ついに発売! 16コア32スレッド「Ryzen 9 3950X」の使い所を考える:第3世代Ryzenの最上位モデル(2/4 ページ)
間もなくAMDからRyzen 9 3950Xが販売開始される。メインストリーム向けのソケットに対応する製品でありながら、16コアというこれまで上位プラットフォームでしか利用できなかったコア数を手に入れられる製品だ。第3世代Ryzen発表時から予告されていたが、ようやく発売される。メインストリーム向け初となる、16コアCPUのパフォーマンスを調べてみよう。
マルチスレッドアプリケーションでのアドバンテージは大きいが……
Ryzen 9 3950Xの性能をどう測るのかは、悩むところだ。価格やコア数など指標となるものは多い。しかし、ここではメインストリーム向けプラットフォームという点を重視して、Core i9-9900Kと比較した。
検証環境 | ||||
---|---|---|---|---|
CPU | AMD Ryzen 9 3950X | Intel Core i9-9900K | AMD Ryzen 9 3950X | Intel Core i9-9900K |
マザーボード | MSI MEG X570 GODLIKE(AMD X570) | GIGABYTE Z390 AORUS ELITE(Intel Z390) | MSI MEG X570 GODLIKE(AMD X570) | GIGABYTE Z390 AORUS ELITE(Intel Z390) |
メモリ | Corsair CMR64GX4M4K3600C18 RGB(DDR4-3600:DDR4-3200で使用、8GB×2) | Kingston HyperX Predator DDR4 RGB HX429C15PB3AK4/32(DDR4-2933:DDR4-2666で使用、8GB×2) | Corsair CMR64GX4M4K3600C18 RGB(DDR4-3600:DDR4-3200で仕様、8GB×2) | Kingston HyperX Predator DDR4 RGB HX429C15PB3AK4/32(DDR4-2933:DDR4-2666で使用、8GB×2) |
グラフィックスカード | ZOTAC GAMING GeForce RTX 2080 Ti AMP(RTX 2080 Ti) | |||
SSD | Intel Optana SSD 800p SSDPEK1W120GA01(Optane NVMe 118GB)+WesternDigital WD Black NVMe SSD WDS100T2X0C SSD1TB(3D TLC NVMe 1TB) | |||
電源 | Corsair HX1000i(1000W、80PLUS Platinum) | |||
OS | Windows 10 Pro 64bit |
今回は2つの検証環境で統一できなかったパーツも多く、消費電力比較に関しては注意して見ていただきたい。異なるのはマザーボードとメモリ、CPUクーラーの3点だ。
Ryzen 9 3950Xの検証機に付属したマザーボードは、MSIのAMD X570マザーボードの中でもハイエンドのMEG X570 GODLIKE、CPUクーラーはNZXT Kraken X62だった。その到着以前に計測しているCore i9-9900K環境は、マザーボードがGIGABYTE Z390 AORUS ELITE、CPUクーラーがCorsair H100i RGB Platinumだ。
メモリはRyzen 9 3950X側がCorsair VENGEANCE RGB CMR64GX4M4K3600C18をDDR4-3200に落として、Core i9-9900K側がHyperX Predator DDR4 RGB HX429C15PB3AK4/32の16GB分(2枚)をXMPプロファイルからDDR4-2666に落として、各プラットフォームの仕様に合わせている。
まずはCPU性能の比較として、CINEBENCH R20とV-Ray NEXT Benchmarkを見てみよう。ともに3dレンダリングベンチマークであることから、CINEBENCH R20のCPUとV-Ray NEXT BenchmarkのV-Rayは似たような結果だ。
やはりコア数が2倍あるRyzen 9 3950Xが圧倒する。予想できたことだが、Ryzen 9 3950Xはメインストリームプラットフォームにおいて圧倒的なコア数であることが、大きなアドバンテージだ。それこそ3Dや映像制作といったマルチスレッドアプリケーション中心の用途で、メインストリームプラットフォームを選ぶことでコストを抑えたいといったニーズに適している。
