忙しい先生を救え! 先進の事例に見る「教員のICT活用」最前線:短期集中連載「プログラミング教育とGIGAスクール構想」 第3回(1/3 ページ)
2020年、改正学習指導要領が小学校で全面施行され、2021年には中学校でも完全施行される。従来よりもICT教育に注力していることが特徴……なのだが、肝心の教員もICTを使いこなすことで、現状において抱えている課題を大きく改善できる。その事例を紹介しよう。
新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、4月7日に1都1府5県で発令され、4月16日には対象が全国の都道府県に拡大した「緊急事態宣言」は、5月25日付で全面的に解除された。
それに伴い、小中学校でも順次、「分散登校」など工夫を凝らしながら授業を再開する動きが見られた。しかし、昨今の報道を見聞きすれば分かる通り、新型コロナウイルスの脅威は完全に去ったわけではない。再び感染が広がらないように心がけることが重要である。
そうした中で、子どもたちの“学びの環境”は大きく変わりつつある。2020年度から小学校では新しい「学習指導要領」に移行し、「GIGAスクール構想」による児童や生徒に対する“1人1台”の学習用端末(ノートPCやタブレット)の配備が始まったのだ。
短期集中連載「プログラミング教育とGIGAスクール構想」の3回目となる今回は、第1回と第2回の内容を踏まえて、教室の運営や教員の業務をサポートするサービスや、教育プラットフォームの活用事例を紹介する。
本連載の執筆に当たり、NECの田畑太嗣氏からさまざまな話を伺った。田畑氏はNECの第一官公ソリューション事業部の初中等・教育産業グループで部長を務め、日本教育情報化振興会 政策検討委員会の委員、学習ソフトウェア情報研究センターの理事や、文部科学省の「2020年代における教育の情報化に関する懇談会」のメンバーなどを歴任してきた。日本の情報教育に関する第一人者である。
教員は「授業」よりも「校務」に時間を割かれる
小中学校の教員にとって大きな負担となっているのは、授業や課外授業……ではなく、それ以外の時間に発生する校務(学校事務)である。
例えば、成績の処理、通知表の作成、教育課程の編成、時間割の作成、出欠の管理、各種報告書の作成、「たより」(クラス報や学年報など)の作成、保健関係の事務……など、教諭に課せられている校務は一般に想像されるものより多岐に渡る。
校長、副校長(※)や教頭などの管理職も忙しい。日々の業務報告、稟議(りんぎ)の発案、予算の要求といった「管理職事務」が課せられる。保護者や近隣住民に対する対応や教員の勤怠管理なども行わなければならない。
立場を問わず、学校の教員は非常に多忙なのだ。
(※)自治体や学校によっては、教頭に相当する役職を「副校長」と称する場合もあります
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