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コラム

Macの性能を新次元に 新Mac Proの魅力とデザインに迫るWWDC 2019(2/3 ページ)

数々の話題が盛り込まれたAppleの世界開発者会議「WWDC 2019」だが、そこで発表されたモンスターPC「Mac Pro」を林信行氏とクリエイターの真鍋大度氏が読み解く。そこから見えてきたものは――

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圧倒的に実性能が高いMac Pro

 そんな注目の新Mac Proだが、Twitterではプロセッサ性能だけを取り上げて、他のPCやワークステーションとの価格比較を行っている声なども見かけたので、この点について真鍋さんの意見を聞いてみると「製作現場でどれだけの性能が出るかは、実はプロセッサ性能だけでは全く分からない。それよりもそのハードの細部がどれだけ最適化されているかこそが大事で、その点ではMac Proはこれまでの製品も圧倒的に実性能が高かった」と語っている。

 筆者は細かな技術的スペックは門外漢なので、Apple公式ホームページに譲るが、新Mac Proはハードウェア面では、最強プロセッサの搭載だけでなく、以前の黒い円柱形のMac Proが切り捨てていた増設カードの取り付けによる拡張性を再び復活させたことがなんといっても大きな特徴だろう。

MacPro
従来モデルのMac Pro。円筒形の独特なボディーが話題を集めた
MacPro
新Mac Proは8本のPCI Expressスロットを設け、さまざまな拡張カードを増設できる

 WWDCでは、講演が行われた建物ではなく、その向かいに特設会場を設けて新Mac Proが展示されていた。具体的には、巨大ロボットアームを使った自動制御で繊細なブツ撮りを行っている8K映像でのシーン、本格的な映像編集用の機器とのセッティングや音楽制作用の機器とのセッティングなどだ。おそらく、ロボットアームにしろ、映像用の機器にしろ、業務用の高価そうな物ばかりで、(1990年から取材しているが)Appleがこれまでに実施した、どの新製品展示よりも高級な機器がそろった展示になっていたかもしれない。

 これまで他のPCではできなかった、8Kの映像ストリームを3つ同時に編集できる様子や、その8K映像を止めることなく再生したままの状態でリアルタイムにカラーコレクション(色補正)などの修正をかけて試行錯誤できるなど、これまでの常識では考えられない映像制作方法を披露していた。

MacPro
新Mac Proを活用した映像制作のイメージ
Mac Proを使った8K動画のワークフロー

 これを可能にしているのは、Mac Proと同時に発表された「Afterburner」と呼ばれるアクセラレータカードだ。8K映像は、あまりにも情報量が大きすぎて今日のPCでは簡単に取り扱うことができない。そこでプロキシーという画質を落とした映像を用意しておき、こちらを編集加工し、後からコンピューターの空き時間に同じ編集加工を8K映像に対して反映させる、という編集方法をとるのが一般的だ。これがAfterburner搭載のMac Proであれば、劣化させていない本物の8K映像でディテールを確認しながら自在に編集が可能になる。

MacPro
新たに発表されたアクセラレータカードの「Afterburner」。毎秒60億ピクセルのレンダリングを実現する

 もちろん新Mac Proの用途は映像編集だけではない。音楽関係の編集をしたければそれ用といった具合に本体に拡張カードなどを積んで、それぞれの用途にあった専門の業務機にカスタマイズできる。

 そうした拡張カードなどが最大のパフォーマンスを発揮できるように、プロセッサとの間の通信速度や1度に通信できる情報量を最大化すべく、多くの新しい工夫を重ねたのが新Mac Proであり、そもそもプロセッサだけを取り上げて、これまでの設計のPCと比較すること自体がナンセンスなのだ。

MacPro
こちらは音楽制作のイメージ

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