップセットのGIGABYTE Z390 AORUS ELITEを用意しており、CPUやチップセットなどはGeForce RTX 2060検証時のものとほぼ同じ。GeForce RTX 2060とGeForce GTX世代GPUのデータとは比較できるが、セグメント的に競合するGeForce RTX 2070や2080との比較は、今後の機会にお届けしたい。

 それでは見ていこう。まずは3DMark。Overallで見ると、どのテストもRadeon VIIがRadeon RX Vega 64を上回っており、現時点のRadeonのトップであることが分かる。スコアの向上幅については、アーキテクチャに大きな手が加えられているわけではないため、おおむね予想通りといえるのではないだろうか。各テストの向上率もほぼ同じで、さらに言えば複数回計測した際のブレもほとんど見られず、GPU温度や動作クロックなどで安定している印象がある。


3DMark(Overall)の結果

3DMark(Graphics)の結果

 なお、このグラフにはないが、GeForce RTX 2080計測時のGraphicsスコア(OverallはPhysicsスコアが影響するため、CPUが同じでないと適当でない)と比べてみると、確かにFire StrikeなどDirectX 11関連については肩を並べるようではある。TimeSpyなどDirectX 12関連については、Radeon VIIの方がやや低いスコアだった。

 続いてゲームテスト。Tom Clancy's Ghost Recon Wildlandsでは、まず4K(3840×2160ピクセル)解像度に関しては高画質設定でプレイ可能なレベルに向上した。Radeon VIIなら60fps目前で、映像的には十分に楽しめるレベル。Radeon RX Vega 64の高画質設定は45fpsに満たず、やや引っ掛かりを感じたので、その違いが分かる。

 WQHD(2560×1440ピクセル)では、ウルトラ画質で先の4Kの高画質相当のフレームレートだ。映像とフレームレートとのバランス的にはちょうどよいかもしれない。Radeon RX Vega 64からの向上率は、先の3DMarkの結果と同じ程度か、若干、伸びているように見える。Radeon RX Vega 64で力不足を感じていたならば、Radeon VIIに買い替えることで十分なフレームレートが得られるだろう。


Tom Clancy's Ghost Recon Wildlands(3840×2160ピクセル)の結果

Tom Clancy's Ghost Recon Wildlands(2560×1440ピクセル)の結果

Tom Clancy's Ghost Recon Wildlands(1920×1080ピクセル)の結果

 Far Cry 5では、4K最高画質でも60fpsを示した。そして、やや特徴的なグラフとなったので言及しておきたい。Far Cry 5では、Radeon RX Vega 64からの向上率が、これまでのテストよりも高い。Far Cry 5はRadeonに最適化されたタイトルであり、それがこのスコアを生んだ要因かもしれないが、Radeon RX Vega 64からの向上率を考えるとメモリの帯域幅向上や、GPUの高クロック化も何かしら影響があるのかもしれない。どちらにしても、よい結果といえる。Radeon RX Vega 64ではWQHDあたりがいいところだったが、Radeon VIIなら4Kで問題なく遊べそうだ。


Far Cry 5(3840×2160ピクセル)の結果

Far Cry 5(2560×1440ピクセル)の結果

Far Cry 5(1920×1080ピクセル)の結果

 なお、ここまでの2タイトルで、フルHD時のフレームレートの向上率に注目してほしい。4KやWQHDではRadeon RX Vega 64から期待通りのフレームレートの向上を示しているのだが、フルHDに関してはどちらも思ったほど伸ばせていない。

 最近の他のハイエンドGPUも同様だが、フルHDに関しては、GPU負荷としてそう重いことはなく、むしろGPU以外にボトルネックを生じる傾向にある。このクラスのハイエンドGPUに関しては、例えば、フルHDで楽しむならばCPUやメモリ、GPUの性能を引き出そうとすればWQHD以上の液晶ディスプレイといったように、プレイ環境側も相応のものにした方がよい。

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