5万円台スト5PCを作る――SSDとHDDで組むハイブリッドストレージ「StoreMI」(FuzeDrive)編:お手軽ゲーミングPCの道(2/5 ページ)
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AMDが突如StoreMIの無償提供を終了〜サポートはEnmotusが継承
本連載の第1回、第2回でも触れているが、AMDは、同社のCPU製品「Ryzen」に対応したプラットフォーム、具体的には下表で「AMD StoreMIテクノロジー」の項目にチェックマークが付与された型番のチップセット搭載マザーボードで「StoreMI」が無償で利用できる。
いや、先ほども触れたが、できた……というのが正解か。
その実態はどういうことか。
本連載(第1回〜第2回)の原稿を執筆した直後の3月18日、AMDは、突然、StoreMIのサポートを打ち切ってしまったのだ。ダウンロード期限も3月31日までとし、StoreMIの公式ページも閉鎖されてしまった。
それによるとAMDは、StoreMIに変わる新ハイブリッドストレージの仕組みを2020年後期に発表する予定だそうで、今回の一件はそれを見込んでのStoreMIサポート終了とのことである。
ただ、このStoreMIは、その内部構造が全く同じものが、Enmotusから「FuzeDrive」としてリリースされている。もちろん今もだ。まぁ、元々AMDのStoreMIは、EnomotusのFuzeDriveのOEM製品だったので当たり前と言えば当たり前なのだが。
StoreMIおよびFuzuDriveの開発元のEnmotusは、StoreMIユーザーのための公式サポートサイトを開設し、ここで「今後も既存のStoreMIユーザーには、アップデート版の提供を始めとした技術サポートを続けていく」という方針を発表している。実際には、既存のStoreMIユーザーには、近い将来提供される新バージョンにてFuzeDriveに移行してもらう計画を立てているようである。
AMDは4月1日以降、StoreMIの無償提供は行わない旨を発表しており、Enmotusは、どうしても必要なユーザーはイIntelプラットフォーム、AMDプラットフォームの両方に対応したFuzeDriveの有償版を利用してほしいと呼びかけている。
AMDのStoreMI無償提供が終了したことで、Enomtusは既存StoreMIユーザーのサポートを続けていくとともに、新規ユーザーに対してはStoreMIの汎用版に相当するFuzeDriveの有償版を利用してほしいと呼びかけている
FuzeDrive(StoreMI)のセットアップ前に気を付けたいこと
今回の5万円台スト5PCでは、3月上旬時点ではStoreMIを活用してセットアップしていた。ただ、同一機能製品がOEM元から継続提供されているとはいえ、StoreMIは提供が終わってしまったので、これを取り扱う記事を書くわけにも行かないため、今回の原稿執筆にあたってはFuzeDriveを購入してセットアップに臨んでいる。
まぁ、StoreMI自体はFuzeDriveと中身は全く同じなため、「その構築の際に苦労した時間は無駄にはならなかった」と考えている(笑)。というわけで、ここからは、StoreMIではなく、FuzeDriveのセットアップ指南に移っていこう。
とは言っても、セットアップウィンドウも製品名がStoreMIかFuzeDriveか、の違いだけで何も変わらないのだが……。実際、既にStoreMIのセットアップファイルを入手している人は、ここからは脳内でStoreMIをFuzeDriveに置き換えて読み進めてもらいたい。
さて、冒頭で述べた「セットアップが大変だった」という苦労話を、簡潔にまとめておく。
現在、Windows 10のセットアップは、起動ドライブを2TB以上の容量のストレージデバイスとしたい場合、UEFI(Unified Extensible Firmware Interface)タイプのBIOSモードでセットアップをする必要がある。
UEFI BIOSとは、簡単に言うと「従来のBIOSよりもモダンな作りのBIOS」といったもので、PCの起動時の初期動作を「より高度なふるまい」にできるのが特徴だ。主に「より高度なセキュリティ機能が確保される」「2TB以上の大容量ストレージデバイスから起動できる」といったメリットが、ユーザーが被る恩恵として大きい。
で、Windows 10は、UEFI BIOSモードと、旧来のBIOSモードのどちらでもセットアップできるし起動も行えるのだが、FuzeDrive(StoreMI)は、このUEFI BIOSとのやりとりに相性があるようである。
筆者が今回、製作した5万円台スト5PCで採択したマザーボードのASUS「TUF B450M-PRO GAMING」では、FuzeDrive(StoreMI)インストール後の最初の再起動でハングアップしてしまうのだ。ちなみに、筆者私物のASRock製マザーボード「X470 Taichi Ultimate」でも同様だった。
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