「Microsoft 365 for Consumer」が間もなく登場か:Windowsフロントライン(2/2 ページ)
以前から話題に上っては消えていた、Microsoftのサブスクリプションサービス 「Microsoft 365 for Consumer」がついに登場するようだ。
なぜコンシューマー向けにMicrosoft 365を提供しようとするのか
この話題が出るようになってから常々疑問に思うのが、セキュリティを含め必要な管理機能やツールが全てパッケージとなったサービスを安価に提供することでメリットを享受できる企業ユーザーに比べ、必要な機能は最低限であり、用途に応じてOfficeなどの追加機能やパッケージを導入していくコンシューマーではWindows製品全般に対するスタンスが異なっており、Microsoft 365のような全部入り戦略はフィットしにくい。
Windows 10 Enterpriseのような製品の利用は、年間のライセンス費用を請求されるので、これに少し費用を追加で“載せる”ことで付加機能を得られるというのは一考の価値があり、これがMicrosoft 365の浸透する下地となっていた。
逆にコンシューマー版Windowsではデバイスに付随する一種の永続ライセンスとなるため、ユーザーがWindowsや関連サービスの利用に追加費用を払うという意識が薄い。日本でいまだにOffice 365よりOffice 2019のような“Perpetual(永続的)”なライセンス形態が好まれるトレンドにも似ている。
そのため、仮にMicrosoftが「これがMicrosoft 365のコンシューマー版です。使ってください」と製品を提示してきたときに、それを受け入れるユーザーはどの程度いるのだろうか。筆者は、おそらく少数派に過ぎないのではないかと考える。
重要なのは「お得感」にあると思っているが、Office 365に含まれるOneDriveの1TBストレージ利用権のような仕組みだけでなく、よりモチベーションを持って使い続けられる機能をMicrosoftが用意できるかがポイントだろう。
アイデアの1つは、以前のレポートでも紹介した「Windows Feature Experience Pack」のような拡張パックによる定期的な機能拡張だが、魅力的な機能やサービスが含まれなければマイナスに作用する可能性もある。
詳細はイベントの中で改めて語られると思うが、Microsoftはこのあたりについて両者の意識の差を埋める形で新しいサービス提案ができるだろうか。今回のケースではあくまで「Office 365 Home/Personalの名称を変更しただけ」という流れなので、この製品自体の魅力を高め、より多くのユーザーに浸透させるのが最大の狙いであり、「Microsoft 365のコンシューマーへの提供」とはまた別の戦略なのかもしれない。
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