「プログラミング教育」が必修化されたのはなぜ? それを支える「GIGAスクール構想」とは?:短期集中連載「プログラミング教育とGIGAスクール構想」 第1回(4/4 ページ)
2020年度は小学校、2021年度は中学校で新しい「学習指導要領」が完全実施される。特に小学校の課程では「プログラミング教育」が導入されるなど、非常に大きな変化がもたらされる。必須化の背景はどこにあるのか、そしてそれを支える「GIGAスクール構想」とは何なのか。
オンライン授業に対応するための「著作権法」一部改正も前倒し
計画が前倒しとなったのは、GIGAスクール構想だけではない。オンライン授業を自由に行う上で障壁となりうる「著作権法」の一部改正も前倒しで施行されることになった。
現状の著作権法の枠組みでは、著作権者の許諾を得ずに教科書に掲載されている文章や問題、音楽などをインターネットを通じて配信することは「公衆送信権」の侵害に当たる。これは、学校が行うオンライン授業も例外ではない。
「オンライン授業による公衆送信権の侵害」の問題は以前から議論されており、2018年5月に成立した改正著作権法では、新たに「授業目的公衆送信補償金制度」が盛り込まれた。簡単にいうと、オンライン授業の実施に伴い発生する著作権処理を包括的に行える仕組みを導入することで、学校側の手続き負担が大幅に減る仕組みが導入されることになったのだ。
この制度は「公布日から3年以内に施行」される予定で、新型コロナウイルスの感染が広がり始めた段階ではまだ未施行だった。
しかし、4月7日の閣議後の会見において、萩生田光一文部科学大臣が同制度の施行を4月中に前倒しすることを表明。これに先立って、同制度における文化庁長官が指定する管理団体「授業目的公衆送信補償金等管理協会(SARTRAS)」が、制度が始まる2020年度に限り、学校が支払うべき補償金を無償とする予定であることを発表した。これにより、オンライン授業でも紙の教科書を問題なく使えるようになる。
実際の端末配備には、少なくとも半年はかかると思われる。全国の公立小中学校ですぐにオンライン授業ができるようになるわけではないが、異例の事態に対応すべく、次々と施策を打ち出していることは評価したい。
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