また、CINEBENCH R20のCPU(SingleCore)を見ると、シングルスレッド性能もほぼCore i9-9900Kと同等と言えるだろう。同時に、V-Ray NEXT BenchmarkのV-Ray GPUは同じ値であることから、GPUを利用する環境としてベース性能にもあまり大きな違いがないということが言える。
アプリケーション性能をPCMark 10で見ておきたい。まずはOverallだ。
通常通りExtended Testを実行しているが、Physicsテストでコア数による大きな差が出てしまうGamingはまず外して考えよう。Ryzen 9 3950XがリードしているのはEssentialsとDigital Content Creation(DCC)の2つのシナリオである。DCC側はややリードが大きく、コア数のアドバンテージが出ている印象だ。
ただし、ProductivityはCore i9-9900K側がリードしており、全勝とはいかない。テスト中では比較的スレッド数が多くないProductivityはRyzen 9 3950Xが不得意と考えられる。
各シナリオのテスト結果を見ていこう。Essentialsは、Web BrowsingでRyzen 9 3950Xが僅差で負けているものの、ほぼ同値と見ていいだろう。その上でApp Start-upの負けをVideo Conferencingで取り返しつつ総合でリードしたようだ。確かにVideo Conferencingの方がマルチスレッドが効きやすい。
一方、App Start-upはストレージも関係するが、スレッド数は少なめとなり、この中間帯のスレッド数における動作クロック、処理性能で差をつけられた可能性が考えられる。他2つのシナリオは先に指摘した通りだ。
CPU、アプリケーション性能でまとめよう。
先にアプリケーション性能だが、Ryzen 9 3950Xが高性能であることは間違いない。ただし、一般用途全般でリードするかというとそうでもない。CPUベンチマークの結果の通り、アプリケーションによりけりなところがある。そうしたアプリケーションを利用しているなら、この製品を手にすることで生産性向上を実現できるだろう。それにあてはまらない場合は、現状で8コア以上は必要なく、なんなら動作クロックが高い製品を選ぶ、あるいは選んだCPUをOC運用した方がメリットが大きいと思われる。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
- AMD、Ryzen 9 3950Xの国内販売を11月30日に開始 国内価格は税別8万9800円
AMDは、第3世代Ryzenの最上位製品となるRyzen 9 3950Xの国内販売日をアナウンスした。 - マルチで圧倒、Intelに互角以上の性能を備えた「Ryzen 9 3900X」「Ryzen 7 3700X」をテスト
AMDから、開発コード名Naviの新GPU「Radeon RX 5700」シリーズとともに、Zen 2アーキテクチャを採用した次世代CPUとなる第3世代Ryzenが発売された。今回は、AMDの評価キットを入手し、Ryzen 9 3900XおよびRyzen 7 3700Xをテストした。 - 日本での登場も近い?:Ryzen 9 3950Xは749ドルで11月25日発売――第3世代ThreadripperはsTRX4に
AMDが、2019年秋のデスクトップCPUアップデートを発表した。発売が遅れていたRyzen 9 3950Xと、第3世代Ryzen Threadripperの情報をお届けする。 - 夏の自作特集:第3世代Ryzenだけではない! AMD X570チップセットというアップグレードパスの魅力
第3世代Ryzen、NAVI世代のRadeon RX 5700シリーズが登場したことで、これで組んでみたい、あるいはアップグレードしたいと検討している方も多いだろう。今回、これら新世代CPU&GPUに対応した新チップセット「AMD X570」がリリースされている。ここではこのAMD X570チップセットの特徴や機能にフォーカスを当てる。 - Ryzen 9 3950Xは749ドルで11月25日発売――第3世代ThreadripperはsTRX4に
AMDが、2019年秋のデスクトップCPUアップデートを発表した。発売が遅れていたRyzen 9 3950Xと、第3世代Ryzen Threadripperの情報をお届けする。