QNAPがクラウド戦略をアピール――「QNAP 2020 TechDay」を開催:新OS「QTS 4.4.1」登場!(1/3 ページ)
NAS用の新OS「QTS 4.4.1」のリリースに合わせ、QNAPが「QNAP 2020 TechDay」を秋葉原で開催した。同社の今後の展開や投入される新製品をチェックしよう。
QNAP Systemは、2019年10月24日、同社NASを用いたビジネス向けバックアップの解説を中心としたイベント「QNAP 2020 TechDay」を開催した。
増大するストレージ需要と、移り変わるデータの利用方法
冒頭で挨拶に立ったQNAP Systemマネージング・ディレクター Japan & Koreaのジャック・ヤン(Jack Yang)氏は、2025年までに世界の集計データ量は現在の32ZB(ゼタバイト)から175ZBに達すると紹介。そのうち、ほぼ半分の49%がクラウド環境で保存・管理され、生成されるデータの30%はリアルタイムで処理される状況になると、今後のストレージとデータの取り扱われ方の変化を示した。
ストレージ業界、つまりQNAPのような企業は今後7年で42ZBの容量を市場に供給していくと予想している。そして従来までのストレージに加えて、同社はそれを支えるネットワーク製品にも注力していくと説明した。実際、同社はNASメーカーであるとともに、近年は10GbEスイッチなどの製品をリリースしており、製品展示にも各種スイッチや10GbEアダプターなどが見られた。
次世代のクラウドによるデータの保護やアクセスの向上、バックアップ
午前〜夕方までにかけて行われた各セッションでは、QNAP製品で利用されるOS「QTS 4.4.1」の新機能などを中心に、機能の説明、デモンストレーションが展開された。QTS 4.4.1は先日正式リリースされたばかりのバージョンで、ビジネスにおけるバックアップやクラウド連携などのさまざまな新機能が追加されている。
「クラウドストレージゲートウェイ」と題されたセッションでは、HybridMountとVJBOD Cloudの2つの機能が紹介された。
まず、クラウドサービスを1つに集約してしまうとリスクが高く、最低でも2つ以上のサービスでバックアップを撮ることを推奨しているが、一方で複数のサービスを契約すると、サービスごとにクライアントを各PCに導入する必要があるなど管理の手間がかかる。QNAPのクラウド戦略は、パブリッククラウドをQNAP製NAS上にマウントして統合し、バックアップを取るとともに管理の手間を軽減するというものだ。
HybridMountはファイルベース、VJBOD Cloudはブロックベース管理と異なり、VJBOD Cloudの場合はローカルキャッシングとしても機能することでアクセス速度を向上させる。
「全面的なデータバックアップのためのBoxafe × HBS 3」と題されたセッションで取り上げられたのは、QTS 4.4.1の「HBS 3」はバックアップ、復旧、同期機能だ。今回は、その中でも重複排除機能「QuDedup」にフォーカスが当てられた。ソース側で圧縮を行うことによりデータ帯域の圧迫を防ぐことができ、バックアップに要する時間も短縮されるのが特徴だ。
また、これをより高効率に運用するための手法として、HDDだけのシステムよりもHDD+SSDのシステムが推奨されるとのことだ。また、重複排除によって容量の節約も行え、世代バックアップにおいては、保存できる世代数を増やせるなど、信頼性を高めることが可能だ。
BoxafeはQTS 4.4.1でまだ実装されておらず、この1カ月中にβ版を提供予定のソフトウェアである。Boxafeは、Google Q SuiteやMicrosoft Office 365といったSaaSに対象を絞ったバックアップソリューションだ。SaaSのデータを手元にバックアップしておくことで、ネットワークに障害が生じた際への対応や、万が一の復旧にかかる時間を短縮するなどを目的としている。
この他、同日はクラウド上からQTSを動作させる「QTScloud」、PoE製品やファイバーチャネル製品、「QTS hero」などのセッションも行われた。
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