人はなぜApple Storeに魅入られるのか Apple上級副社長が語る秘密:林信行が聞く(1/3 ページ)
Appleが日本において直営店(Apple Store)を続々とオープン、リニューアルしている。その狙いと魅力はどこにあるのだろうか。2019年2月に直営店事業のトップに就任したディアドラ・オブライエン上級副社長に話を聞いた。
12月14日土曜日に、日本では10店舗目となるApple直営店、Apple 川崎が川崎市にオープンする。
オープンを目前に控えた12月8日、東京駅の目の前に2019年にオープンした旗艦店「Apple 丸の内」では、制服を着た立教小学校の3年生たちがコーディングの基本を学んでいると、そこにAppleのトップ、ティム・クックCEOが登場。子供たちとの交流を楽しみ、その後は東京駅に臨む一角でニュース番組の収録を行い、店外には人だかりができていた。さすがに、ここまでのできごとはまれだが、Apple直営店では毎日面白いイベントが行われていて、店内は人であふれている。
これは何も日本だけではなく、筆者がよく訪れる米国の西海岸や東海岸、パリやミラノやロンドンや香港の街角でも一緒だ。これだけ多くの人々を引きつけるメーカー直営店は、他に類を見ない。
改めて、Apple直営店の魅力、そして強さの秘密は何なのか? 2019年2月に直営店事業のトップに就任したディアドラ・オブライエン上級副社長に話を聞いた。
この2年で最も多くのストアが日本に
「実はこの2年間、米国外のどの国よりも多くの直営店を、ここ日本でオープンしています」
ディアドラ・オブライエン上級副社長はそう語る。いくつか閉店した小規模店もあるが、2018年4月に「Apple 新宿」をオープンしてから、「Apple 京都」、「Apple 渋谷」(リニューアル)、「Apple 丸の内」、そしてApple 福岡天神に代わってオープンした「Apple 福岡」と直営店を強化し続けている。日本では最大級の「Apple 表参道」も営業を続けながらリニューアルが行われ、新装オープンしている。
なぜ、今になって急に?
オブライエン氏は言う。「Appleにとって日本は特別な市場です。2003年に米国外では初めてとなる直営店をオープンしたのも、ここ日本の銀座で、素晴らしい店ができあがりました。それから長い月日を経て、私たちが会社としても大きく変わり、成長を続ける中で、私たちはもっと日本での存在感を強める必要があると感じ始めました。それがこの立て続けのオープンにつながったのです」
「土曜日にApple 川崎がオープンすると、国内の直営店の総数はついに10に達します。私たちは日本にいるAppleのチームが大好きですし、日本の文化も大好きです。そしてここには非常に情熱的な顧客が大勢います。だから日本に直営店を開くのは私たちにとっても、非常に重要なのです」
確かに、スマートフォンの市場分析を見ると、日本ではAppleのiPhoneが圧倒的に強い。オブライエン氏はこの状況をどう捉えているのだろうか。
「私も日本は大好きです。ただ東京の街にいるだけでうれしくなります。美しいし、考えているだけでも笑みがこぼれてきます」
では、なぜApple製品が、その日本人と相性がいいのか。
「理由の一端はデザインだと思います。日本の人々は常に良いデザインを深く愛してきました。さらに付け加えるなら、(Apple製品のもたらす)素晴らしい体験でしょう。Appleは常にこの2つで秀でてきた会社です」
「だから、創業当初からAppleと日本との間に特別な関係があるのは自然なことだった、と私は思っています。そういう意味では、Apple直営店はAppleの良いところを全て合わせて形にしたものなので、これもまた日本の人たちと相性がいいと思います。恐らく、それが分かっていたからこそ2003年に米国外初のApple 銀座がオープンしたのだと思います。この2年間のストアのオープンも、まさにそういうことの現れだと思います」
その素晴らしい体験を提供する上で、Appleは常に場所選びを重視しているという。
「何よりもアクセスの良さを重視しますし、店舗を開く場所が美しい場所であることも重視しています。お店の外観や顧客に与える印象は非常に重要な要素です。例えば、このApple 丸の内は多くの通勤者にとって非常にアクセスが良い場所であると同時に、皇居や東京駅を臨む最高の立地で、周辺環境も非常に素晴らしいものです」(注:インタビューはApple 丸の内の店内で行った)
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